エッコ チェンバー 地下

─ €cco ₵hamber ฿asement, Vaporwave / Đésir đupłication répétition ─

Ӎötοrdrivεn Ꙅcrüε: GїяꙆꙅ GїяꙆꙅ GїяꙆꙅ (2021) - 炎とのたわむれ、とらわれの“IP”

Ӎötοrdrivεn Ꙅcrüε: GїяꙆꙅ GїяꙆꙅ GїяꙆꙅ - YouTube
Ӎötοrdrivεn Ꙅcrüε: GїяꙆꙅ GїяꙆꙅ GїяꙆꙅ (2021) - YouTube / Bitchute
ギャルとガールと女の子たちなくしては…!

まずは、一種の自作曲の発表みたいなことで。この“GїяꙆꙅ GїяꙆꙅ GїяꙆꙅ”は、ヘヴィメタル・ヴェイパーウェイヴです! 男の世界だあ〜! イェイッ。

あ、そして……。ヘヴィメタルはよいのですが……。

このトラックはさいしょ、SoundCloudにアップロードしたら、わけの分からない言いがかりをつけられ、瞬時にデリートされちゃったものなんですよね!

「怒らないでくださいね、このトラックは、“あの曲”のコピーか何かですよね?」

いやたぶん、AIとかのオートメ作業でチェックしてるんでしょうけれど。素材がニッポンの曲であれば、摘発されたことはないのですが。
──やっぱりヤバいですね、全米ベストテンにも入ったくらいなワールドワイドのヒット曲を、あれするのは!

で、さて。抗弁のしようもないので、仕方なく動画めいた形式に造りなおし、ひさびさにYouTubeにアップロードしてみたのですが。
がしかし、あすあさってあたりには消えている、もしくは音声だけ消されている──、のようになってもふしぎはありません。

……と、いいますか! あぷしたものが消えるくらいなら耐えしのびますけど、しかしいきなり逮捕とかされては、さすがにたまりません。

というのは……。おとといあたり、《ファスト映画》というものを制作し、〈ようつべ〉にアップロードしていたグループの3人が逮捕される、という報道がありました()。
私は近ごろ映画を視ないので、このファスト映画というものの存在自体、まったくの初耳だったのですが。

星になった恋人: Vague Memories of Astral Love (2021) - SoundCloud
星になった恋人: Vague Memories of Astral Love (2021) - SoundCloud
おぼえていますか…? ふれあった時を…!

が、しかし。〈商業映画の海賊版アップロードはよくない、やらないべき、取り締まられるべき〉──ということを前提としても、この逮捕劇には疑問が残ります。

まず、そのファスト映画というものを、海賊版である、と断言できるのでしょうか?

120分くらいの映画を10分ばかりに編集、そして独自のナレーションやテロップまで付加していたとあれば、それは一種の〈二次創作〉や引用だとも見られるのではないでしょうか。
とはいえ、かなりあやしいしろものではありそうです。その正邪の線引きは、いずれ裁判所が判断するのでしょうけれど。

次に、いきなりの逮捕という必然性があったのでしょうか?

もっとあやふやなプラットフォームならば、いざ知らず、つべとあれば、たぶんまっとうな企業であるはずです。よって正当な権利者の申し立てがあれば、その権利を侵害している動画は消す、少なくとも非公開にするでしょう。いわゆる〈垢BAN〉などの対応も、考えられるでしょう。
それらの何かをしなかったとすれば、つべも共犯者になってしまいます。《DMCA》の仕組みは、そういうものだと考えられます。

さらに、つべのアカウントデータにうぷ者のメアドと電話番号が出ているわけなので──また収益化されている場合には、何らかの口座の番号なども──。その窓口から権利者や代行者らが、うぷ者らに厳しく警告することもできたでしょう。
ですが、そういうことらがなされずして、いきなりの華麗なる逮捕劇だったとすれば、かなりふに落ちないところがあります。

かつまた。警察がこれを立件するにしても、逮捕ということをする必要があったのでしょうか。在宅での捜査や起訴ではとても済まないくらいの、大物容疑者で、彼らはあるのでしょうか?

いやはや。このニッポンとかいう国では、きっちりと2〜3人を高級車でひき殺しても《上級国民》ならば逮捕されず、いっぽうギリギリのラインを越したか越さないかの動画をアップロードしたくらいの者らが、ようしゃなくブタ箱にブチ込まれる。そういう法の前の格差システムが、すでに確立されてしまっているのでしょうか。

Petits seins: L'île comme un jeu pour la m@stur♭αtiοn (2021) - SoundCloud
Petits seins: L'île comme un jeu pour la m@stur♭αtiοn (2021) - SoundCloud
素材は、アダルトゲームの主題歌みたいです!

もしも、〈一罰百戒〉あたりを意図して過剰に厳しい対応に出たのだとすれば、それは法の前のアンフェアということにはならないでしょうか? 逮捕のためのタイーホでしょうか?

そして。〈こういうふうにも考えられる〉ということをまったく考えもせず、産業サイドのなれあい癒着か上意下達の方式で、〈違法だ! 犯罪者だ! 牢屋にブチ込め! 罰金などをしぼりあげろ!〉みたいな話を煽り上げるマスゴミ。うんざりですけれど?

と、まあ、そんなことも、ありますので。

いっぽう。私どものヴェイパーウェイヴみたいなやつは──そのかなり多くの楽曲はサンプリングをベースにした作品、露悪的に言われる《略奪音楽》です()──、まあその二次創作とか、あるいは引用やリスペクトや〈フェアユース〉だとか、そのくらいのものだとは、考えておりますが。

それにしたっても、何か権利者的な方面でお気に召さない、という場合には……。プラットフォーム側で消されても抗議はしませんし、また警告をいただけば自分で消しますので。そういう感じで、ぜひおながいいたしまぁ〜す!

なお。私としては、とうぜんながら〈ヴェイパーウェイヴ -と- 著作権ということは、かなり前から意識していました。
それで、IP(intellectual property, 知的財産)がどうのこうのといった本を、たぶん10冊くらいはななめ読みしましたが。

しかしどういう勉強をしても、明るい見通しがありそうな感じがしてきません!

りくつとしては当方にも分がないではないが、しかし世界の動いている方向は、どう見てもこちら向きではない。しょせん、ものをいうのはカネと権力です。営利企業らのごつごうで、そのIPとやらが過剰に保護され、囲い込まれようとしている──。
そのあおりで、かの偉大な《青空文庫》さんも、向こう20年くらいは新しいテクストらを収録できなくなっているわけです。

と、ほとんど望みがないようなお話を《ここ》につづるのも、何か申しわけないような気がして、そういうところに言及してこなかったわけですが。
と、そうしているうち、おなじみのヴェイパー関係ポータルサイトユートピア・ディストリクト》に、そういう話題の記事が出てきました()。

「傾きつつあるサイバースペースの、検閲と著作権と題されたその記事は、ちょくせつ的には、あるできごとのショックを受けて書かれたものです。
そのできごととは、オーストラリアのヴェイパー系アーティストである《TUPPERWAVE》さん()、その2021年2月のアルバム“Marina II”が、著作権的なチェックをこうむったことです。
そのせいで、本来10曲入りだったアルバムが現在は、6曲しか公開されていません。聞ける限りを聞いたところ、ひじょうにゆるくてかなりいい音楽だと思いましたが、しかし。

そしてそのことを受け、ゆ〜とぴあの寄稿者である《Voiture <3》さんは……

〈アートなるもの全般の歴史が、かなりの部分、先行した作品らの引用や再利用らでできていることを思えば──かつ、創造性や表現の自由らの尊さを思えば──“IP”みたいなもんはクソっスね、忌憚なき意見っス〉

……くらいを、述べておられるようです。

まったくそうだと私も思うのですが、しかしそれは、〈こちら側〉の考え方です。
あちら側のほうへと、通じるりくつであるような、そういう気がしません!

そういえば、20世紀のお話ですけれど……。
1994年に当時はやりのハードハウスで、“Witch Doktor”の世界的大ヒットをかっ飛ばした、アーマンド・ヴァン・ヘルデンさん()。
この人がその当時、確かこんなことを述べておられたのが、印象に残っています。

〈大ヒットはうれしいんだが、それの海賊盤ヴィニールの横行に心を痛めているんだぜ。
オレの楽曲を入れたMIXテープを販売することは、ぜんぜんかまわない。
オレのトラックの一部分らをサンプリングして、自作らの素材にすることもかまわない。
だがしかし、コピーそのまんまをプレスした海賊盤の販売は許せんっ。〉

……そんな感じの線の引き方が、いいんじゃないかと思うのです。なにせ本場NYの超一流DJ/プロデューサーがこう言われるので、そういうものでしょう。
ですけどそういうまともなりくつが、人の心を失いカネの亡者になり下がった方々には、ぜんっぜん通じないんですよね!

と、いうわけで、どうにも明るいお話には、展開しにくいようです。
ただ、せめて私個人がタイーホされませんようにと、アートか何かの神々に──ついでに盗っ人らの保護者であるヘルメース神に──、祈りと願いを捧げつづける日々なのです。

[sum-up in ԑngłiꙅℏ]
Vaporwave's activities tend to run afoul of something called “IP”, or intellectual property.
An Australian artist, TUPPERWAVE, has been hurt by this. His masterpiece album from earlier this year, “Marina II”, was subjected to a copyright check, and now only 6 songs can be heard, instead of the original 10.

In response to this, Voiture <3 of Utopia District wrote an article titled “Censorship And Copyright In Cascading Cyberspace” ().

Considering that the history of Art in general is mainly made up of quotations and reuses of earlier works - and considering the preciousness of creativity and freedom of expression - “IP" is crap!

That's pretty much what the article says. That's what I think, too.
But that's the view from “our side”. I don't think it's possible to convince “the other side” by this reasoning.

The outlook doesn't look too bright, but even so, our Vaporwave must go forward!