エッコ チェンバー 地下

─ €cco ₵hamber ฿asement, Vaporwave / Đésir đupłication répétition ─

yugiasha: おかあさん、水槽! (2019) - アクエリアムのガラス越し、あなたのスマイル

《yugiasha》を名のる人は、リトアニア在住であるというヴェイパーウェイヴ・クリエイター。この名は〈ユギアシャ〉って読ますのだろうか、2019年に3コのアルバムをBandcampに出している()。

いや〜、それがです。ぜんぜん違うことを調べていたら、なぜか彼のアルバムの「おかあさん、水槽!」というタイトルが、検索の画面に表示されちゃったんだよね。
で、〈これはいきなりタイトルからしてケッ作の予感!〉と直感したんで、いまこうして、ご紹介するハメになっている。また題名だけでなく、ありえない近未来のバスルーム(?)を描いたカバーアートも秀逸だし。

さてこの「水槽」は、13曲入りで約18分間と短い、断章形式のアルバム。ユギアシャさんの作品は、いままでぜんぶそう。
これについて、オレが前にも言ったところの、〈イマイチな楽曲でも2分間以下くらいの尺なら許されそう〉、というテーゼの自覚的実践──、彼にはそういう気味があるんだよね。

よく言えば初々しさを感じさせ、かつ押しつけがましさがない。だがそのいっぽう、〈遠慮しすぎなのでは?〉という気もする。いずれ出てくる新作で、もっと遠慮のないサウンドを聞かせてくれるかも知れない。

かつこの「水槽」は、モールソフト的なセンスを感じさせる作品()。

アルバム冒頭のトラック“old mirror”は、リバーブ効果でズッポリと湿った空間にオルゴール的な響きがたゆとう──というサウンドで、いわばモール系の典型。だがそれにしても、品位の高さが明らか。
それが切れ目なく次のトラックへ展開し、やがて〈スマイル〜、スマァ〜イル〜〉と連呼するR&Bか何かの断片が現れる。そこまでの流れが、実にみごと。

そうやってメドレー形式めいて、トラックらはスムースに続き、そして9曲めの“premium sunglasses”で、再びのピークが訪れる。何度聞いても、この9曲めは、そのたびに鮮烈な印象を与えてくれる。

というわけで、タイトルの面白さだけではない、サウンド面の実力も大いにありげなユギアシャさん。そのまたの新作登場を、楽しみにしちゃうわけだ。

[sum-up in ԑngłiꙅℏ]
yugiasha, a vaporwave creator who lives in Lithuania. His 2019 "おかあさん、水槽! (Mom, Aquarium!)" is a fragmented album that gives a sense of Mallsoft feel.
The continuous smooth tracks are extremely comfortable. I can't wait for his new work to follow.