ポ  サ  研

─ Post-Truth Sound Lab, Vaporwave / Désir Duplication Répétition ─

Virtual AirBnB: Dreamland (2020) - システムの安否に不安な要素

オレゴン州ポートランド在住を主張するヴェイパーウェイヴ・クリエイター、《ヴァーチャル・エアービー&ビー》。2019年から活動を開始し、シングル1コとアルバム2コを発表しているもよう()。
この人についてはぜんぜん情報がどこにも出ておらず、たぶんフレッシュな新人さん。たぶん、ね。

さてっ? ヴェイパーの世界でヘンな表記とヘンな文字らが乱用されることは、オキマリといえば、それはそう。
だがそれにしても、この人はトゥーマッチにヤリすぎだっていう! その点が、まず自分の注意を引いてくれたんだよね。

彼がどれだけヒドい文字や記号らを乱用しているか──、その例をそのままウェブページに書き込むことに、ちゅうちょを自分は感じてしまう。
だってかなり過去の話だが、ウィンドウズ9xなんかの時代には、ヘンな文字のせいでネスケがクラッシュ! ヘタすればOSまでグッバイ!!……ということも、まれによくあったので。まあ現在のシステムなら大丈夫だと思うんだけど。

そういうわけなので、おかしい文字&記号という要素は、画像としてここに掲出。ただし、これも正しくは表示しきれていないようなんだが──。しかし、もうイイよね? リンク先では《そのもの》を見れるので。

Virtual AirBnB: Dreamland (2020) - Bandcamp
表示中の曲名は“FALLING IN LOVE”と読むっぽい

そして、だ。このように異常な文字と記号らを乱用しつつ、V-ABnB氏はどういう音楽を、全世界へと提示しているのか?
これが実は異様にスムースなので、また逆に驚かされるんだよね。

彼の2ndアルバム“Dreamland”は、平均4分間ほどのトラックが10コ入り。スタイル的には、レイトナイト・ローファイとスラッシュウェイヴが半々くらい。
で、ひじょうに聞きやすい、ゆったりした楽曲ばかりの詰め合わせなんだ。スムースジャズ、チルアウト、ラウンジ、リラクシング、といったキーワードらで語ってしまえそうな。

とはいえヴェイパーウェイヴのサウンドにはなっているので、それを知らない人らにとっては、多少ヘンな感じがしそう。がしかし、ヴェイパー界の内部の基準では、きわめてふつう寄りのサウンドだとも言えそう。

なお、このアルバムですごく印象的なのは、エレクトリックピアノの金属的な、〈カキーン、コロローン〉という響き。たとえば、第3曲や第7曲らの冒頭に鳴っている音。
ヤマハDX7のそういうサウンドが1980-90年代に乱用されていて、違うかもだが、近い感じではある。あのカキーンとしてコロローンという響きこそが、ボクたちの〈ドリームランド〉への入り口なのだろうか。

それにしても、この野郎……じゃなくてV-ABnBさんのお考えは、読めない。異様な表記のテキスト要素たちと、意外にノーマルな楽曲内容の組み合わせ、その意味するところは《何》なのだろう。
けっきょくのところはフェイクの楽園がデジタル的に模造されているにすぎない、そのドットの粗さが、ヘンな表記で示されているのか。いや、そんなことを考える人なのだろうか?

──と、こうやって、ワケは分からないけど何だか面白い、みたいな作品が出てくるうちは、ヴェイパーウェイヴもまだまだイケると思うんだよね。ではまた〜。