エッコ チェンバー 地下

─ €cco ₵hamber ฿asement, Vaporwave / Đésir đupłication répétition ─

Poison Coffee: Satiric Forums PRO (2020) - 味のある苦み、めしませ毒珈琲。

《Poison Coffee》というサウンド・クリエイターはブラジルの人らしいんだが()、しかしコーヒーの本場から〈毒入りコーヒー〉を供されるというのもイヤな話だ。いや、まあイイけどさっ!
そしてその人が、この2020年・秋、信頼のレーベル《B O G U S // COLLECTIVE》からリリースしたアルバムが、“Satiric Forums PRO”。全9曲・約30分を収録。

ところで? われらのBOGUSがヴェイパーウェイヴのレーベルだということは確かだが、しかし、この《毒珈琲》さんのアルバムがヴェイパーそのものだろうか、というところには疑問が残る。
じゃあこれがどういう作品かというと、まあ主要部分はアンビエントっぽいと言えそうだけど。でも、そんなにカンタンではない。

そこで収録トラックらを追っていくと、まずさいしょの6曲は、アンビエントっぽさの濃いパート。モヤっとしたストリングス系の音を鳴らし、主としてドローン的に、たまにメロディックに、静ひつなふんいきを作っている。
このパートは、ほんとうに気持ちがいい。耳に快適すぎて、逆に、〈音楽を聞いている〉という感じがしないくらいだ。

ところが続いた7曲め、急に交響楽的なブラスが〈ブフォエェ〜〉と鳴り始め、映画の緊迫シーンのスコアみたいな音楽になる。このトラックのタイトルが、“Banshie Grunt”というんだが、西洋妖怪のバンシーが出現しちゃったイメージなのだろうか。

さらに続く8曲めは、前曲のムードを引き継ぎながら、アコ風な要素とエレ要素らの絡ませ方が、ひじょうに“深い”トラック。かなり高級な操作をしているように聞こえるんだ。
そうしてラストの9曲めは、手法において8曲めを引き継ぎながら、内容的には、ほぼダークアンビエント。やはり妖怪の叫びみたいな不気味な音を鳴らしつつ、何かの物語が壮大なエンディングを迎えたようなムードがなくはない。

Poison Coffee: Kerala (2019) - Bandcamp
Poison Coffee: Kerala (2019) - Bandcamp
これの内容はキッツすぎるヴェイパーノイズ

というわけでこのアルバム、全体的にはアンビエントでもスコアでもねーし、《何》なのか分からない。
でも面白い作品だし、随所にきわめて非凡な響きがあるので、うちらヴェイパーウェイヴが悦んで引きとるぜェ、という気にさせるんだよね。

ちなみにこの《毒珈琲》氏、Bandcamp上では2016年から作品を出してきてるんだけど。しかしヘンなエクスペリメンタルやインダスっぽいのが多く、ヴェイパーそのものって感じの作品はなかったもよう。
もっとはっきり言えば、オレ的にちゃんと聞けるような毒珈琲作品は、この最新アルバムがお初。それも、〈風刺的フォーラム・プロ〉っていうタイトルの意味が、さっぱり不明だけど。

そうしてこれからの毒珈琲氏の作品がどうなっていくのか、それもぜんぜん見当がつかないんだけど。でも何かすごく楽しみなんだ。イェイッ

[sum-up in ԑngłiꙅℏ]
Poison Coffee seems to be a Brazilian sound creator, but it's also unpleasant to be offered poisoned coffee from the home of coffee. Well good though! And the album he released from the trusted label B O G U S // COLLECTIVE in the fall of 2020 is “Satiric Forums PRO”.
It's a rather weird work that starts in Ambient style and then turns into music like the score for movie's tense scenes. And the last ends as Dark Ambient.

It seems to be a bit of a messy composition, but the level of sound creation is very high. The fun of listening is strong. We look forward to future Poison Coffee blend!