エッコ チェンバー 地下

─ €cco ₵hamber ฿asement, Vaporwave / Đésir đupłication répétition ─

DROIDROY: 明晰夢 (2021) - やさしみの色に染まった パノラマ夢スケープ

東京に在住の《DROIDROY》さんは、アンビエント系ヴェイパーウェイヴのアーティストです。2018年あたりから活動し、早い時期からかなり高い評価を得ていると思われます()。

そして彼の最新アルバムである明晰夢は、全8曲・約33分を収録。まさにドリーミィな、甘い甘いアンビエント・ヴェイパーです()。メロディに富み、しかもサウンドが立体的でグラデーション豊か。
そのサウンドの中で、〈明晰〉であるパートらとモヤかしているパートら、両者のバランスが絶妙なのです。ほんとうにすみずみまで、しっかりとやさしく作られたものだと感じられます。

ですから逆に、あっという間に聞くことの愉しみが、過ぎ去ってしまいます。33分という演奏時間は短すぎる、もっともっと長くこの甘い夢の空間にたゆとうていたい──と、せつに私は思いました!

と、結論はそういうことですが。しかし。
……何らかの念のため、この記事の文頭のごく短いセンテンス、その記述について、以下で少し補足します。

まず、この方のステージネームですが。
文字らを区切って、《D R O I D R O Y》と表記されていることもあります。
ですが、いまここでは、ご本人のBandcampページの表記に従います。そして読み方は、〈ドロイドロイ〉かと、推測しておきます。

次に、〈東京に在住〉というところ。
このヴェイパーのかいわいには、へいきで偽りの居住地を申し立てる人が、かなり少なくありません。もちろんそれは、しゃれなので、いいんですけれど。
しかしこのドロイさんの場合、ツイッターでなめらかなニホン語を使っておられるのを見た気がしますので、ニッポン人であるくらいまでは信じられそうです。イェイッ

それと、さいごに。〈アンビエント系ヴェイパー〉と書きましたが、しかしドロイさんの音楽がヴェイパーウェイヴそのものであるのかは、断言ができません。

ここらで思いますところを、できるだけ短く言えば……。

私の感じる限り、ドロイさんによる制作は、アンビエント・ヴェイパーの歴史的な大傑作である『新しい日の誕生』(2015)のインパクトを──または影響を──、もろにこうむっているようです。サウンド面でも、アートワークらにおいても。

そしてその『新しい日の誕生』は、アンビエント・ヴェイパーでもあるのですが……。
しかし、現在。その作者コンビ《2814》の片方であるHKEさんは、それを、彼が創始した新ジャンル《ドリームパンク》の発端である、と意味づけし直したいようです()。

その流れから、ドロイさんによる作品らにしても、どちらかといえばドリ・パンなのかも知れません。むりにその作品らに、ヴェイパーだというラベルを貼る必要はなさそう、とも思えます。

そして、その、ヴェイパーから生まれたドリ・パン──。それとヴェイパーとの関係は、両者の違いは、どういうものと考えるべきなのか?
いまだにそれは、はっきりしていません。誰にもうまくは、説明できていないでしょう。

……あ、いや。ドリ・パンおよびHKE氏の話なんかをしていても、私(および、おそらく皆さま)のテンションが下がるだけなので、ほどほどにしたいですが。

私たちが愛し尊敬してやまぬHKEさん、その制作については、近作らにおいても、ひじょうにいいものがあると思うんですけれど……()。
かつそのいいと思う部分が──彼がドリ・パンだとしているサウンドが──、いま聞いているドロイさんの音に、ぜんぜん似ていないとも思えませんが。

まあ。私なんかは頭がヴェイパーですので、ゆえにドロイさんのサウンドも、ヴェイパーのようにも聞こえてしまう、ということでしょう。
で、どちらであろうとうれしく愉しめるサウンドとして、『明晰夢』をご紹介しましょう!

[sum-up in ԑngłiꙅℏ]
DROIDROY, who lives in Tokyo, is an Ambient-Vaporwave artist. He has been active since around 2018 and seems to have been quite well received early on.

And his latest 2021 album “明晰夢” (Lucid Dreams) contains a total of 8 songs, about 33 minutes. It's a dreamy, sweet and sweet Ambient-Vapor! Or Dreampunk? Anyway, it is rich in melody, and the sound is three-dimensional and rich in gradation.
In that sound, the balance between the “lucid” part and the blurred moody part is exquisite, I felt. It feels like it's made firmly and gently to every corner.

So, on the contrary, the joy of listening is gone in no time. The recording time of 33 minutes is too short, and I want to spend more time in this sweet dream space!