ポ  サ  研

─ Post-Truth Sound Lab, Vaporwave et compagnie, Désir Duplication Répétition ─

Phil Tomsett: The Sound of Someone Leaving (2020) - 消える行為が空気を揺らす

イングランドアンビエント・クリエイター、《Phil Tomsett》さん()。別名義の《The Inventors Of Aircraft》をあわせ、かれこれ10年以上の活動歴があるもよう。
しかし、地味だった感じは否めず。アンビエントってのがさいしょから地味なんだけど、その中でもまた、ね。

けれどその2020年の最新アルバム、“The Sound of Someone Leaving”──全10曲・約43分を収録──、これはすごくいい。たんじゅんに聞いて愉しいし、しかも新しみがある。

何が斬新なのかって、ナマっぽいコーラスの響きをエレクトロニクスと組み合わせた、ハイブリッドで奥行きある清澄なサウンド。これがユニーク。
じっさいこのコーラスの扱い方がひじょうに洗練されたもので、たぶんサンプリングだと思うんだけど、しかしどうやって処理してるのか見当もつかない。あたりまえだが、シンセのよくある〈Choir〉とか〈Human Voice〉とかのプリセットトーンを使ったんでは、こんな深い音にはならない。

そしてそのコーラスの清らかで重層的な響きがしばしば、あのルネサンスの宗教的合唱曲くらいの崇高さにまで、いたり加減。もともと自分が、そういうジョスカンデュファイあたりをすこるので、そのツボをグサリと突かれちゃったんだよね。

あとそれと、Bandcampページの作品解説が──誰が書いたものか不明だが──ちょっとした名調子なので、少し引用しておきましょう。

トムセットの音楽は、完全に消える寸前の、優美で薄っぺらなものです。
音楽が一連の軽いアンビエントタッチのトーンを流れるとき、不在の痛みを感じることができます。音楽は空中に浮かんでいるので重力に逆らうようで、ボーカルは遠くに響き渡り、彼女の声を思い出します。
誰かがもうそこにいないとき、空のスペースは感情的な力で満たされます。まるで消える行為が、空気のような、超自然的な署名を残すかのように。

(グーグル翻訳より, 任意な抜粋)

今アルバムのタイトルが述べている、《誰かが去る音》ということ。そのテーマの味わい方は、各自の心におまかせするとして。
それにしても、アンビエントやネオクラに興味がおありの方々には、ぜひご一聴をオススメしたい傑作だと思うんだよね、これが。

Poison Coffee: Satiric Forums PRO (2020) - 味のある苦み、めしませ毒珈琲。

《Poison Coffee》というサウンド・クリエイターはブラジルの人らしいんだが()、しかしコーヒーの本場から〈毒入りコーヒー〉を供されるというのもイヤな話だ。いや、まあイイけどさっ!
そしてその人が、この2020年・秋、信頼のレーベル《B O G U S // COLLECTIVE》からリリースしたアルバムが、“Satiric Forums PRO”。全9曲・約30分を収録。

ところで? われらのBOGUSがヴェイパーウェイヴのレーベルだということは確かだが、しかし、この《毒珈琲》さんのアルバムがヴェイパーそのものだろうか、というところには疑問が残る。
じゃあこれがどういう作品かというと、まあ主要部分はアンビエントっぽいと言えそうだけど。でも、そんなにカンタンではない。

そこで収録トラックらを追っていくと、まずさいしょの6曲は、アンビエントっぽさの濃いパート。モヤっとしたストリングス系の音を鳴らし、主としてドローン的に、たまにメロディックに、静ひつなふんいきを作っている。
このパートは、ほんとうに気持ちがいい。耳に快適すぎて、逆に、〈音楽を聞いている〉という感じがしないくらいだ。

ところが続いた7曲め、急に交響楽的なブラスが〈ブフォエェ〜〉と鳴り始め、映画の緊迫シーンのスコアみたいな音楽になる。このトラックのタイトルが、“Banshie Grunt”というんだが、西洋妖怪のバンシーが出現しちゃったイメージなのだろうか。

さらに続く8曲めは、前曲のムードを引き継ぎながら、アコ風な要素とエレ要素らの絡ませ方が、ひじょうに“深い”トラック。かなり高級な操作をしているように聞こえるんだ。
そうしてラストの9曲めは、手法において8曲めを引き継ぎながら、内容的には、ほぼダークアンビエント。やはり妖怪の叫びみたいな不気味な音を鳴らしつつ、何かの物語が壮大なエンディングを迎えたようなムードがなくはない。

Poison Coffee: Kerala (2019) - Bandcamp
Poison Coffee: Kerala (2019) - Bandcamp
これの内容はキッツすぎるヴェイパーノイズ

というわけでこのアルバム、全体的にはアンビエントでもスコアでもねーし、《何》なのか分からない。
でも面白い作品だし、随所にきわめて非凡な響きがあるので、うちらヴェイパーウェイヴが悦んで引きとるぜェ、という気にさせるんだよね。

ちなみにこの《毒珈琲》氏、Bandcamp上では2016年から作品を出してきてるんだけど。しかしヘンなエクスペリメンタルやインダスっぽいのが多く、ヴェイパーそのものって感じの作品はなかったもよう。
もっとはっきり言えば、オレ的にちゃんと聞けるような毒珈琲作品は、この最新アルバムがお初。それも、〈風刺的フォーラム・プロ〉っていうタイトルの意味が、さっぱり不明だけど。

そうしてこれからの毒珈琲氏の作品がどうなっていくのか、それもぜんぜん見当がつかないんだけど。でも何かすごく楽しみなんだ。イェイッ

[sum-up in ԑngłiꙅℏ]
Poison Coffee seems to be a Brazilian sound creator, but it's also unpleasant to be offered poisoned coffee from the home of coffee. Well good though! And the album he released from the trusted label B O G U S // COLLECTIVE in the fall of 2020 is “Satiric Forums PRO”.
It's a rather weird work that starts in Ambient style and then turns into music like the score for movie's tense scenes. And the last ends as Dark Ambient.

It seems to be a bit of a messy composition, but the level of sound creation is very high. The fun of listening is strong. We look forward to future Poison Coffee blend!

t e l e p a t h II テレパシー能力者2: バーチャルリアリティ (2020) - 夢の中に幸福の到来を待つ

《t e l e p a t h II テレパシー能力者2》を名のる、ナゾのヴェイパーウェイヴ・クリエイター()。
この人は、ヴェイパー史上有数の偉大なアーティスト《t e l e p a t h テレパシー能力者》()と、同じ人──その現在のエイリアス──だろうと考えながら、以前にもチラリご紹介したんだけど()。

けど、だんだんに確信が、なくなってきちゃってるんだよね。同じ人なのかどうか。

なぜって、ご本家が確実に関わっていそうなプロジェクトが、精力的なアドヴァタイズで何やらをマネタイズとかしようとしているのに対し()、こちら《テレII》さんの周りは、あまりにも静やかすぎる。
ほとんど話題になってないみたいだし、同業者たちからの推しもない。注目してるのはオレくらいなんだろうか、と思うほどなんだ。

ただ、そんなかそけきたたずまいが好きなので……。誰が誰かなんてことはあまり気にせず、自分がいいと思うヤツのご紹介を続けるんだよね。

それでもってバーチャルリアリティは、《テレII》の人による2020年10月発の最新アルバム。全13曲・約45分を収録、内容的にはおとくいの《スラッシュウェイヴ》()。
けれどいままでの作らに比べると、やや実験味が薄れ、あれこれの操作が控えめかも。その分、聞きやすく親しみやすいと思う。中でも印象的なトラックは、W1NK「才ンリー・口ンリー」(1989)をスラッシュ化した3曲め。

で、それにしても、そのカバーアートが、何をいまさらのアポジー&ペリジー

いや、いまはもう知らない人も多いと思うけど、ジャケ写に見えているロボット2体が、そういう名前なんだ。これは1984年、ニッポンの《つくば万博》のハイテクブームのドサクサまぎれに、ちょっとアドヴァタイズされて名前を売ったキャラクターたちなのだった。

それで。うちらのエレクトロ的音楽の話としては、この《アポジー&ペリジー》の偽名のもと、われらの細野さまと戸川純ねーさんらが、企画モノのアルバム1コをデッチ上げている。そしてそこからカットされたシングルのB面曲、「真空キッス」がすばらしいトラック。

真空キッス きつく抱かれると
真空キッス チッ息しそうよ
受動的な私 性格ネ
自動的に瞳 閉じてるの

(「真空キッス」1984, 作詞:松本隆, 作編曲:細野晴臣

まあほんと、まず何より、この時期の細野メロディが《神》でしかないワケだけど。

にしても。ここで歌われている、〈受動的&自動的に、瞳閉じて〉……すると自発的&不可避的に、くちづけの快感と幸福感に自分は包まれる予定だという、きわまりきったオプティミズム
──そういうものを、われれわれはいまだ持ちうるのだろうか? あれこれのハイテク化が帰結する、魅惑的でエロティックなユートピアの到来、みたいなおとぎ話への信奉を?

で、そうして話は、《テレII》さんのアルバムのことへと戻り。

だいたい近ごろはカンタンにVRと略して言われるので、それをわざわざ〈バーチャルリアリティ〉とカタカナでフルに書くと、そこには1990年代的なVR待望の楽観的ムードが、思潮の墓場からよみがえって来ないでもないような感じ。

そしてアルバム『バーチャルリアリティ』は、主にローファイ化されたチルアウト音楽の断片のようなトラックらを積み重ねながら……。
……そしてそのクライマックスの12曲めで、タイトルが「奈落の底で失われた」、というところにたどり着く。とはいえ題名ほどには恐ろしい曲ではなくて、喪失感と諦念をトランキルに表現してるようなものだけど。

[sum-up in ԑngłiꙅℏ]
A mysterious Vaporwave creator named t e l e p a t h II テレパシー能力者2. I'm wondering if it's the new moniker for that famous t e l e p a t h テレパシー能力者, but not sure.
Anyway, the latest album by Mr. Tele-II is 『バーチャルリアリティ』 (Virtual Reality), is his favorite Slushwave work. Especially the third song, a slushed version of W1NK's “0n1y Lone1y” (1989) is impressive.

By the way, the robots that appear in the cover art of this album 『バーチャルリアリティ』 are “Apogee & Perigee”. They are characters that symbolize the optimistic high-tech aspiration mood created during the era of Tsukuba Expo 1984 in Japan.
And at that time, Haruomi Hosono, the techno god of Japan, and Jun Togawa, the techno diva of sublimity, under the pseudonym Apogee & Perigee, they created a work that depicts the image of high-tech resulting in a fascinating and erotic utopia. The sound still moves our hearts.

But now in the 21st century, Tele-II's album 『バーチャルリアリティ』 portrays the loneliness and feeling of loss we continue to experience every day in a flimsy high-tech environment.

身分けの前の、こと分け - ヴェイパーウェイヴのサブジャンル&関連用語たち

ヴェイパーウェイヴ関連でよく出る新語やチン語らの説明だよ!
気になる項目を見てくれてもいいし、また上から順に読んでみてもオツかもよ!!

《見出し語の一覧》 Vaporwave, ヴェイパーウェイヴ | Chopped and Screwed, チョップド&スクリュード | Slow Down, スローダウン | Chillwave, チルウェイヴ | Eccojams, エコジャムス | Hypnagogic Drift, ヒプナガジック・ドリフト | Aesthetics, エセティクス | Utopian Virtual, ユートピアン・バーチャル | Muzak, ミューザック | Mallsoft / Mallwave, モールソフト / モールウェイヴ | Late Night Lo-Fi, レイトナイト・ローファイ | Vapornoise, ヴェイパーノイズ | Signalwave / Broken Transmission, シグナルウェイヴ / ブロークン・トランスミッション | Ambient Vapor, アンビエントヴェイパー | Slushwave, スラッシュウェイヴ | Classic Vapor, クラシックヴェイパー | Vaporhop, ヴェイパーホップ | Future Funk, フューチャーファンク | Vaportrap, ヴェイパートラップ | Hardvapour, ハードヴェイパー | Vapormeme, ヴェイパーミーム

なお、以下の説明文らは、特記がなければ《Last.fmWikiの英文テクストをグーグル翻訳したもの。各執筆者さま方に感謝。「〈〉」内は、筆者(モドキ)による補足等。
そして現状がちょっとアレなので、以後随時、加筆修正されるはず(初稿:2020/04/16、最終更新:2020/10/20)。

《Vaporwave, ヴェイパーウェイヴ》

コンピューターソフトウェアを使用して、オーディオの残骸やゴミの音楽からサウンドを再構築する、インターネット上の少数のアーティストで構成されるジャンル。
〈中略〉ポピュラー音楽のサンプリングと1980年代/90年代のテレビ広告、ループ、スローダウン、ピッチ変更、およびチョップアンドスクリュー効果を多用しています。
このジャンルの名前は、ベーパーウェア(市場での発売(「煙を売る」)を意図していないコンピューター製品の軽蔑的な用語であり、蒸気の遠方への言及を表すものです。
〈図の作品、Macintosh Plus“Floral Shoppe”(2011)。これがいったい“何”であるかについては、いずれ別稿にて。〉

《Chopped and Screwed, チョップド&スクリュード》

チョップドアンドスクリュード(スクリュードアンドチョップド、スローアンドスローとも呼ばれる)は、1990年代初頭にヒューストンのヒップホップシーンで発展したヒップホップミュージックをリミックスする手法です。
これは、テンポを1分あたり60〜70の4分音符のビートに減速し、ビートのスキップ、レコードのスクラッチ、停止時間、および音楽の一部に影響を与えて「切り刻んだ」バージョンの オリジナル。
〈この項目は、英ウィキペディアより。そういう手法が陰湿なエレクトロニック系に持ち込まれ、そしてついついヴェイパーウェイヴが誕生しちゃった気配。
図は、DJ Screw“The Legend”(2001)。2000年に没したDJスクリュー、この技法の発明者、その遺作集。〉

《Slow Down, スローダウン》

〈音声サンプルのスピードを変えるにさいし、1990年代半ば以降のデジタルサンプラーは、“ピッチは維持してテンポだけ変える”という機能を持つ。一般ポップのリミックス作業などでは、これが重用されてきた。同様の操作が、いまではPC用の軽いソフトでも可能。
ところがヴェイパー式のスローダウンは基本的に、テンポもろともピッチを落とす。45回転のレコードを33で再生みたいな、原始的な響きを平気でタレ流している。
なぜそんな風であるかというと、そのマヌケな響きへの偏執的愛着、ユルさダルさへの希求、上記のDJスクリューらの影響、かつ全般に、こぎれいなサウンドへの抵抗、ローファイ志向、等々々。〉

《Chillwave, チルウェイヴ》

チルウェーブ「1980年代のシンセポップとドリームポップの出会い」(Glo-Fiと呼ばれることもあります)は、アーティストがエフェクト処理、シンセサイザー、ループ、サンプリング、シンプルなメロディラインを備えた重度にフィルタリングされたボーカルを多用することで特徴付けられる音楽のジャンルです。
〈中略〉New York TimesのJon Parelesはこのように音楽を説明しました。そしてしばしば弱いリードボイス)。それは、不況時代の音楽です。低予算で踊れます。」
〈チルウェイヴはヴェイパーの前身、またはきわめて関連が深いジャンルと見なされている。図は、Washed Out“Life Of Leisure”(2009)。これがチルウェイヴの代表的傑作アルバムと言われ、なるほど眠さにヴェイパー感がなくもない。〉

《Eccojams, エコジャムス》

Eccojamsは、電子音楽テクニックの一種として始まったVaporwaveのサブジャンルです。 Oneohtrix PointのパイオニアエイリアスChuck Personを使用することはありません。通常はキッチュな値の古いポップソングを使用し、ディレイ、グリッチ、リバーブなどの手法を使用してそれらを再構築して新しい音楽を作成します。
〈図は、Chuck Person's Eccojams Vol. 1(2010)、ヴェイパーの手法とセンスを決定づけた先駆的作品。
なお、上の説明文とは違うことを言うようだが、エコジャムスはヴェイパーのサブジャンルではなく、かつ単なる技法にもとどまらず、“エコ”とか称して盗用を正当化する根底的な根性の悪さそのもの──と、考えられる。〉

《Plunderphonics, プランダーフォニックス

〈現代音楽の作曲家(もしくはメディア・アーティスト)であるジョン・オズワルドが、1985年に提唱した概念。訳すれば「略奪音楽」、もしくは盗用サウンド。ヴェイパーウェイヴおよびヒップホップあたりは、基本的にコレである。〉

《Hypnagogic Drift, ヒプナガジック・ドリフト》

蒸気波の最も初期の形態の1つである催眠ドリフトは、他のサブジャンルよりも夢のようなもので、奇妙なサンプルから奇妙な催眠雰囲気を作り出し、時々アンビエントと境界を接するドリフト形式の音楽を作成します。
最初のアルバムHologramsのリリース以来、このスタイルの進化がありましたが、骨架的はこのスタイルの最初のパイオニアです。それは間違いなく、奇妙で刺激的なイメージを使用して音楽のシュルレアリスムを強調〈後略〉。
〈近ごろはそんなに言われないキーワード。なお、“Hypnagogic Pop”という似たような語もあるが、それは一般的にチルウェイヴの唄モノのこと。
図は、上の文中でも言及された、骨架的(骷)“Holograms”(2010)。傑作!〉

《Aesthetics, エセティクス》
Aesthetics, エセティクス, 美学

〈大学で教えられているような「美学」とは、違う。いまの英語のネット用語として、サブカルチュア内での「これヤバくねェ? イケてない?」みたいな趣向やセンスらが、「《美学》!」と呼ばれるもよう。
そしてそういう趣向らの中で大きいと見られるのが、なぜか1980年代めいたグラフィックや風俗やサウンド、およびその時代からのニッポン文化的なもの。
つまりヴェイパーウェイヴのテイストなのである、なぜか。〉

《Utopian Virtual, ユートピアン・バーチャル》

James FerraroのFar Side Virtualはproto-vaporwaveと見なされている人もいますが、アルバムへの初期の概念に対する影響は、関連付けによって独自のサブジャンルを生み出すようになり、今ではアルバム自体がvaporwaveと見なされる必要があります。
ユートピアの仮想音楽は、一般的にムザックを使用して、近未来的なユートピアの感覚を作り出しますが、一部の作品には不吉な偽ユートピアの響きがあります。
〈高尚なりくつを別にすると、現在このユートピアン・バーチャルは、主にシンセをチャラチャラと鳴らしたお調子のいいヴェイパーをそう呼ぶことが多い気味。
図は、ユートピアン系の元祖と目される、James Ferraro“Far Side Virtual”(2011)。このアルバムとその性格については、次の記事を参考にされたい()。〉

《Muzak, ミューザック》

〈“Muzak”、ムザック、ミューザックとは、あらかじめショッピングセンター等のBGMとして作られた安もの音楽。
その歴史が意外と異様に古く、1920年代には誕生していたらしい()。これがモールソフトの父祖だとも、まあ言えるだろう。なお、次の記事をもご参照されたし()。〉

《Mallsoft / Mallwave, モールソフト / モールウェイヴ》

モールウェーブ(Mallsoftとも呼ばれます)は、ショッピングセンターのイメージと、ショッピングモールで聞こえる匿名のソフトロックムザックのリミックスを使用して、ノスタルジアを引き出すことを目的としたVaporwave音楽のサブジャンルです。
〈この項目は、Aesthetics Wikiより。図は、식료품groceries“슈퍼마켓Yes! We’re Open”(2014)。サンブリーチのレビュー欄で最高レベルの評価に輝いた、モールソフトの歴史的傑作。〉

《Late Night Lo-Fi, レイトナイト・ローファイ》

Late Night Lo-Fiは、eccojamsと90年代のユートピア様式の蒸気波のレトロフューチュリズム(参照:ユートピア仮想および偽ユートピア)からサンプリングするという考えを取り入れていますが、それを新しい政治的な光の中で提示します。
それは、明るい光の感覚、ブルージーな感じの大都会の夜の作成に、より関心があります。この絵を描くために、80年代の音楽と滑らかなジャズを多用しています。
〈図は、ロフィ騎手“深夜のニュースを待っています ボリューム3ー衛星に接続する”(2020)。別に歴史的な名作っていうわけでもないけど、自分がコレをすごく好き。シリーズ前作らもオススメ。〉

《Vapornoise, ヴェイパーノイズ》

ベーパーノイズは、極端な細断性と過度に攻撃的な生産を特徴とする、研磨性のある蒸気波です。
ベーパーノイズは、マイクロサンプリング、ディストーション、静的および極端なサウンド操作を使用して、元のサンプルを認識できないようにします。
蒸気騒音の2つの素晴らしい例は次のとおりです。
  世界から解放され by 新しいデラックスライフ
  Y. 2089 by テレビ体験
〈この項目は、mMratnimiat氏のRedditへの投稿より。図は、テレビ体験“Y. 2089”(2014)。HKEがものすごくサエていた時期の変名作品で、半分くらいはシグナル系。そんなに激しくノイジーではない。〉

《Signalwave / Broken Transmission, シグナルウェイヴ / ブロークン・トランスミッション

Signalwaveは、特にテレビ広告などからの古いメディアサンプリングに主に焦点を当てた、蒸気波の非公式な名前です〈中略〉。
これらの「壊れた送信」には、通常、サンプルが重く〈乱用され〉、時代遅れのメディアの美学と穏やかな音楽的傾向という統一的な特徴があります。
これらのリリースでは、スムーズジャズを組み込んで、vaporwaveが構築されているゴミのムザックの美学を取り入れることもできます。
〈この項目は、Aesthetics Wikiより。ここらで言われる《シグナル》とは、テレビのCM、番組のテーマ曲やアナウンスなど、コンパクトでインパクトの強い音声サンプルらを指している。あまりニホンでは意識されない英語として、“sign”は街の看板らを言い、また“signal”はテレビラジオのCMらが言われる。記号論もビックリ!
図は、天気予報“あすの天気”(2019)。CMとお天気への変質的執着がスゴい。〉

《Ambient Vapor, アンビエントヴェイパー》

〈形容詞としてのアンビエントをくっつけただけ。雑に言ったら、《2814》みたいなサウンドでありそう。図のアルバム「新しい日の誕生」(2015)が、そのお手本。
……というぼんやりした認識しかなかったが、しかしその後、少しだけ考察を進めた。俗悪ヒワイなヴェイパー世界の素材や手法らを、ムリにでも荘厳化し《昇華》にまで導く──という無意識の意図が、このサブジャンルの根底にありそう。次の記事をご参照されたし()。〉

《Slushwave, スラッシュウェイヴ》

Slushwaveは、「t e l e p a t hテレパシー能力者」のサウンドを含むVaporWaveのサブジャンルです。通常のVaporWaveよりも長い(通常は6分より長い)重く重なったトラックで、ピンポンサンプリングと大きなリバーブで不明瞭になります。
〈スラッシュの“slush”とは、シャーベット状の雪、ぬかるみ、そういう何かドログチャッとしたものだそう。なお、英語で《やおい》を意味する“slash”とは違う。
Harley Magoo氏(アーティスト名・General Translator)によると、この語の誕生は、2014年にテレパシー能力者がSoundCloudで自作曲にそういうタグを打ったことによる、とか()。しかし、なぜ「ぬかるみ」なのかは説明なし。
ちなみにスラッシュのジャンル内では、テレパシーさん特有のぼんやりしたジャケ写、またニホン語の陰気な曲タイトル、そういうところまでをマネしていくのが、《美学》であるっぽい。様式美なので、パクリとかどうとか早合点してはダメ。
図は、そのテレパシーさんによる「仮想夢プラザ」シリーズ総集編(2015)。全31曲・約16時間なので、軽ぅ〜く聞いてみちゃえ〜。〉

《Classic Vapor, クラシックヴェイパー》

〈サンブリーチさんのご説明によると、“2012年ごろのオールドスクール・ヴェイパーウェイヴ、すなわち、主にサンプルらの編集でできた略奪音楽、それへの回帰”()。
たぶんだが2017年あたりから出てきた語であるように思われ、有力レーベル“B O G U S // COLLECTIVE”からの近作に、よくこのタグが入っている。〉

《Vaporhop, ヴェイパーホップ》

〈ヒップホップ的ニュアンスのあるヴェイパー。とくに、ビートのところにファンクのフレイヴァがある。ただし、まっとうなラップをフィーチャーしてるようなものは違う。
MF Doom”というラッパーのトラックメイキングがヴェイパーっぽいと言われ、確かにそうだが、しかし。〉

《Future Funk, フューチャーファンク》

Future Funkは、Vaporwaveのデボルブ〈devolution, 衰退〉であり、French HouseとモダンなNu-Discoを組み合わせた、よりエネルギッシュな傾向にありますが、Vaporwave(およびマイナーな方法ではChillwave)のテクニックを使用しています。
音楽はサンプルベースで、リバーブエフェクトが普及しているため、前作よりもグルーヴ感が増しています。他の曲、特にシティポップミュージックの日本のボーカルやアニメのサウンドトラックがよく使用されます。
〈後略。図は1980's NYディスコの聖地をイメージしたアルバム、SAINT PEPSI “STUDIO 54”(2013)。〉

《Vaportrap, ヴェイパートラップ》

Blank Bansheeが彼のアルバムにBandcampで「vaporwave」のタグを付け〈中略〉、Vaporwaveのイメージと音楽的なテクスチャーを利用した、ハイテクトラップとヒップホップ音楽の非常にリアルで新しいスタイルがあります。〈後略〉

《Hardvapour, ハードヴェイパー》

Hardvapourは、90年代のテクノ、ガバー、ハードコアテクノIDM、インダストリアルに影響されたベーパーウェーブのサブジャンルです。
著名なアーティストには、Sandtimer(HKE、hardvapourおよびDreampunkレーベルDream Catalogueの所有者)、DJ VLAD(wosX、別名Flash Kostivich(およびその他多数)
〈後略。残念なんだが、このところあまり流行らなくなっている。なお、これについてのみ“vapour”と英国式のつづりである理由は、オレの邪推だと、提唱者のHKEが英国の人であるため。
図はそのHKEによる、Sandtimer“Vaporwave Is Dead”(2015)。このときはすげーカッコよかった、このときは。〉

《Vapormeme, ヴェイパーミーム

〈ネット用語としてのミーム(meme)とは、ニホンで言う“テンプレ”くらいの意味か。そういうわけで、既成のヒナ型にちょっと何かしただけのヴェイパーが、ヴェイパーミームと呼ばれる。まあパロディみたいなもので、その最大の元ネタが、ご存じ「フローラル・ショッペ」。
で、はっきり言って、くだらないものが9割9分なんだけど。がしかし、そのミームやパロディのような性格がヴェイパーの本質っぽくもあって、否定はしきれない。
図は、MACINTOSH PLUS“FLORAL SHOPPE 911: FLORAL COP”(2015)。これは意外とくだらなくなくて、Redditの関連スレでも“ハハハッ、こりゃイイ”、ていどに好評。〉

なおヴェイパーウェイヴのサブジャンルいろいろについては、それを説明した感じの画像らも出廻っている。それらは、サンブリーチさんの記事にまとめられている()。

……と、ここまでやって、今回はチカラつきたんだよね。今後もちょっと考えて、必要そうなところは加筆修正しちゃうよ!

いやその。さいしょ、人さまによる文らのモザイクとして作ったら面白いかな、と思ってたんスけど。しかしスッキリしない感じになってきたんで、いっそ自筆でまとめたほうがいいっスか? ご意見アドバイス等を、待っちゃってまんもす〜。

サクラSAKURA-LEE: Star Virgin EP (2018) - 処女厨ホイホイ・Hが私のエネルギー!

《サクラSAKURA-LEE》という人は、ペルーのアーティストらしいんだけど()。それはともかく、今回の題材はひさびさのフューチャーファンク()。

で、実のところ、自分がフューチャーファンクをあまり分かってはいないので。ゆえにこのサクラ・リー氏による、“Star Virgin - EP”が、いいのか悪いのかも、あまり分かってはいない。
ただ……。そのカバーアートを眺めていたら、何か不快でもない微苦笑のわき上がってくるのを感じたんで、ついつい取り上げてみるんだよね。

さてこれがどういう性格のアルバムかというと、1988年ニホンで制作の特撮SFビデオドラマ『スターヴァージン』)へのオマージュ、みたいなものと考えられる。
よって“Star Virgin - EP”のカバーアートは、『スターヴァージン』サントラ盤のジャケをパロったもの。オビの部分やタイトルロゴらはそのまま流用し、そしてビキニ鎧武装したヒロインの姿を、実写からアニメ絵へと置き換えている。Kawaiiii〜!!!

と、そこらまでは仮に、よく分かったものとして。いや別に〈分かる〉ということが重要だとも思えないんだけど、ともあれ。
そのいっぽうで自分に分からないことは、“Star Virgin - EP”のサウンド面が、『スターヴァージン』のサントラと関係あるのかどうか、ということなんだ。

聞いてみると“Star Virgin - EP”は、1980年代のアイドルソングっぽい素材らを、よくあるようなフューチャーファンクへと料理した作品のよう。はっきりは言わないが、たとえばあのSEIKOタンの……いやまあ、はっきりは言わないけど、まあそういう。

で、そこまではいいんだけどさ。

いっぽうで『スターヴァージン』のサントラは、そういう感じに使われそうな唄ものを、2曲ほど含んでいる。その主題歌「スターヴァージン」(唄:岩間梨絵子)と、挿入歌「Hが私のエネルギー」(唄:黒木永子)。
そんな楽曲らなんてマイナーのきわまりだと思うんだが、しかし現在ようつべで、何とか聞くには聞けるんだよね。その本編らしきものを丸揚げしちゃってる動画の、いちばんラストに2曲が並んで収録されていて()。

で、聞いてみたら、それらが意外といいんだな……。その作曲担当は、かの川井憲次先生なので、道理でというか。または、〈意外なお仕事しておられっスね?〉というか。
ちなみに音楽が川井憲次氏による映像だと、押井守作品でオレのいちばん好きな紅い眼鏡が1987年の製作。その翌年が今『スターヴァージン』なので、この'80年代って濃いっスねェ〜。

ではあれ主題歌のほうはまだしも、何をいきなりタイトルが「Hが私のエネルギー」っていう挿入歌はどういうことだ。ヒロイン役の女優さんが歌ってるんだが、そのボーカルがまた、実にシロート丸出しもいいところだし。

ところがしかし、なぜかそれがいいんだな……。いや、“誰も”がいいと思うようなものじゃないだろうけど……。でも何か、この時代の女性アイドル歌謡みたいのに、特有のあいきょうが感じられて……。

──と、ゆーよーに。映像作品としての価値は分からないけれど、しかしかなりいい感じの音楽資源を世に遺してくれた、『スターヴァージン』。
で、そのいっぽうの、“Star Virgin - EP”。このアルバムを3〜4回は通しで聞いてみたんだけど、しかし『スターヴァージン』からの素材が入ってるようには、聞こえなかったんだよね。もし聞き逃しのカン違いだったら、そくざに謝るけれど。

せっかくなんで、ちょっとくらいは使ったらよかったのでは? 『スターヴァージン』主題歌の、〈スタァ〜・ヴァ〜ジ〜ン!〉と高らかに謳い上げちゃってるフレーズだけでも! 処女厨・大勝利》の凱歌として!!

【追記】 とまでを書いてからよく調べ直してみたら、今アルバムの続編である“Star Virgin II - EP”では、ヤッちゃってらっしゃるんだよね。サクラ・リー氏が、『スターヴァージン』主題歌の、丸使いフューチャーファンク・バージョンを()。
だとしたところで、それがオレたち処女厨のアンセムとするに足るトラックなのかどうか……。その判断は、同志である皆さま各位へと丸投げいたします。どうにもオレにはフューチャーファンクってものが、やっぱよく分かンないんだよね!

[sum-up in ԑngłiꙅℏ]
サクラSAKURA-LEE seems to be a future funk creator living in Peru. Actually, I'm not familiar with future funk, but when I was looking at the cover art of his "Star Virgin - EP", I felt a slight bitter smile that wasn't unpleasant, so just picked it up.
By the way, this album “Star Virgin EP” can be thought of as a homage to the SFX sci-fi video drama “Star Virgin” produced in Japan in 1988. The seductive cover art is a parody of the sleeve of the “Star Virgin” soundtrack album. The part of Obi is diverted as it is, and the figure of the heroine armed with “Bikini armor” is replaced from a live-action picture to an animation picture. Kawaiiii〜!!!

That's right, but I think this album doesn't use elements from the drama “Star Virgin” soundtrack. I'm sorry if it was my misunderstanding.
And I think the theme song and insert song of the drama “Star Virgin” are the obscured masterpieces by Kenji Kawai, a famous Japanese score composer. So I thought it would have been great if Mr. Sakura had created a cool modern sound by reusing them.

...Oh... After writing up to that, I looked it up again and found that it was done in the sequel to the album, "Star Virgin II - EP", A future funk version of the theme song of drama "Star Virgin" ().
So, is it a track that is enough to be an anthem for us Virgin Worshipers? The decision is completely left to YOU, all of our comrades. I don't really understand the taste of future funk!