ポ  サ  研

─ Post-Truth Sound Lab, Vaporwave, Désir Duplication Répétition ─

Squirrel Nut Zippers: Lost Songs Of Doc Souchon (2020) - ヴードゥー・キャンディをしゃぶらせろ

Squirrel Nut Zippers》、スカーレル・ナット・ジッパーズ()。元気に木の実をリスちゃんたちがかじる、みたいなイメージのバンド名なのだろうか?

調べていたら、まさにそういうブランド名のお菓子が過去のアメリカで売られていた、みたいな話も出てきた()。1926年に発売され、一時は広く親しまれていたものらしい。
ところですみません、リスとお菓子の組み合わせだと、ニポーン人のオレ的に《ライオネスコーヒーキャンディー》を思い出すことが、あまりにも不可避っ()。こちらはいまも現役の商品らしいので悦ばしい!

話を戻すと、本人たちが《SNジッパーズ》と略称しているバンドの2020年のアルバム、“Lost Songs Of Doc Souchon”。これの存在を、Bandcampのオススメか何かで知った。
それは全10曲・約33分を収録。そして〈初期のニューオーリンズ・ジャズ等々にインスパイアされた音楽〉、くらいの説明がなされているけれど、まあともかく一聴。

そうすると。冒頭の曲のイントロを聞いたら、〈おっ、ラウンジ・リザーズみたいな音楽?〉という気がした。やがて唄が始まったら、〈ああ、一時期のトム・ウェイツみたいな?〉、という印象を受けた。

まあ、ラウンジ・リザーズもトム・ウェイツもだいたい同じようなもの──なんて言ったら乱暴すぎるけど。どちらかと言えば後者っぽい、アメリカン・ルーツ・ミュージック的でディープサウス的でヴードゥー的なふんいきのポップであるようだ。このSNジッパーズの音楽性は。

そしてこのアルバム全般を聞いてみての感想がふたつ、〈演奏能力が実にすばらしい〉、〈しかし、キッチュであるという印象がぬぐえない〉。
トム・ウェイツのルーツ志向(っぽさ)にしても大きな意味ではキッチュと言えそうだが、しかしそういうワクを突き抜けてくる、奇妙な迫真性があると考えられる。いっぽうSNジッパーズの表現が、そういう《突出》にまでは、いたっていないのでは。

さて。SNジッパーズの作品でBandcampに出ているものは、ほとんど今アルバムだけみたいなので。じゃあ新人なのだろうか、これが1stアルバムなのか、そして今後の成長に大期待か──くらいに、一瞬思ったんだけど。
しかし知っている方々からすれば、そんなオイラがとんだおどけ者であわて者。

実のところこのバンド、1993年からず〜っと(断続的に)ヤッてるんだよね()。結成の地は、ノースカロライナ州のどこか。彼たちのYouTubeチャンネルから、そのかなり多くの作品らを視聴できそう()。

かれこれ四半世紀以上ものキャリアを誇る、そりゃあ演奏能力もお高くなりますわなあ〜?

そして、そうであるということは。
次のパラグラフの内容は、ちょっと予告してる感じの、《ラウンジ・ミュージックの歴史と現在》みたいな記事に書くべき話なんだが……。

オレらが現在言うような《ラウンジ》の起こりは、1990年代の中盤。このときに英と米とでそれぞれ、現在的なラウンジへ向かっていくムーヴメントらがあったと考えられる。
まずイギリスの側では、《チルアウト》を引き継ぐようなカタチでの、クラブにおけるラウンジ・ブーム。《マーチン・デニーエスキヴェルらの再発見》、とも言い換えられうる。
そのいっぽうアメリカ側では、ラウンジにつながるレトロな趣味のバンドらの勃興があった。その代表としては、《Combustible Edison》、《Big Bad Voodoo Daddy》、そして《Joey Altruda》あたりが目立っていた。

で、ここまで調べてきたSNジッパーズも、後者の一員くらいに考えてよいのかな、という気がしてきたんだよね。

けれど、何だろうな……。コンバスティブル・エジソンあたりにも言えるんだが、もうちょっと、イくべきところをイキきれてない印象がぬぐえない。
キッチュであること自体はいいんだが、しかしそこから、《何か》が突き抜けきっていない。こういう方向性、それそのものは好きなんだけど……!

そんなことからオレがまたあくどいことを考えると、例の《ヴェイパー処理》を施してみると()、SNジッパーズも、またけっこうイケ気味であるみたいな? ──と、そんな戯れ言をお聞き流しくださいませ。