エッコ チェンバー 地下

─ €cco ₵hamber ฿asement, Vaporwave / Đésir đupłication répétition ─

Aseul: Slow Dance (2020), Neon Bunny: Stay Gold (2016) - 新生!韓国のエレクトロ系ディーヴァたち

《Aseul》(아슬, アスル)を名のっている女性は、ドリーミィでセクシーなエレクトロポップの歌手/プロデューサー()。韓国ソウル市生まれ。そして“Slow Dance”は、今2020年3月発、そのフルアルバム第3弾。

コレも一種の《K-Pop》、ということになるんだろうか。ところで自分は韓流何とかみたいなものをまったく知らないし、ハングルもぜんぜん分からないんだ。
なのにコレへと興味を抱いた理由は、エレクトロ系だからというよりか、そのカバーアートを見て何かを〈うっ〉と感じた、むしろそっちなんだよね。ブヘヘヘヘ。

と、まったくもってオトコなんて、どうしようもないわけだが。それはともかく、聞いてみたアスル「スローダンス」がどういう音楽なのか、知っていることばで説明しようとすると。

それが意外にビックリするほど、自分の耳には親しいものだったんだ。

その構成要素は、まずインチメートでセクシーなウィスパー・ボーカル。そして、シティポップ(・リバイバル)風でもあるおセンチ&ドリーミィな楽曲ら。さらには、チルウェイヴっぽいモヤモヤ〜っとソフト&スロウなエレクトロサウンド

ちょっとこれへと関わっていそうな人名らを列挙すると、アストラッド・ジルベルトクロディーヌ・ロンジェフランソワーズ・アルディジェーン・バーキン、ミカドとリオ(Lio)、そしてニッポンのコシミハル早瀬優香子インスタントシトロン、サノトモミ……等々々の各位。
──って、まあ、ワリにノスタルジックな歌姫らの名ばかりを並べてしまったけれど。もっと新しいドリームポップやエレクトロ系らの影響もあるんだろうが、それらは気がついた皆さまが、追加してくだされば。

とにかくもう、これではまるで、オレの好きなものらの詰めあわせ。何か、申しわけないような気ィさえしてきちゃうぜェ〜。
いや、まあ。こういうタイプの女性ボーカルものって、存在としてはか細いが、でも意外になくならないんだけど。だがそうとはしても、韓国のほうからそのサービスを受けることは、ぜんぜん予想外だったんだよね。

だがしかし、そんな驚きの理由は、ただ自分の認識不足によるものだったらしい。

ってのも、このアスルさんについて調べていたらすぐ、Bandcampのコラム〈Kポップではない:韓国の新興エレクトロポップシーン〉という記事につきあたった()。これがすでに、2016年というむかしの情報。
つまり《韓流》みたいなアイドル系でもロックでもない、先進的でDIY精神のポップが、そこでクールに勃興しつつある、とのこと。そっと言うけど暑っ苦しいイメージの《韓流》カルチャーばかりでは、もはやない、ってことらしい。

その新しい流れの代表格が、まずご紹介してきたアスルさんであり。またもうひとり、その記事のトップでメインを飾っている《ネオンバニー》(イム・ユジン)という女性歌手/プロデューサーが、またスゴいんだ()。

実のところ、このふたり、〈ウィスパーボイスのセクシーボーカル&エレクトロサウンド〉という方向性は、ほぼ同じ。かつ、ほとんどの作詞作曲制作を独りでこなす、DIY者であることも同じ。
ただネオンバニーのほうが少し活動が先行し、2011年にアルバムデビュー。また、バニーとなる以前の音楽歴も多少あるっぽい。
そして、そのバニーさん1stアルバム“Seoulight”も、かなり高い評価を受けたようだが。しかしサウンドのエレクトロ度をさらに高めた2ndアルバム“Stay Gold”(2016)、これがもうほんとうの傑作。

もう少し両者を比較してしまうと、アスルのほうが気持ちだけ未来的&ニホン的なサウンドで、いっぽうバニーさんの音楽には、過去のよい英米ポップらのなごりが、やや強く感じられる。かつバニーさんには、たまにお琴(?)みたいな音が鳴っているなど、韓国の伝統音楽の要素らも入っている風。

で、話が行ったり来たりでスマンですが、さっき触れなかったアスルさんの初期の活動について──。
まず彼女は2012年、《Yukari(유카리)》というなぜかニホン風の名前でデビュー()。当時の音楽性も現在とあまり変わらず、ただ時期を追ってサウンドが、よりソフトタッチになっているだろうか。

そして。ヘンなことを申すんだけど、オレがこういうポップの近未来に、つい期待してしまうこと。そのサウンドを、もっともっとソフトにモヤモヤに、かすみや霧の中へと埋めていって欲しいんだよね。つまり、眠みの大増強!
いままでの流れがソフト化だったんで、それをさらに推進してもいいんじゃないか。思わず淫夢をみるような──もしくは淫夢そのものであるような──《セクシー催眠エレクトロポップ》、その静かなる爆誕に大きな期待っ!?

[sum-up in ԑngłiꙅℏ]
Aseul and Neon Bunny are South Korean electro-pop divas. their songs are soft, mellow, sexy and electronic... splendid!