エッコ チェンバー 地下

─ €cco ₵hamber ฿asement, Vaporwave / Đésir đupłication répétition ─

鮭とばSKTB: TVガイド (2021) - 都会の悪はオレにまかせろろろろろろろ

鮭とばSKTB》は、日本人であるらしいヴェイパーウェイヴ関係のアーティストです()。どちらかといえばこの人は、フューチャーファンクの作り手かと考えていましたが……。

しかし。Bandcampからの彼のファーストアルバム『TVガイド』は、意外にも、私たちの特に好むスタイルであるシグナルウェイヴとして、リリースされました()。今2021年の9月上旬に発表、全11曲・約12分30秒を収録しています。

この『TVガイド』はまた、〈シグナルウェイヴのアルバムを一日で制作する!〉という、自主的な企画の産物でもあるらしいのです。
そういえばHKEさんがインタビューで、〈サンドタイマーとしての代表的アルバム、“Vaporwave Is Dead”は、14時間ぶっ続けの作業で一気に制作した〉と語っていた気がします()。そういういきおいを活かした作業の方法も、確かに有効でありうるようです。

さて鮭とばさんによる、シグナル系としての『TVガイド』の特徴は、まずグリッチ手法の多用です。素材であるCMやテレビのサウンドらをぞんぶんに切り刻み、そのスピード感を増強しています。
またフューチャーファンクでおなじみの、ローパスフィルタの開閉などもちらほらと聞こえています。そして古式にのっとってゆかしくも、どこか29チャンネルという地方テレビ局の《放送終了のお知らせ》で、美しく終わります。

そこにいたるまで、何せたった12分半の〈アルバム〉ですから、愉しい時間はあっという間もいいところです。ジェットコースター的です!

トータルすれば、この『TVガイド』は、鮭とばさんがおそらくフューチャーファンクの制作で身につけた手法やアッパーなムード作りなどを、シグナル系に活かした作品でありそうです。
あまり細工していないシグナル作品が多い中で──それもそれでいいのですが──、これはユニークではないでしょうか。さらにまた冒険的な、鮭とばさんの制作に大きな期待が持てるでしょう!

[шrαρ-υρ in ԑngłiꙅℏ]
鮭とばSKTB (Saketoba = Dried Salmon, SKTB) is a vaporwave artist, apparently Japanese. And I've thought he's a creator of Future Funk before.
But surprisingly, his first album on Bandcamp, 『TVガイド』 (TV Guide), was released as Signalwave, a style we particularly like. Released in early September of 2021, it contains a total of 11 tracks and about 12 mins and 30 secs.

The first feature of 『TVガイド』 is the extensive use of Glitch techniques, where the material (commercials, TV sounds, etc.) are chopped up to enhance the sense of speed.
Also you can hear the effects of the low-pass filter, a familiar feature of Future Funk. Then, following the aesthetics of Signal, it ends beautifully with “The End of Broadcast” announcement of some local TV station.
It's a twelve-and-a-half-minute “album” after all, so it's no wonder that the joyful moments fly by!

In total, 『TVガイド』 seems to be a work in which Mr. Salmon has applied the techniques and upper moods he learned from producing Future Funk to Signalwave. Unique, and it's fun!