エッコ チェンバー 地下

─ €cco ₵hamber ฿asement, Vaporwave / Đésir đupłication répétition ─

Babbling Corpse: Please be patient, someone will be with you shortly (2020) - われ買うゆえにわれ在り

《バブリング・コープス》は、英国の人だと自称しているヴェイパーウェイヴ・クリエイター()。たぶんこれまでに、2作のアルバムを発表。
その新しいほうの2020年の作品が、いまご紹介する「しばらくお待ちください、ただいま担当の者が参ります」)。リリース元は、在豪州の有力レーベル《サンセットグリッド》()。

ところでっ? “Babbling Corpse”とは、〈カタコトを言う死体〉という意味なのか、むしろすなおに〈泡立つ死体〉と解すべきか、それは分からないけど。
ただどっちにしろ、“Babbling Corpse”という文字列でググると──オレはDuckDuckGoを強く推すが()──、検索結果の上位ほとんどを、グラフトン・タナーという人の著した書籍の情報が占めるはず。
これは2016年の第2次ヴェイパー・ブームのころに出たもので、英語のヴェイパー関連本としては、おそらくもっともポピュラー。ていうか、他にもあるのかどうかを知らない。

『せせらぎの死体:Vaporwaveとゴーストの商品化』
【あらすじ】 グローバル資本主義の時代に、蒸気波は、ノスタルジア業界に出没する電子ゴーストを祝福し、傷つけます。
私たちの時代は、機械の幽霊の時代であり、意味を殺し、私たちの生活に浸透している電子メディアに固有のギャップを露呈しています。 Vaporwaveは、メディア理論家のJeffrey Sconceが表現する「お化け」のように、エレクトロニックメディアの恐怖を表現する幼児の音楽的マイクロジャンルです。

(グーグル翻訳システムの出力)

このたぶん名著(?)のタイトルを、そっくりパクった芸名であるっぽいんだ。とはまた、見上げた根性だぜえ〜っ!!
いやそうじゃなく、ことによったらタナー氏ご本人による制作物なのかな、とも考えたが。しかしチョコっと調べてみた感じ、それはなさそうと判断され。

でもまあ、それは別にいいです。何ンせ《ヴェイパーミーム》(パロディ・ヴェイパー)なんてものがへいきでまかり通る、この汚辱と悪徳の世界のことではあり()。

かつ、そんなことを気にしないとすれば、このアルバム「しばらくお待ちください……」は、かなりよくできたモールソフトだと思う()。いやもう、今作のカバーアートとタイトルからすれば、その内容がモール系じゃ“ない”ってことはありえないワケだが!

各トラックのタイトルらを見ていくと、まず「開店のテーマ」に始まり、そして「すばらしい無料サンプル」、「価格チェック」、「午後のショッピング」……等々と続き、そして「閉店」、「夜勤」、で終わる。どこぞのショッピングモールの24時間をテーマにした、トータルなコンセプトアルバムであるもよう。全14曲・約32分間を収録。
で、その間に、ふんいきの起伏があり。そしてユルぅ〜いイージーリスニングのぼんやりとした響きを、雑踏の賑わいや、検品か何かに使うデバイスの放つ〈ポポッ〉という電子音が彩っている。

ああ、いいよねぇ……。いま現在のアメリカでは、COVID-19のせいで各地のモールがつぶれまくっているそうだけど……(涙)。
いずれ50年か100年もあと、なお人類が生き残っていたとしたら、在りし日の大量消費文明の繁栄を伝えるよすがとして、こういう音楽がさらに親しまれたりするのだろうか?

[sum-up in ԑngłiꙅℏ]
Babbling Corpse is a Vaporwave creator who calls himself a British. But “Babbling Corpse” was originally the title of a famous work by Grafton Tanner on Vapor. Is this shameless plagiarism?
However, if you don't mind such a trifle, his album “Please be patient...” is a mallsoft work that you can enjoy very comfortably. The vague sound of loose easy listening is colored by the crowded crowd, the electronic sound of “pop pop” emitted by devices used for inspection or something. It may well convey the glory of the mass-consumption civilization of every day.