ポ  サ  研

─ Post-Truth Sound Lab, Vaporwave / Désir Duplication Répétition ─

Infinity Frequencies: Between two worlds (2018) - そこはかとなくそこはかと呼ぶ声

《インフィニティ・フリケンシーズ》は、京都在住と称するヴェイパーウェイヴ・クリエイター()。ヴェイパーの立ち上がり最初期からの、きわめて重要なプレイヤーとして知られる。

またインフィニさんの一時期の別名義は、《Local News》)。こちらでは東京在住という設定になっており(!)、そしてスタイル的にシグナル系専門。
ただし、ローカルニューズのアルバムが発表された時期(2012-13年)に、《シグナルウェイヴ》などということばが、すでに存在していたかどうか()。すなわちそういう、単に歴史の中にあるだけでなく、歴史を創った側にいるアーティストのようなのだった。

……と、ローカルニューズの説明が先になってしまったけれど。じゃあ、この人のメインのプロジェクトだと思われるインフィニティ・フリケンシーズの作風とかスタイルは、どういうものだと言えるんだろうか。

それを作者本人は、《コンピュータゲイズ》と名づけてるみたいなんだよね。いわゆるシューゲイズに対抗してか。
とはいえそこでは、いかにもコンピュータくさい音が出てるってワケじゃない。どこから持ってきたサンプルなのか、一部はテレビのCMだと思われるが、ひじょうにそこはかとなき音楽めいた断片らを、ローファイ化&リピート。その構成は常にコンパクトであり、そして何とも言えないテンションの下がる感じが印象的。

そういう自分が感じ取った特徴がきわまっているのが、この人のもっかの最新アルバム、“Between two worlds”(2018)なのかなあと。その、そこはかとなさが、実に凄絶。

いちばんさいしょのトラックからして、あまりにもどうでもいいようなサウンドで──、そしてテンションの低さのきわまりで、実にショッキングなんだ。
かつ、なぜか自分はそこに、ふかしぎな品位のたいへんな高さを感じてしまう。ヴェイパーの世界がけっこう広しといえども、これと似たような音がどこかにある、という気がしない。

そのような、きわめてささやかでありながら、奇妙に心を打つサウンドらが延々と連なる、全24曲・約33分間のアルバム。これはいったい、《何》なのだろうか?

後期資本主義・大量消費社会の生み出した、コンシューマたちの無意識に向けて機能する無記名のポップ、その断片。メディア環境という大ジャングルからこぼれ落ちた、小さな種子たち。
その小さな種子たちが、いつかわれわれの心の中で芽吹き──、そしてどういう花を咲かせるというのだろうか?

[sum-up in ԑngłiꙅℏ]
Infinity Frequencies have been an important player since the beginning of Vaporwave. His latest work, “Between two worlds”, is extremely shocking, with an uninteresting sound and a low tension. And it makes you feel beautiful and strange very quality.
What exactly is this? An anonymous bear pop that works toward the unconsciousness of consumers, created by the late capitalism and mass consumption society. Small seeds spilled from a large jungle called the media environment. Is it such a thing?