ポ  サ  研

─ Post-Truth Sound Lab, Vaporwave / Désir Duplication Répétition ─

girl in red: watch you sleep. (2019) - 無限に拡がる大宇宙、そこにふたりきり

《girl in red》は、ノルウェーの女性シンガーソングライター《マリー・ウルヴェン Marie Ulven》のステージネーム()。その音楽性は、ホームメイド感覚のローファイなドリームポップ、くらいに言えそう。

1999年生まれのマリーさんは、2016年、自作曲である“i wanna be your girlfriend”を、SoundCloudに投稿。これがバズりにバズったのを手始めに、彼女の楽曲らはこんにちまで、約1億5千万回ものストリーミング再生数を記録しているとか。
こうしていま、スターダムに登りつつあるマリーさん。彼女は現在、初のアルバムとなる“World in Red”を制作中。で、今2020年中にはリリースされる運び。

──といったアウトライン的説明は、英語のウィキペを参考に書いているんだが()。しかし自分的には、このガール・イン・レッドとの、いちばんさいしょの《遭遇》の仕方が、奇妙でゆかいだったんだよね。

さていきなりだが、皆さまは、《UFO》にご興味をお持ちでしょうか? 自分はといえば、別に信じてもいないけど、ワリにちょっとね!
そうなので、UFO関係のウェブサイトを見たりするけれど。そこで目に入ったのが、〈ふたり乗りのUFO、ふたりぼっちの世界〉と題された記事だった()。

この記事は、フランスで1966年あたりに発生した目撃事例の紹介、として始まる。まるで2シーターのクーペのように(?)、どう見ても2人乗り専用のUFO、そしてそこに搭乗したエイリアンらしき人影らが目撃された、とのお話。
が、そうかといって、そこから大事件に発展したワケでもなかったらしい。せいぜい、目撃者の運転していたクルマのエンジンが一時的に止まってしまった、そのくらい。

しかし続いてビックリなことに、記事の後半には、とんだロマンチックな《想像》がつづられている。何かの病で瀕死の恋人を、憧れの星である地球に連れて旅してきたエイリアンだったのだろうか、うんぬん。……何だそれは
そしてその記事の末尾に、なぜかどういう説明もなく、ガール・イン・レッドの2019年のシングル曲であるwatch you sleep.”、そのつべ動画が貼り込まれているのだった。

〈なぜか〉にしても、ほどがあるっ。ちなみにこの時点でオレちゃんは、ガール・イン・レッドのことを何も知っていない。それであっけにとられながら、《意図》はさっぱり読めないけれど、ともかくもその動画を再生してみた。

そうしたらそれがすごくいい曲だったので、いまこういう記事を書いている。自分のあまりにも好みすぎる、人を甘ぁ〜く寝かしつけるような催眠的ポップソングで。

そしてまあ……。いまとなっては、その記事の《意味》か《意図》も、分からないではないんだよね。
恋人同士の、ふたりきりマンツーマンの、閉ざされながら無限の世界。そのようなモチーフで、さきの《想像》のスペース悲恋ストーリーと、ガール・イン・レッドの楽曲が、びみょうにしてもつながっているのかと。UFO記事のタイトルにも、〈ふたりぼっちの世界〉とあるように。

ちなみにその、〈ふたり乗りのUFO〉記事の出もとである《Spファイル友の会》。この方々は、かなりユニークなスタンスでこの話題に取り組んでいるグループだとは、存じ上げていた()。
だがそれにしても、ひところハヤったおセンチケータイ小説みたいな宇宙人ロマンスへの展開には、ド肝を抜かれたし。さらにそこへ、何の関係もなさそうなバイラルヒット曲を合わせてくるセンスが卓越しすぎ、感服!

と、いうことから、ガール・イン・レッドに興味を持ったんだ。

で、いろいろ聞いていて──かつ曲名やカバーアートらを見て──フと感じたんだが。この人の唄らは全般だと、ふんいきが、ちょっとヘン
何がヘンなのか、端的に言って、レズビアンの世界が歌われているのだろうか、と思った。

そこから調査を続けたら、ガール・イン・レッドのマリーさんが同性愛者であることは、別に秘密でも何でもないもよう。そもそも初ブレイクの曲、“i wanna be your girlfriend”からして、女友だちのハンナちゃんに向って〈あなたの恋人になりたい!〉と、(内心で?)訴える唄だったし。

そしてスマンのですけれど、ガール・イン・レッドの、〈レズだから〜〉、〈女の子同士で〜〉、みたいなモチーフの楽曲らが、実はあまりよく分かっていない。そんなにはグッとこない。自分が男でしか“ない”、からか。
そのいっぽう、瞬時でオレをひきつけた“watch you sleep.”は、いわゆる朝チュン的な状況下、先に起きた自分が眠っている恋人の姿に見とれるみたいな唄で、同性愛を匂わせる要素はなさげ。そこがいいのだろうか、自分にとっては。

ともあれ。あのビリー・アイリッシュの“Six Feet Under”(2016)からのブレイクにも近い形で、いまガール・イン・レッドのマリーさんが、世界へはばたこうとしている。
その成功を自分は祈りつつ、そしてたまには再び、“watch you sleep.”みたいな曲を出して欲しいと思ってるんだよね。イェイッ