エッコ チェンバー 地下

─ €cco ₵hamber ฿asement, Vaporwave / Đésir đupłication répétition ─

Readings

『時計じかけのオレンジ』 - および、ベートーヴェン/ハトよめ/バッハ

『時計じかけのオレンジ 完全版』 - 早川書房 アンソニー・バージェス著『時計じかけのオレンジ』(1962)──何らかのかたちで皆さんもご存じであろう、20世紀の名作文学です。 ⬇ €nglish ҽχt Ъełoш! ⬇ この小説『オレンジ』のことを、私が久びさに思い出し…

中島岳志『超国家主義』 - 神秘的ナショナリズムと、エヴァ〈人類補完計画〉

中島岳志『超国家主義 - 煩悶する青年とナショナリズム』(2018, 筑摩書房) ご紹介いたします一冊の本、『超国家主義 - 煩悶する青年とナショナリズム』(2018, 筑摩書房)。著者の中島岳志さんは、広い意味での〈政治学者〉でおられるようです。しかしこれ…

谷川ニコ等『私がモ(…)お前らが悪い! 小説アンソロジー』 - もし私がいなければ、何もかもが悪い!

谷川ニコ等『私がモテないのはどう考えてもお前らが悪い! 小説アンソロジー』(2019) - 講談社BOOK倶楽部 『私がモテないのはどう考えてもお前らが悪い!〜小説アンソロジー』(2019)、これを拝読しました。今21世紀の初頭を飾っている傑作マンガ、『私がモ…

J・ボードリヤール『象徴交換と死』(1976) - 死に対しては…死を差しむけて

ジャン・ボードリヤール『象徴交換と死』 - ちくま学芸文庫 まずちょっと、時事的なお話から入りますと。去る2022年7月8日、ニッポン国の前の前だかの元・総理大臣さんが、まあその暗殺されました(☆)。 だからどう……と、私が思うことも別になく。その死ん…

谷川ニコ等『私がモテ(…)お前らが悪い! ミステリー小説アンソロジー』 - なぞから/またナゾ

谷川ニコ等『私がモテないのはどう考えてもお前らが悪い!〜ミステリー小説アンソロジー』(2021) - 講談社BOOK倶楽部 『私がモテないのはどう考えてもお前らが悪い!〜ミステリー小説アンソロジー』(2021)、これを拝読しました。今21世紀の初頭を飾ってい…

J-P・サルトル『汚れた手』(1948) - ピュアである気で、だが、ときとして…

Les mains sales de Jean-Paul Sartre - archive.org 『汚れた手』──“Les mains sales”──、長きにわたったジャン=ポール・サルトルさんの執筆歴からすれば、やや初期の作でもあるような戯曲。とうとつのようではありますが、どこかの路上でさいきんふと、そ…

ヴェイパーウェイヴ -に対する- ハイパーポップ - 『ユリイカ』2022年4月号・特集=hyperpop

『ユリイカ』2022年4月号特集=hyperpop 《ハイパーポップ》と呼ばれる、今21世紀の音楽めいたサウンドらについて……。まずは、《deko/ディーコ》さんをごフィーチャーした、約一年前の当家の記事を、ぜひご高覧ください(★)。さっき自分でも読みかえしてみ…

M・フィッシャー『資本主義リアリズム』 - そして私どもはウツ…またはサイコパス、さらに無敵の人

M・フィッシャー『資本主義リアリズム』 (2018) - 堀之内出版 マーク・フィッシャーさん(1968-2017)は、イングランドの著述家・教育者です(☆)。そして『資本主義リアリズム』(2009)は、彼によるさいしょの刊行物です(☆)。 その邦訳書を一読しました…

Vaporwave的な記事たち - 《ビッグ・スリー》の誕生、リミナルスペース、そして幽霊学

Macintosh Plus: Floral Shoppe (2011) - Bandcamp 全国一千万ヴェイパーウェイヴ・ファンの皆さま、お待たせいたしました!ヴェイパーウェイヴに関連し、私がすてきだと感じた記事たち3本を、以下にご紹介します。まいりましょう! みしんさん: Vaporwave史…

音楽を愛さなかった偉人たち - The greats who didn't love music

モーリス・ブランショさん(1907〜2003)という著述家の書いていらっしゃることは、いつも実に難解……というか、あまり正直よく分かりませんが。しかし何かすごいような気がして、ついつい大いに尊敬してしまいます。 そのブランショさんの著述でも、きわめて…

B・イーノ《オブスキュア宣言》 - 「芸術における多様性の創出と組織化」(1976)

Harold Budd: Pavilion of Dreams (1978, Obscure no.10) - UbuWeb Sound 以下、ブライアン・イーノさんによる、1976年のエッセイを訳出します。そのタイトルは、「芸術における多様性の創出と組織化(Generating and Organizing Variety in the Arts)」(☆…

ワーグナー『ラインの黄金』 - 《オタクにやさしいギャル》は、実在し ないので

ワーグナー《ラインの黄金》全曲(独和対訳) by ショルティ/VPO (1958) - YouTube おなじみのリヒャルト・ワーグナーさん作、楽劇『ニーベルンクの指環』4部作。この巨大なドラマは、《ラインの乙女たち》に始まって、そして彼女たちによって終わります。し…

M・テヴォー/小崎哲哉, 現代アート関連書3冊 - 吉澤みなみさんをヴェネツィアへ!

ミシェル・テヴォー『誤解としての芸術』 (2019) - ミネルヴァ書房カバーアートは、M・カテラン「無題」(2001) アート等を愛する皆さん、ようこそ!この記事では、以下の3冊の《現代アート》関連書について、おそらく何かが書かれるでしょう。 ミシェル・…

コッティントン『現代アート入門』(2020) - 《抵抗のポストモダニズム》と Vaporwave

デイヴィッド・コッティントン『現代アート入門』(2020) - 名古屋大学出版会 私たちのヴェイパーウェイヴは、まずとうぜんポップ音楽であるとして……。と同時に、あり方として、《現代アート》にちょっと関係がありそうでしょうか?それは音楽の《レディメイ…

大野左紀子『アート・ヒステリー』(2012) - あなたの勝利,私たちは祝福します

大野左紀子『アート・ヒステリー』(2012) - 河出書房新社 『アート・ヒステリー』の著者・大野左紀子氏は1959年生まれ、2002年まで美術制作の活動をなされ、以後は教職と著述の分野で活躍なされている方だそうです。そして現場を離れたところから、アート…

荒木光/金城宗幸『僕たちがやりました』 - 裁きの恐怖 と 裁かれざることの不安

荒木光/金城宗幸『僕たちがやりました』 - ヤンマガWeb / コミックDAYS 『僕たちがやりました』は、週刊ヤングマガジンに掲載された一種のクライムストーリー劇画。掲載時期は2015-17年、単行本は全9巻(☆)。また2017年にはテレビドラマとして、映像化もさ…

山本弘『MM9』 - 21世紀の《怪獣》耽溺者, または SF と 観念論

山本弘『MM9』(2010, 創元SF文庫) どうにもオレらが《怪獣》ってものをいまだ、すこりすぎなキライを感じてしまう、21世紀のいま現在。現実的には怪獣なんて、出てもいないし、その被害をこうむった人もいないはずだが。けれども怪獣を語るお話らの出現は…

明星/納富・編『テクストとは何か - 編集文献学入門』 - カフカフカ フカフカフ

明星/納富・編『テクストとは何か - 編集文献学入門』(2015, 慶應大学出版会) 明星/納富・編『テクストとは何か - 編集文献学入門』(2015, 慶應義塾大学出版会)。これは、《ノストラダムスの大事典 編集雑記》というブログで紹介されていたご本(☆)。…

ファーガソン『憎悪の世紀』, 森恒二『創世のタイガ』 - オレは狼、私はポメラニアン(座敷犬)

ニーアル・ファーガソン『憎悪の世紀』(2007) - ハヤカワ・オンライン ニーアル・ファーガソンによる大部の著作、そしておそらく一定の話題の書であった、『憎悪の世紀 - なぜ20世紀は世界的殺戮の場となったのか』(上下巻, 2007, 訳・仙名紀, 早川書房)。…

ボードリヤール「なぜ、すべてがすでに消滅しなかったのか」(2009) - 感想文その3, ジダンの頭突きが

《ジダンの頭突き》の、懐しいAA! さてこの、ボードリヤール「なぜ、すべてがすでに消滅しなかったのか」というご本の感想文も、すでに第3弾。そしておそらく、これが最終回。なぜ終わりなのかって、図書館の本なので、そろそろ返さないといけないから。第1…

ボードリヤール「なぜ、すべてがすでに消滅しなかったのか」(2009) - 感想文その2, カーニヴァル&カニバル(食人)

ジャン・ボードリヤール「消費社会の神話と構造(新装版)」(訳・今村&塚原) - 紀伊国屋書店 また私ごとで恐縮なんスけど、パソコンのOSインストールにやたら時間がかかってくさる──、その間の気晴らし的な読書、ボードリヤール「なぜ、すべてがすでに消…

ボードリヤール「なぜ、すべてがすでに消滅しなかったのか」 - 感想文その1, 愚劣さと陶酔のカ〜ニヴァル!

さいしょに私ごとで、恐縮なんスけど。パソコンの再構成、およびLinuxのインストールでつまづいてしまった結果、この記事はいつもと違う環境で書いてんでぇース。 まあ、ふだんからアタマがいい感じのことは書いてないんで、とくに何も変わらないとも言えな…

書評:ジョン・マウチェリ「指揮者は何を考えているか」(2019, 白水社) / ハーマン「サイコ組曲」 by マウチェリ

マウチェリ「指揮者は何を考えているか - 解釈、テクニック、舞台裏の闘い」(2019, 白水社) ジョン・マウチェリ「指揮者は何を考えているか」、これは図書館でたまたま目についた本だけど興味深かった。けっこうその内容が頭にこびりついているので、記憶…