《COOLSUN 涼日》は、米アイダホ州ボイシー在住のライリー・ミラーさんによるヴェイパーウェイヴのバンドです(☆)。
アイダホといったら、ポテトしかない土地のような感じですが──始まりました偏見ステレオタイプ──。
しかしその州都ボイシーは、全米でも指折りの治安のよさで知られ、しかも現在はITみたいな産業の栄える、きわめてクールな都市であるようです。
そして“Coolsun Rises”は、2021年6月・発、クールサン涼日のファーストアルバムです。全7曲・約40分を収録します。
そのすべてのトラックのタイトルが、《暹》という難しい漢字を含みます。調べたらこれはずばりサンライズ、〈日の出〉という意味であるようです。
そしてその音楽スタイルは、きっぱりとスラッシュウェイヴです(★)。
さいしょのトラックがプレリュード的な短いインストゥルメンタル。以後の6曲は、1980年代ニッポンのシティポップ曲らを、じっくりとスラッシュへ展開しています。
そして。《ここ》には、はっきりとサンプル元などを書かないのですが……。
ですが、まずさいしょのほうに登場するのが、問宮責子さんの「衰しみは夜の向こう」。それに続くのが、否里さんの「ラス卜・サ▽ー・ウィ又パー」。いずれもオリジナルは1982年リリース……くらいに言うと、その選曲の傾向がつかめるのではないでしょうか。
そういえば後者の楽曲は、一年ちょっと以前にも、新しい感じのR&B曲のサンプリングソースとして、ご紹介しました(★)。それやこれや、80'sシティポップへの評価の高まりが続いていますが、それはそれとして。
さて、こうしたシティポップを素材としたスラッシュウェイヴ作品、すでにかなり多くのものが作られていますが……。
その中でクールサンさんのトラックらには、もともと原曲らが含んで匂わせているエロティシズムの自然な増強、ということを感じたんですよね。
スローダウンされたサウンドの、減衰のところのトランジェントが、つややかにエロティックなのです。しかも重くなく、さらっとさわやかな感じに。
そのいっぽう。何かと話題にせざるをえない人ですが、このスタイルの元祖である、偉大な《t e l e p a t h テレパシー能力者》さん(☆)。彼のスラッシュのきわまりは、ドロドロと密室的な情念の煮こごりみたいなところがあると思うのですが、またそれとはテイストが違うということです。
ですから。クールサンさんの1stアルバム“Coolsun Rises”は、スラッシュ陣営各位の中でも、もっともライトな感じに仕上がっています。こういうものも大いにありでしょうと、私は愉しんだのです。
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COOLSUN 涼日 (“涼日” means just cool sun) is a vaporwave band by Riley Miller, who lives in Boise, Idaho, USA.
And “Coolsun Rises” is the first album of COOLSUN 涼日, which was released in June 2021. Contains all 7 songs, about 40 minutes.
And the music style is definitely Slushwave. Most tracks there are made from Japanese 1980's City-Pop .
Now, many Slushwave works based on City-Pop have already been produced…
Among them, I felt that the Slush tracks by Mr. COOLSUN were a natural enhancement of eroticism that the original songs originally contained.
The transients at the decay of the slowed down sound are luscious and erotic. Moreover, it is not heavy and feels refreshing.
On the other hand, the great t e l e p a t h テレパシー能力者 who is the originator of this style, I think his Slush is mass of sludge, introvert and secretive passion, but COOLSUN's Slush has a different taste.
Therefore. COOLSUN's 1st album “Coolsun Rises” is the lightest of all the Slush camps maybe. And I enjoyed it while feeling that this direction was also good.