ポ  サ  研

─ Post-Truth Sound Lab, Vaporwave / Désir Duplication Répétition ─

Macroblank: 絶望に負けた (2020) - そして何かと負けすぎるオレたち

《Macroblank》、マクロブランクを名のる、正体がまったく不明のヴェイパーウェイヴ・クリエイター。今2020年の6月にデビューした感じで、すでに4コのアルバムをリリースしている()。
この人による作品たちが、どういうものかというと。いちばんすなおな自分の感想は、こういう風に言える。

〈ワシの個人的なベストでエヴァーのヴェイパー・ヒーローである《haircuts for men》、その全盛期の作風にクリソツすぎやんけワレェ!〉

……あっ、少しご説明させていただけば。まず、自分がすこなホノルル在住らしきヴェイパー・クリエイター、《ヘアカッツ・フォー・メン》のことだけど()。
彼の作品はほとんどぜんぶイイと思っているが、にしてもいちばんキレがあったのは、2014-17年あたりか、とも考えられる。現在までの観測では。
そしてその時期のヘアカッツ作品の特徴は、まずアルバムやトラックらのタイトルが、意味不明で意味ありげで陰気なニホン語だったこと。いっぽう音楽の内容が、チルアウトよりの憂いあるヴェイパーホップ()だということは、おおむねずっと一貫。

ただ……。けっこう長いこと、〈チルアウトよりの憂いあるヴェイパーホップ〉を作り続けてきたヘアカッツさんだが、しかし今後は違ってくるのかも、という予感もあり。
てのも現に、彼のいま現在の最新トラック「優位性」(10月13日・発)は、ちょっとよく分からないインダスっぽいエレクトロニカだし。またその前の、karaoke night at harukiya's”(9月15日・発)は、何かヘンにチープな打ち込みで作ったカバー曲集だし。

かと思えば、そのまた前作であるアルバム“1989”(8月6日・発)は、自分のいちばん愛してきたヘアカッツ式ヴェイパー、それそのものなのだった。これはいい!
と、そんな感じで、トーンが落ちてきてるとも言いがたいんだが、でも何かちょっと不安定な感じの、ヘアカッツさんの近況。

というところへ登場してきたのが、この文章の主役であるマクロブランク氏。その作品らの印象が、述べた〈全盛期のヘアカッツ〉にクリソツ。
すなわちその楽曲らは、〈チルアウトよりの憂いあるヴェイパーホップ〉だし。そしてアルバムとトラックたちのタイトルが、〈意味不明で意味ありげで陰気なニホン語〉だし。あ、あと、カバーアートのセンスもほぼ同じだと言えそう。

しかもマクロブランク氏によるアルバムたちは、〈全盛期のヘアカッツ作品ら〉に比して、マスタリングのあたりにプロっぽさを感じさせる。
いやヘアカッツ氏の作品らにしても、とくにマスタリングがオソマツではないが。しかし優劣を言えば、現在のマクロブランクが上かと。
それやこれ、ことしデビューのド新人クリエイターとしては、何だか万事がデキすぎのように思えるのだった、このマクロさんは。ヴェイパー界の基準にしても、水準が高すぎる。

さてこの現象を、どう解釈したらいいのだろう? 〈同じ〉って言うならさらに、それぞれのBandcampページに、〈chillwave〉および〈soundtrack〉という、なくてもよさそうな感じのタグが入っているところまで共通。ヘア&マクロの両クリエイターらについて。

ようは、マクロ氏が熱烈すぎるヘアカッツ・フォロワーなのか、またはヘア氏が別名義で店開きしたのか、そのどっちかではあろうけれど。しかし自分には、どっちという結論の出しようもない。
……と、そうやって自分がとまどいを感じているうちに、すでにヴェイパー界の注目アーティストになっているマクロブランクさん。ともかく作風としては自分の好みなわけなので、愉しみながら両アーティストらの今後を見守ってまいるのです!

[sum-up in ԑngłiꙅℏ]
Macroblank is a Vaporwave creator whose identity is completely unknown. It seems that he made his debut in June 2020, and has already released four albums.
And everything about his works reminds me of the characteristics of haircuts for men (he is my first and best Vapor Hero!), when I wanted to call it the “heyday”.
What they have in common. First of all, the songs are melancholy Vaporhop that are close to chillout. The titles of the albums and tracks are in cryptic, meaningful and gloomy Japanese. And it can be said that the sense of cover art is also common.

What does this mean? Is Macroblank a follower of haircuts who are too enthusiastic? Otherwise, did haircuts open a new store under another name?
The only thing I can say is that the songs by Macroblank are not inferior in quality to those of haircuts. They are of a high standard.
Therefore, while having fun, I would like to keep an eye on the future trends of both artists.