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ながいけん「第三世界の長井」 - 未刊行チャプターの概要(最終話ネタバレを含む)

マエセツ不要で「第三世界の長井」の結末や最終回の内容をすぐ知りたいという方は、こちらをクリックしませいっ!()。

さて。ながいけん第三世界の長井は、ゲッサン誌に連載されていたまんが作品。掲載期間は、2009年6月〜19年1月。以下では、「長井」と略述するよ。
この「長井」というまんが、属するジャンルは不詳なんだ。SFっぽくもありギャグっぽくもあり、とりあえずはヒドく《不条理》な感じ、くらいにしか言えない。

未読のあなた様がもし「長井」に興味をお持ちなら、ゲッサン公式ウェブで第1話(36P)が無料公開中なので、まずその一読をオススメするんだよね()。

そうすると? とりすました感じとくだけすぎた感じ、もしくは卑小さと壮大さ──それらが自在にアナーキーに、作中で交錯。また、念入りかつ思わせぶりで、しかも投げ出した風な、もろもろの描写と展開。
ともあれ、ワケの分かりようがない。ほとんど全編さいごまで、こういうまんがなんだ。

がしかしそれに、他にはまったくないような強い魅力を感じている者たちも、大勢ではないがいるっぽい。と、語っている自分も、まあ。

そして「長井」の単行本は、第4巻まで既刊。これを〈全4巻〉とへいきで書いている資料もあるが()、しかしそれは正しくないと、自分は考えるよ。
そう考える理由は、雑誌には掲載された、約90ページの未刊行部分が存在するから。かつ、公式に第4巻で終わり、というアナウンスもないようだし。

そしてその未刊行パートの内容を、ざっとでもご紹介しようというのが、この記事の趣旨なんだよね。いわゆる《単行本派》のまんがファンで、これの結末を気にしている方々が、絶無でもなかろうと思うので。
(かつ、この未刊行パートが今後いかにして世に出直すか、その成り行きが想像できにくい、という残念みたいな事情もあり……)

そしてそういう方々を対象とする記事なので、つまり既刊の4巻までを既読でなければ、以下の話はピーマンのワカメだよ! まあ、どこをどう説明したってワケワカメなまんがだけどね! グヘヘヘッ。

《「長井」最終チャプター〈新約〉の概要 - 箇条書き12ヶ条》

0. まず外形的な概要を説明。「長井」未刊行パートはゲッサン2017年11月号〈第94話:境界 新約〉の、なかばからスタート。それが18年1月号〈第95話:新約 その2〉へと続き、そして19年1月号〈最終話:新約 その13〉で連載が終了。全13回で実質12.5回と、数えうる。また、この未刊行のチャプターのタイトルは〈新約〉だと考えられる。

1. 前チャプター〈境界〉のラストシーンで、路上に倒れ伏した少年──通称《I・O(アイ・オー)》。彼は、病室めいた部屋のベッドの上で意識を取り戻す。その場所は、I・Oが敵視していた少女《音那(ねな)》を擁する組織の研究施設だった。

2. 《山地(やまち)》と呼ばれる白衣の男が登場、I・Oとは互いに知る仲のよう。そして山地は、みょうに丁重な態度でI・Oに接しつつ、状況を大まかに説明。倒れてからI・Oは、6日間ほどじっさいに死亡していたのだとか。

3. それから彼らは応接室へ移り、山地は患者姿のI・Oに着替えを提供、それがなぜかスーツ。なかば無理やりにネクタイまでキチッと締めさせて、〈お似合いじゃ ないですか あああ〉と、なぜか過剰に大悦び。そしてふたりは、《アンカー》とはいったい何か、模索するような会話を交わす。

4. やがて、I・O側の組織の幹部である《順矢(じゅんや)先生》──I・Oからは《じいちゃん》と呼ばれる初老の男──が、運転手つきのクルマでI・Oを引きとりに来る。その車内でI・Oは、死亡&蘇生というイベントを経て気分が前向きになったので、〈手紙の 差出人を 探す〉と、じいちゃんに向かって決意を表明。

5. それから約5時間後、いつもの自室でI・Oは、携帯の電話を受ける。その通話の相手は、蘇生してからI・Oが自分に連絡をしなかったことを、やんわり非難。しかしI・Oはそれを雑にかわし、その当夜に相手と面会する予定を確認して、通話を終える。

6. そしてI・Oはいつもの服装に着替えキャップをかぶり、《長井》のもとへ、長井の在籍する高校へ向かって歩く。その途中の路上で、いつもの《手紙》が宙を飛び、I・Oの手の中に届く。その文面は、いつも通りの突飛さがきわまった〈設定〉が4ヶ条。

7. 放課後ムードの校門前、スマホで誰かと通話中の少女《うるる》。通話が終わると彼女はI・Oに、彼の名前を問う。そこでI・Oは〈大神(おおがみ)〉と、自分の姓だけを教える。ともかくも会話が成立したことをうるるは悦び、そして何か、I・Oには理解できない(らしい)ことを口走る。

8. I・Oの手にしている《手紙》をうるるが覗き込み、〈白紙?〉と言う。《アンカー》と呼ばれるメッセージの文面が、彼女の目には映らないもよう。

9. 長井が登場、3人はどこかへと歩き始める。そこへ長井の腕時計型レシーバーに、《博士》からテレビ通話。〈ニセわいの長井星人が現れた〉、その星人の能力は長井と同等なので、(闘えば、)5割の確率で長井は死ぬ、とか。

10. すると長井の亡き父とされる《ジャック・ダニエル》(の実写風イメージ)が宙空に現れ、わが子を励ます風な発言。さらに、ジャックの知り合いみたいな《ロバート・ブラウン》が、この対話(?)に参加。彼らの主張はどうでもいいことのようで、長井とI・Oは、完全にヘキエキ。けれどもうるるは、このチン入者たちの出現を知覚できず。

11. 宙空のオッサンらのイメージが消失すると、そこへニセ長井星人が出現。だが本物と異なり、ニセの肌は緑色。I・Oはそれに驚き呆れ、ニセであることが〈わかりやす すぎんだろ…〉と、つぶやく。しかしうるるには、ニセが緑には見えないらしい。むしろ〈赤なんじゃ ないかしら〉と彼女が言えば、真&ニセの長井は異口同音に、〈赤ダゼ〉と応答。そこでうるるは、〈ちゃん ちゃん〉と、コントのオチ的な効果音とポーズを提示。

そうして4人の間にしらじらとした空気の流れるような絵図が描かれ、また、〈完〉という文字も出る。そしてラストの1コマは、真っ白の地に作者からのメッセージ。

残念ですがここまでです。
これまで多大な御支援を下さった方、
あるいは僅かにでも気にかけて下さった方、
全ての方々に本当に心から感謝しています。
ありがとうございました。

ながいけん

いやいや、どういたしまして。……と、いう感じの終わり方なのだった。

が、こうやって整理しながら文字にしてみると、やはり面白そうな感じがなくはないね! ただし、第10節の実写オッサンら登場パートは除いて!! アレたぶん一種の楽屋オチだけど、でも自分にはまったく、ね!

そんな点をも含め、この結末までを見て、自分自身の「長井」に対する感想ってのも、とうぜんなくはない。しかし、まだまとまったことは言えないようなので、それはまたの機会に〜。

赤い薔薇の花ことばは、「美」「情熱」そして「愛」…

追ってその感想文を追加、〈ながいけん第三世界の長井」 - 考察・《シリアス》と《ギャグ》とのはざまで眠る〉()。
【追記】2020年7月24日、「長井」関係に少し前向きな動きがあったことをご報告()。