エッコ チェンバー 地下

─ €cco ₵hamber ฿asement, Vaporwave / Đésir đupłication répétition ─

Crystal Court: The Ala Moana Center (2020) - キミは見たか、有明の天蓋の高みの《コミケ雲》を

《Crystal Court》は、フィジー在住と主張しているヴェイパーウェイヴ・クリエイター。今2020年の1月から、毎月1作ずつのアルバムを発表しているもよう()。
だから現在9月、その最新アルバムの“The Ala Moana Center”は、すでに早くも9作目。──勤勉!

で、そのクリスタルコート氏の作品は、すべてモールソフト()だと考えられる。そして、そこまでは大いによい。
ただ。このクリスタルコート氏の作品は、おそらくその、“すべて”が……あまり《音楽》らしく、ない。

じゃあ、どういうサウンドなのかというと──無音ではなく音がするだけノーマルなのか、という気もしてきたが──、そのショッピングセンター的な空間の、人ごみ雑踏の騒音が延々と響いているだけ、のように聞こえるんだ。

いや。もともと《猫 シ Corp.》の歴史的傑作Palm Mall”(2014)あたりから()、モールソフトに雑踏の騒音を組み入れていく趣向は、ずっと存在してきた。だから、そこまでは大いにいい。
だがしかし、そういうノイズのレベルがむしょうに高く、音楽っぽいのが鳴ってるようなんだがほとんど聞こえない──、そこまでのしろものに遭遇したのは、自分的にお初なんだよね。

そのサウンドのバックグラウンドには、まず、何なのかえたいの知れない〈ゴォオォ〜〉っていう空間の鳴りがあり。そしてときどきその奥から、子どもや女性らのかん高い声が突出して響く。そして音楽みたいな要素らは、それらのあいまに切れ切れで、かすかに聞こえてくるだけ。

……このように奇妙なサウンドを、クリ・コーさんはどうやって作っているのか? あるいは、じっさいにモール的な施設でナマ録りしてるような部分もあるんだろうか?
そこいら興味はつきないが、にしても問題は、ここまでのクリ・コー氏のアルバム9点、たぶんその“すべて”が、そういう音響でしかないっぽい、ということだろうか。

でまあ。とにかくも、クリコー最新アルバムの“The Ala Moana Center”だけは、その収録時間・約30分、じっと聞き通してみたんだ。
そうすると。〈人ごみに酔う〉とか〈人いきれにあたる〉とかいうことばがあるが、実に自分は、そういう感じを切に覚えてやまず。
あまり快適じゃねェですねェ……。それとは逆に、この人のアルバムのカバーアートらがやたらきれいで、すてきなモール空間の叙景になっているんだが、それと音とが対照的すぎないだろうか。

そして、その人ごみっぽいムードから、確かコミックマーケットの会場って、こんな感じだったかなァ……と、おぼろにかすんだ記憶が浮かび上がったりもする。
まずその場の空気がやたらに湿潤で、また、自分の肩や背中にヒトが、やたらぶつかってくる。そして、その他人らの肉体の感触が、お互いの汗にヌメってヌルっとしてやがる。

などと、そんなには愉しくもないようなメモリーを呼び出してしまったが。
それにしても、次のような結論になっちゃうんだけど。

──いまだにCOVID-19がどうこうの騒ぎがやまず、コミケット等々の人間らがひしめいてもつれあうようなイベントたちが、いったいいつまた開催できるのか。〈そんなことをヤッてた時代もありましたなァ〉、という思い出のよすがに、こういうアルバムがなってしまうのだろうか?

[sum-up in ԑngłiꙅℏ]
Crystal Court is a Vaporwave creator who claims to live in Fiji. He has been active since January 2020, and seems to continue to release one album every month.
And all of his work seems to be Mallsoft, but most of the sound sounds like crowd noise. Only a few musical elements can be heard. Quite strange and much extreme.
And the crowded atmosphere reminds me of the congestion of Comic Market. Even so, the ferociousness of COVID-19 will not go away, so Crystal Court's works will make us wonder when we can enjoy the festival where people are crowded and entwined like Comiket again.