エッコ チェンバー 地下

─ €cco ₵hamber ฿asement, Vaporwave / Đésir đupłication répétition ─

クリチバの地下鉄: hypnagogie (2020) - 非在のチューブウェイの憂愁

クリチバの地下鉄》は、ブラジルのパラナ州在住を主張するヴェイパーウェイヴ・クリエイター()。そして、〈クリチバってどっかの地名だったような?〉って調べてみたら、そのパラナ州の中心都市の名前なのだった。
そこまでは、まあスジが通っている。がしかし、通っていない部分がある。

……そのクリチバ市には、地下鉄ってものが存在しないらしいんだよね!

情報らを総合すると、市の当局は地下鉄を通したかったが、しかし穴を掘る予算がなかった。そこで代わりに路線バスのシステムをエクストリームに拡大活用したら、市民らにも好評、そして都市計画論の世界でも《成功例》として高い評価ゲット、くらいの話。

とすると《クリチバの地下鉄》は、その存在を期待されていたが、しかし存在するにはいたらず。そして、いまさら存在したところでとくに意味なさそうなもの──だと考えられる。
……とは、何というアイロニー! これはまさしくヴェイパーウェイヴのセンスだなと、ちょっと自分は感じ入ってしまったんだよね。

さてクリ地下さん本人の話に戻ると、2019年から活動中で、Bandcampに4作のアルバムを発表。スタイル的には、スラッシュウェイヴとシグナル系が半々くらいと言えそう()。
4作を通して思ったことは、この人について、何かをカン違いしたようなアンビエント(もどき)と、そして《コンピュータゲイズ》みたいな路線の曲が面白い。

そのコンピュータゲイズとは、ヴェイパーウェイヴ最初期からの功労者である《Infinity Frequencies》が開発した、スタイルもしくは美学()。かつ、シグナル系の亜種でもあるっぽい。
それはテレビのCMの断片みたいなサウンドを、まずローファイ化&ルーピング。そして何とも言えないテンサゲなふんいきを作りながら、断片形式で、メディア環境の片すみの抒情をかそけく詩う、といったスタイルなんだ()。

そうした見方からすると、クリ地下アルバムの3作めと見なされる“hypnagogie”が、ここまでではいちばんまとまっていそうかな。
だがそのいっぽう、この人によるスラッシュウェイヴはイマイチというか、いまだ手探り感が否めない。でも感性はいいと思うので、いずれテーマに対する集中力みたいのがもっと出てくると、すごくよくなりそう! イェイッ

ところで? このあとは余談なんだが、CM関連の話をすると。確か一昨日くらいから、〈アマゾンプライム 解約 三浦瑠麗 CM〉のような話題が、ちょっとバズっている。
それのまた数日前に、〈ピンカー 除名 キャンセルカルチャー〉という話を聞いていたので()、それと似たようなことがニッポンでも起こっているのか──と、自分は一瞬思いかけたんだが。

しかしこのふたつはぜんぜん違うこと、という結論に考えいたった。
ピンカーの件は学術の自立性みたいなことに触れ気味で、やや深刻のように思える。いっぽうアマプラの件は、商業CMと不人気タレントのお話にすぎない。

言うけどだいたいCMなんて、根本的にはゆかいでないものだ。そのCMのサウンドをヘンに乱用している《シグナルウェイヴ》が存在するが、でも別にCMそのものがスゴくゆかいなので、つい──、っていうほどたんじゅんなものでは、ない(はずだ)。
そんなCMってものを、ウソでもちょっくらゆかいに感じさせようと、製作の人たちはガンバっているのかと。けれどあまりに好感度の低いタレントを起用した結果、ビズネス上の大失敗として完、そういうこともあるってワケだよね。

かつ。オレはピンカーの主張も話半分、マユツバ、懐疑的に見てるけど、しかし彼について、曲学阿世の御用学者って臭いを感じたことはない。いっぽうニホンの、タレント兼自称学者のお人はどうだろうか。
しょせんは欧米を中心に廻っているこの《世界》の、あちらサイドのシリアスな問題が、なぜかニッポンでは茶番として展開される──。そういうことがあるように思うけど、このつまらない一幕が、そのまたの一例になるのだろうか。

[sum-up in ԑngłiꙅℏ]
クリチバの地下鉄 (Curitiba metro) is a Vaporwave creator who claims to live in Brazil's State of Parana. And Curitiba is the capital of the state of Parana.
That's convincing, but it's strange. There seems to be no subway in the city of Curitiba.
Instead of the subway, a bus network has been developed and it is reported that the citizens of Curitiba are using it. In this way, it is interesting to use a subway that does not exist as a pseudonym. It makes me feel that it is a vaporwave sense.
By the way, the music by クリチバの地下鉄 that made me feel particularly good is the early ambient songs and fragments that remind me of Computergaze of Infinity Frequencies.
On the other hand, I feel immature about Slushwave style songs. However, I will be able to sympathize with that sensitivity, so it will eventually improve.