エッコ チェンバー 地下

─ €cco ₵hamber ฿asement, Vaporwave / Đésir đupłication répétition ─

informatics: COMMERCIAL PRODUCT (2018) - うす汚れた毛布にくるまって

《informatics》は、ポルトガルの人というヴェイパーウェイヴ・クリエイター()。2017年から18年の間に、5作のアルバムをBandcampに残している。

それでジャンルがコンピュータゲイズなんだけど()、いいんだよね、スゴく。
《コン・ゲーノ、オオサマ……》として崇拝される、かのインフィニティ・フリケンシーズの美学が分かっちゃった者であれば()、実にすなおに共感し愉しめるものと考えられる。このインフォマティックスのサウンドは。

まあ少し変わっているところといえば、このインフォマさん、いまどきフィルターハウスじゃないけれど──とはいえフューチャーファンクでは飽きもせずにヤッてっけど──、たまぁ〜にローパスフィルターで全体の変化をつけてたりすることか。

それにしても、ねェ……。しつこく何度か書いているが、うら寂しいだけとも言えそうなコン・ゲー、コンピュータゲイズのサウンドに、奇妙な魅力があるのはなぜなんだろう?

そこでオイラは、自分の身の周りを見渡しながら、思ったんだが。

散らかった部屋、別に収集でもないけど買って集まっちゃったレコードや本、衣服や寝具、紙きれと文具の類──。そんなゴミっぽいものらに囲まれて、なぜか安らぎのような感じがなくもない。
そのいっぽう、メディアがタレ流し棄て去った音楽っぽいサウンド廃棄物らの展示会である(やも知れぬ)、コンピュータゲイズ。何か通じるところがあるのかな、と。

もう五年とか十年も前に読んだきりの本の、ススけた背表紙を見て、何か自分は安心してしまう。読み返そうとも思わないんだが、それがそこに《ある》ということにささやかな悦びを覚えないこともない。
と同様に、メディア発のゴミサウンドに囲まれて──それを《無意識》へと流し込まれながら──育ってきたワケだから、そういうどこかで聞いた感じのそこはかとしたサウンドに、小さな悦びを感じてしまうんだろうか。

もうちょっと言うとコン・ゲーをアプリシエートする体験は、ロクに洗ったこともないお気に入りのタオルケットにくるまっている、それに似た感じもある。
うっすらしたぬくもりを感じながら、自分の汗の匂いを嗅いでいる。別にすばらしい香りだとも思わないが、しかしなぜだか心が休まってしまうのだった。

音楽体験というものが、晴れがましいピカピカのあらたまった非日常のものと考られる時代が長ぁ〜く続いたあと、1960年代あたりのロックやフォークらは、それをカジュアルの次元へと引きずり下ろしたかも知れない。
そうしていまや音楽は、タキシードの時代もジーンズの時代も通りすぎて、汗くさい着古したジャージとかの時代を迎えつつあるってこと……ッ!? まあ、一部の層と地域だけの話にしてもね!

[sum-up in ԑngłiꙅℏ]
informatics is a Vaporwave creator who is a Portuguese. Between 2017 and 2018, he left five albums on Bandcamp.
Their style is Computer Gaze. Anyone who understands the aesthetics of Infinity Frequencies, which is worshiped as the “King of Computer Gaze”, will still be able to sympathize and enjoy them. It's nice.