エッコ チェンバー 地下

─ €cco ₵hamber ฿asement, Vaporwave / Đésir đupłication répétition ─

“サンプリングは神”なのか? - そしてDMT Tapes FLの苦境、そしてヴェイパーウェイヴ

《Dan Mason》というお人は、ヴェイパーウェイヴというよりフューチャーファンクのスター的クリエイター、そのひとり()。そしてその人が昨日くらい、こういうメッセージをツゥイッターに投稿していたんだ()。

SAMPLING IS GOD
COPYRIGHT IS JOKE

……サンプリングは、《神》なのだろうか? まあニッポンの2ちゃんめいた場所あたりでも、ごくささいなことであれこれを《ネ申!》と持ち上げたりするので、あるいはそのレベルのご発言なのだろうか。

ただじっさい、〈いまはサンプリング・ヘヴィーな音楽が面白い〉、とは自分も思うです。
かつ、〈しかもむぞうさで手抜きっぽい方法のほうがよりクール〉と思えて仕方がないので、かなりどうかしてる。まあそれくらいヘンじゃないと、こんなヴェイパーウェイヴなんていうソレに、深くアレしたりはしないけど。

そしてダンさんのご投稿の2行めの、〈著作権はジョークである〉という宣言。これについても、いろいろ思うところはありつつ……。

ところでかんじんな情報かも知れないのは、このダンさんのご投稿が、在フロリダのヴェイパーウェイヴ・レーベル《DMT Tapes FL》オーナー氏の嘆きのツイート()、それに対するレスみたいなものだということ。

DMTテープスは2014年から現在までに、すでに約900タイトルものアルバムをリリースしている、ヴェイパー界のいっぽうの雄。そのオーナーは《Vito James Genovese》という人だと認識されており、オレの想像によればDMTの作品らのたぶん半分くらいを、このヴィート氏が制作している。

で、そのヴィートさんだということにして、彼はいったい何を嘆いているのだろうか。
ツーイタァ特有の切れぎれの話で分かりにくいんだが、だいたいこういうことらしい。

8月22日あたり、ヴィートさんにBandcampから連絡が届いた。著作権関係のクレームがあったので、それに応じてDMTのアルバム1点を削除した、と。
その申し立てを行ったのはソニー何とかいう企業、という文字を見たような気がするんだが、しかしいまどうもそこらが確認できず。
どうであれ現在、DMTのBandcampページを見ると、880番台あたりからカタログナンバーが、かなり飛び飛びになっている。こんなでは、1点削除どころじゃないっぽいけど?

そしてこの憂きめに遭ったヴィートさんは、今後のBandcamp上でのDMTテープスの活動継続を、ほぼあきらめちゃっておられるようなのだった。

そして。いっぽうでは〈今後はサンプリングを使わない制作に転じたい〉、とおおせであり。
そしてまたいっぽうでは、〈これまでのDMT作品ら約900点を、P2Pネットワークでシェアして世に残したい、ご協力ヨロシク〉、ともおおせである。

そしてこういう場面に投じられた、ダンさんの〈サンプリングは神/著作権はジョーク〉という宣言なのだった。
が、こうやって《ダンさん》とか連呼してっと、お笑いマンガ道場(1976-94, 中京テレビ)みたいで懐かしっスね! 車だん吉さんラヴっ……でも、まあ、それはともかく、さて。

──〈サンプリングは神/著作権はジョーク〉。それはそうだとしても(!?)、オレらがうちわでそうだそうだと言ってるだけでは、とくに意味がない。
この独りがってなカン違いのきわまりを、世界の中の目に見える《現実》にしてイカない限り、とくに意味がない。

そうだとすればヴェイパーウェイヴは、必要以上のアンダーグラウンドな場所に退避してしまっては、あまりよくない、って気がするんだよね。
いずれヴェイパーウェイヴの在り場所がP2Pだけだとか、さらには《Torブラウザ》じゃないと見られない世界だとか、そんなことにはなって欲しくない。むしろ可能な限り、世間に向かって大っぴらに出しゃばって行かなくてはならない。

とはいえ? オレという自分が、タイーホされたり民事裁判の被告になったりしても上等だとか、そういう覚悟があるワケでもない。だってのにヒトさまらを煽っては、無セキニン&こっけいだけど。
とはいえ? やっぱり、言いたくなってしまう。全世界のヴェイパー者たちよ、スレスレのギリギリを狙え、ゴールマウスの四スミを衝いてイけ、と。

赤い薔薇の花ことばは、「美」「情熱」そして「愛」…

【付記】 このさい言わんほうがイイようなことなんだろうが、しかし。〈何ンでもかんでもツーィタァーで済まそうとする〉って態度は、少しおうちゃくなのでは? そう思ったんだよね、この件を調べていて。
何に対して誰が言っているお話なのか、そういう構造性がとんと見えないんだよね。そのシステムは。そこがツボなんだろうけどね!

とくに、長々し〜い複雑なお話を、ツゥイタッの制限に応じて10コものメッセージに小分けで投稿する──、そんなもんの《意味》が、超コミュ障でド陰キャのオレあたりにきっちり届くと思ったら、きわまったる大マチガイなんだよね。

うちらの得意なメディア論の定理として、〈メディアはメッセージである〉、そしてメディアの性質がヒトの思考にワクをはめ、その内容自体までを規定していく。
そこらを分かってない限りヴェイパーウェイヴなんか始まらないワケなので、するとツイー夕ーアってどう? 140文字制限の世界に自分を縮めて閉じ込めて、そこにあるものが《自分》なのか、少し考えてみては、ってェ気もしたんだよね()。

[sum-up in ԑngłiꙅℏ]
The music of Vaporwave is nothing but underground. But I don't think it's good to retreat to an underground place more than necessary.
“Sampling is God, copyright is joke”, says the industry, but just saying it doesn't make sense. As much as possible, I think we should make that selfish belief into a “reality” in the world.