エッコ チェンバー 地下

─ €cco ₵hamber ฿asement, Vaporwave / Đésir đupłication répétition ─

ブートレギング(海賊版) -と- アプロプリエーション(流用)のアート

G・ブラック「果物皿とグラス」(1912)
G・ブラック「果物皿とグラス」(1912), パピエ・コレの第1号

まずは。ヴェイパーウェイヴがそれである、《アプロプリエーション(流用)のアート》について──。

P・ピカソさんとG・ブラックさんたちが、《パピエ・コレ》──のちの《コラージュ》の先駆──なる技法を開発したのが、1910年代の初頭であるそうです。もう、約110年ほどのむかしですね!

そのあたりから始まった、《アプロプリエーション(流用)のアート》。それはその以後、M・デュシャンさんらのダダ/シュルレアリスム、そしてA・ウォーホルさんらのポップアート、はたまた1980年代の《シミュレーショニズム》みたいなムーブメントら……。

……等々々へと受けつがれ、そしておそらくは、〈発展〉し……。

そして、いまも。主流的かどうかは存じませんが、現代アートの重要きわまる要素でありつづけでしょう。その、流用であり盗用であるような技法ら──が。

そしてヴェイパーウェイヴは、いま主に音楽の領域で、おおむね等価なことをしているのです。ほう、大したものですね!
──といったことをもう3〜4年ほど前から主張していますが、しかし反論されたことがないので、この認識は正しいです。

そのように、アートめいた諸活動における《アプロプリエーション》の正統性/正当性は、完ぺきに論証されています。
言いかえたならば、私どもヴェイパーの徒のスローガン──〈サンプリングは神/著作権はジョーク〉と、いうことです。まあ後者について、ジョークと言うには笑えないし、つまらないにしても。

ですが、ところで。

お脳の作りが雑な方々におかれては、その〈サンプリング=アプロプリエーション〉ということと、またぜんぜん違う〈海賊版/ブートレグ〉の製造販売ということを、あまり区別して認識なされていない……かも、知れません。
そのことが、やや危惧されます。

🥾 👣 🦵

そして。申すまでもなくヴェイパーウェイヴは、崇高なるアート/音楽のムーブメントに他ならぬもの。──それが意外とまれでもなく、チン妙でストレンジな劣化サウンドのバカみたいなたれ流しかのように、聞こえたりもするにしろ──。

ああ、まあ。ですから基本的にはそれは、ブートレギングに関わるものではありません。
……ではありながら……!?

いや。ヴェイパー界のゴシップ記者で、私はないですが。高尚なる《アート》のことのみをしか、語りたくはないのですが。
でも何か、ここで黙っているのも現実逃避的に、“すぎる”ような気がしますので、なるべく手短に。

およそ半年ほど前から、《仮想アルゴリズム》というレーベルの動向が、ちょっと目につくようになっています。彼らのウェブサイトによると、昨・2022年なかばから、ご活動なさっているようです()。

この方々は──。2009年のプロト・ヴェイパー時代から2015年あたりまでのヴェイパー名作のレアものたちを、デジタルとカセットで再び普及させようとしているようです。かつ、〈非営利のプロジェクトである〉と、みずからを規定なされています。

とは、いい感じのところもあるのですが。
しかし、問題があるかも知れないのは……。
その再リリースらが“すべて”、無許諾である──と、これもみずから宣言しているところのものです。

いやそれが。さいきんまで私もあまり、よく分かっておらず。
それでやや不用意に、レアな名作らのデジタルがずらりチン列された彼らのBandcampページを、三日前くらいにツイッター(現・X)で、宣伝してしまったんですよね!(

だがその時点では、言うほどの〈問題〉が、起こっている感じがありませんでした。

たとえば。《D・ロパティン》/《テレパシー能力者》/《セイント・ペプシ》……といった各位らのいにしえの名作などを彼らは、無許諾にてカセット複製して頒布なさっていたようですが──非営利を標榜していることをいちおう真に受け、〈販売〉ではなく頒布と見ておきますが──。

しかし、とくに〈問題〉だと指摘する声が、挙がっていなかった感じです。
であれば。こんなことは、気にしなければ、気にならないことなのかな……などと、私は解釈しておりました。

ですけれど、ついに〈問題〉となったのは──。
かの《ラグジャリー・エリート/luxury elite》さんが、ツイッターにて10月19日、この仮想アルゴリズム・レーベルの振るまいに、ご不満を洩らされたことからであります()。

なぜかしばらくの間、私をブロックしているTwitterアカウントが、“With Love”のブートを〔カセットとして〕リリースしている。
私はそれを許可しなかった。それだけだ。
私自身も“With Love”を再発したいが、残念ながらそれは実現しないと思う。

正直なところ、あまり事情がよく分かりませんが、しかし。

近く仮想アルゴから再リリースされる予定の“with love”──ラグジャリーさんによる、2013年のラヴリーなアルバム!──そのカセットが、無許諾のブートレグであることだけは、実に確かのようです。
なお、この仮想アルゴからの“with love”カセットは、いま現在(10月21日)、〈予約を受け付け中!〉くらいのステータスにある……かと思ったら、書いているさいちゅうになぜか、製品ページが消えています。

それで。
そういうことならよろしくない、その頒布だか発売だかが、中止されるべき!──というご意見が、〈シーン〉では支配的ではあるのですが。

だがいっぽう。
〈許諾のあるでもないサンプリングをメインの要素としているヴェイパーウェイヴで、許諾なきコピー作製が批判とかされるなんて、ちゃんちゃらおかしいぜ!〉──として、仮想アルゴを支持するむきが、意外と少なくもないような……。これがちょっと、私を驚かせました。

いかが考えるべきでしょうか?

……まずです。仮想アル・レーベルの活動が、ヴェイパーの〈シーン〉の要望の一端に応えてきたものであることを、認めなければならないでしょう。

すなわち。
私なんかは、フィジカルをとりわけ欲しくないタイプのファンですが。しかし、いい作品であればフィジカルを入手したい……と、考えるタイプのファンが、少なくはなく、おられのようです。
ですけれど。5年くらいより前の名作ヴェイパー・アルバムらのフィジカルは、きわめて入手困難! 中古マーケットに出たとしても、バカみたく高価であることがほとんどでしょう()。

そこらから生じる要望や渇望に、仮想アル・レーベルは応えて、そして一定の好評を得てきたと考えられます。

そこへこんどの、“with love”ですが──。作者のラグさんご自身が、そのカセット再発の見込みが“ない”──と、述べておられましょう?
〈買うならば、正規の販売物を!〉という主張が正しかったとしても、その正規品が“ない”──との状況を見はからって、仮想アルの活動がある気配なのです。

そして。彼らによる複製カセットの価格は一律10ドルであるようなので、たぶん大儲けには、なるべくもなく。それでどうにか、〈非営利〉と言われたらそうなのかな……という面目が維持されている感じ……?

というわけで、ブート製作者にも一分から三分ほどの理が──なくない感じもあるのですが。

……けどまあ私は、こう思うんですよね。

そもそもの話、どうしてラグさんのツイッターがブロックされていたのか──。そのあたりの事情から、よく分かりませんけれど。
ともあれ、この狭い〈シーン〉の中のことですから。もしも苦情みたいな働きかけがあったなら、まず話しあったらよくないでしょうか?

──そして。スロッビング・グリッスルによる歴史的・大名曲であるところの“Persuasion”のゆかいなビートをBGMにでもして()、仮想アルさんらのほうから〈説得〉をしてみれば?

そして。背後の事情を知らないですし、せんさくとかしませんが。どうしてもラグさんからの許可が下りないようであったら、その分は止めたらいいような、そんな気がしています。
それは10月20日、ツイッターでも私が述べましたように()。

──という意見は、〈善悪/正邪〉とかの判断を述べているのでは、ありません。そのてのことは、ほぼ何も存じあげません。
──だがしかし、この小さくも愉しい〈シーン〉の平和と持続可能性。それらを見こして、そう考えるのです。


Bootlegging - and - The Art of Appropriation

[sum-up in ԑngłiꙅh]
On the sale of the cassette of luxury elite's album "with love", a Vaporwave masterpiece from 2013, by the 仮想アルゴリズム (Virtual Algorithm) label. About how it not only does not have any permission, but seems to go against artist's will.
And these are the ongoing "cases" of October 2023. This article discusses them.

"If that's the case, it's not good, and the release of the cassette should be stopped!" - This seems to be the dominant opinion on the "scene".

On the other hand, however, there is another opinion.
"It's ridiculous that unauthorized copying is criticized in Vaporwave, where the main element is unauthorized sampling!" - There are not a few people who support Virtual Algorithm like saying that.
This surprised me a little.

What should we think about it?

First of all… It must be admitted that the activities of the Vir-Al label have been partly in response to the demands of Vaporwave's "scene".

In other words.
I am the type of fan who does not particularly want physicals. But it seems that there are not a few fans who would like to get a physical copy of good works…
However, it is extremely difficult to obtain physical copies of the masterpiece Vaporwave albums that are older than about 5 years or so! Even if they appear on the second-hand market, they are almost always very expensive.

Vir-Al has responded to the demands and cravings arising from these circumstances, and has received a certain amount of positive feedback.

And now, "with love"… The artist, luxury elite, has stated that "love to reissue With Love myself, but unfortunately I don't think that will ever happen" (), right?
"If you buy, buy the one legitimately sold!" Even if this claim is correct, there are indications that Vir-Al's activities are based on the fact that there are NO legitimated copies.

So, there is some justification for the boot makers.

…But well, here's what I think. As I mentioned on Twitter ().

It is within this small "scene". If there is a complaint, why do not talk about it first?

And. Why don't try to "persuade" one with the background music of "Persuasion" by Throbbing Gristle, a historical and famous song of the former century?

And. If Vir-Al still can't get permission from the artist, I feel that they had better to stop that part of the project.

I am not making any judgments about "right or wrong". I know almost nothing about that kind of thing.
However, the peace and sustainability of this small but pleasant Vaporwave scene - in anticipation of them, I think so.