ポ  サ  研

─ Post-Truth Sound Lab, Vaporwave / Désir Duplication Répétition ─

OSCOB: 宇宙ステーションV (2021)/帰宅 (2020) - 白さに輝くミスティなスペース(追記された)

この記事は2021年5月10日にポストされ、そして2022年5月27日に追記をこうむりました。
This article was posted on May 10, 2021, and an note was added on May 27, 2022.

《OSCOB》──この名前を仮に《オスコブ》と読んでよいことにして、彼はドイツ在住を主張しているヴェイパーウェイヴのアーティストです。
2014年から活動中であり、ヴェイパーのサブジャンルほとんどのスタイルを手がけ、シーンでも一目置かれる存在のようです()。

そして『宇宙ステーションV』は2021年5月リリースの、オスコブさんの最新アルバム。タイトル通りにスペーシィなイメージをかきたてる、チルアウト寄りのヴェイパーウェイヴ作品です。
全7曲・約39分を収録、ローファイですけどきれいな響きで、ゆったりと愉しむことができるでしょう。全般的なふんいきの明るさが、この《アンビエント・ヴェイパー》というジャンルの中ではレアであり貴重です!

【追記✍】:『宇宙ステーションV』のリンク先を修正しました(2022/05/27)。
なぜかというと、元サンプルの作者めいた人からのDMCAクレームにより、Bandcampから削除されたからです。
いや。何か素材があるのだろうとは、当初から思っていましたが……。
これによりそれが判明したので、聞きくらべてみました()。
──すると、明らかになったことは──。
むしろ凡庸くさいニューエイジ音楽を、スペイシーなチルアウト・ヴェイパーへと改良に大成功したOSCOBさんの卓越したセンスと技量、ということです。
へんな雑音もありますが、しかし私たちは前進していくでしょう。
なお。差しかえた先のURLも消えないとは限りませんので、無料ですからすぐのダウンロードをおすすめします!
【Note✍】: The link to 『宇宙ステーションV』(Space Station V) has been corrected (2022/05/27).
The reason why is because it was removed from Bandcamp due to a DMCA claim from someone who seems to be the author of the original samples.
Nope. I knew from the beginning that there must be some material. And this revealed it, so I tried to compare them ().
...And what became clear was...
OSCOB has beautifully succeeded in transforming rather mediocre new age music into a spacy chill-out Vapor with his outstanding taste and skill❢
There is a lot of noise, however, we will move on.
In addition. The changed URL may also be erased, so we recommend downloading it now for free!

……もう少し言いそえたほうが、いいのでしょうか?
この『宇宙ステーションV』は、単なるヴェイパーのいち作品であるのではなく、シーンのほぼ全員が高く評価するにいたった、2021年の傑作です。
ヴェイパーウェイヴに関して近年、なかなか(きわめて)辛らつなことを言われがちなHKE(Lucid)さん。その人でさえ、つべ上の今作に対して“Great stuff”と、手放しの賞賛コメントを捧げているほどのしろものです()。
分からない人には死ぬまで分からないことかも知れませんが、そうなのです。
...Should I add a few more words?
Space Station V” is not only an another Vaporwave album, but A Masterpiece of 2021, highly acclaimed by almost everyone in the scene.
Even HKE (Lucid), who has been quite harsh on Vaporwave in recent years, has given his unreserved praise to this on YouTube (), calling it “Great stuff”!
Those who don't understand may not understand until they die, but that's what it's all about.

で、さて──。ここから少し、お話が戻りまして──。

ずいぶん前にもこの場にて、オスコブさんのアルバムをご紹介したことがあります。いまはすでに遠い2018年、そのときの作品は、ハードヴェイパーでした()。
というかむしろ、インダス・ノイズ寸前の作品で……。当時の私の印象は、あまりよくなかったみたいです()。

しかし、それから短くもない年月が、過ぎて。シーンの空気も変わり、そしてオスコブさんの方向性も変わりました。
で、彼の近年の作品らはこうした、耳にやさしいアンビエント・ヴェイパーもしくはチルアウト的なものになってきているのです。

順を追ってそれらをチェックしますと、まずは2020年8月のアルバム、“Tales from the Death Frontier”
ご本人の説明によりますと、これは1999年のプレイステーションRPGのサントラを、ヴェイパーへ加工したものだそうです。全19曲・約58分を収録。

もとはもっと勇壮な音楽だったのかも知れませんが、しかしそういうふんいきが、もはやおなじみの《ヴェイパー処理》によって、すっかり脱け落ちています。
そうして私たちに聞こえているのは、ちょっと神秘的な感じもあるチルアウト系、そしてニューエイジ風味のヴェイパーです。

──ですが、実を言うと。このアルバム『デス・フロンティア』サウンドには、少しむぞうさな作り、という印象もなくはありません。

いや、まず、もとの楽曲らを、モヤモヤの彼方のヴァイパー空間へと送り込んでいくローファイ加工。その手ぎわのすばらしさは、実に確かです。
しかしその細部を傾聴してみると、意外にゴツゴツした要素が残っている。また、密度の低いらしきところもなくはない。
よってこれは、ものすごい集中力で作り込んだ作品ではない、ようにも思えます。

けれども。そういうチカラの抜け方が、ここでは逆に効果的で、私たちの側のリラックスできることに貢献しているのでしょう。
かつ、ここでオスコブさんは、彼の新境地の入り口に立ったのかも知れません。

そして2020年9月の『帰宅』が、『デス・フロンティア』に続いたアルバムです。これがかなりの大作で、全5曲ですがその演奏時間は実に、約3時間半(!)。

しかし重厚さがまったくなくて、白く輝くようなリバーブ音のミストにやさしく包まれた、明るく聞きやすいヴェイパー作品です。
さいしょのトラックを3分ほど聞いて、もしお気に召したら、それに続く3時間、たいくつすることがあなたにはないでしょう! 読書や睡眠のバックグラウンドに、とても最適、と推せんします。

そしてこのサウンドを、ついつい《ドローン的》と言ってしまいそうですが。

しかしよく聞いてみれば、展開のスローさがきわまりつつも、メロディックかつリズミックな音楽である、と分かるでしょう。であれば、ドローンではありません。
これに似ている音楽はというと、ブライアン・イーノさんの歴史的名作『サーズデイ・アフタヌーン1984)が、ちょっと想い出されます()。あれを、もっともっとモヤかしたような感じが。

で、この『帰宅』に続いたのが、さいしょにご紹介の最新作、『宇宙ステーションV』。トーンの明るさに引き続いている部分がありますが、スケールのあまりに特大な『帰宅』に比して、そのコンパクトさを愛することができそうです!

[sum-up in ԑngłiꙅℏ]
OSCOB is a Vaporwave artist who claims to live in Germany. He has been active since 2014, during which time he has worked on most of the Vapor sub-genre styles and seems to be respected by the scene.

And 『宇宙ステーションV』 (Space Station V) is OSCOB's latest album released in May 2021. It is a chill-out-oriented Vaporwave work that creates a spacey image as the title suggests.
It contains 7 songs and about 39 minutes, and although it is lo-fi, it has a beautiful sound and you can enjoy it relaxedly. The overall brightness is rare and precious in this Ambient-Vapor scene!

And in contrast to the relatively compact 『宇宙ステーションV』, OSCOB's previous work, the 2020 album 『帰宅』 (Homecoming) is a large-scale work with a total of 5 songs and a playing time of about 3 and a half hours!
But there is no heaviness. It is a bright and easy-to-hear Vapor work that is gently wrapped in a mist of reverb sound that shines white.
Listen to the first track for about 3 minutes and if you like it, you won't get bored for the next 3 hours! We also recommend listening it!