エッコ チェンバー 地下

─ €cco ₵hamber ฿asement, Vaporwave / Đésir đupłication répétition ─

Diskette Park: Curve Sequences, Hypomnesia (2020) - ディープサウスの沼地から立ちのぼる蒸気

ニューオーリンズ在住というヴェイパーウェイヴ・クリエイター、《Diskette Park》)。ロックのスワンプ系にあやかって“スワンプ・ヴェイパー”とでもレッテル貼りしたくなるところだが、けど別に、その音楽に南部っぽさは感じられないんだよね。チィッ。

ところで、この人の活動歴が少々風変わり。まず、そこをチェキしてみると。

ディスケット・パーク氏は2015年、フューチャーファンクの名門ビズネスカジュアルから、アルバム“Zip Drive”にてデビュー()。これが、それなりに好評だったようだけど。
そして、その次のリリースが2017年、そのまた次が2019年。……と、ヤケに間が空いた活動をしてるなと思ったら、その19年には計12コものアルバム&EPを発表(!!)。──とは、急に何かのスイッチが入ってしまったのか?

で、その激動の2019年の間に彼は、ヴェイパー界隈のさまざまなスタイルにトライしまくっているんだ。レイトナイト、シグナル、ユートピアン、モールソフト、そしてダークアンビエント風、等々々()。
ただ、正直に(かつ小さな声で)言うと、2019年までのディスケット作品ら全般について自分は、〈それなりにはデキているけど……〉くらいの印象が支配的だったりする。これ、ナイショですよ?

しかし、そういう模索期の2019年を乗り越えて──といったストーリーは、オレがデッチ上げたお話にすぎないかもだが──、この2020年、ディスケットさんがリリースしたアルバム2作。その最新作たちがイイ、すごくよくなった、と思ってるんだよね。そこを強調しつつ、かんたんなご紹介に及びたい。

さて、オレが賞賛してみたい2作、“Curve Sequences”および“Hypomnesia”。各アルバムには、それぞれ特徴的なコンセプトがあると考えられる。

まず「カーブ」のほうは、端的に言うと、ギャルのカタログ化みたいなことがテーマ。〈カーブ〉という語は、女体の曲線美みたいなことを指す。それで、収録された全8曲のそれぞれに、リサ、キム、ミシェール、といった女性の名前らが、タイトルとして与えられている。
とはいえ、そんなにストレートなエロチシズムはないというか、むしろマネキンかゾンビの美女が大集合みたいな不気味さが、チラホラと。音楽スタイルは、いちおうモールソフト寄りと言えそう。

いっぽうの「ヒポムネージャ」(記憶減退の意)には、そこまでハッキリ言えるテーマはないようだけど。でも、たぶんまあ、トシをとったらさいきんのことがサッパリ頭に入らなくて、ただ1980年代っぽいサウンドが脳裡に浮かび続けるばかり、みたいな状況が描かれているような(?)。
そういう身がってな忘却の心地よさ、というふんいきが感じられなくはない。音楽スタイルは、いちおうレイトナイト系と言えそう。

そして。これら2作が〈すごくよくなった〉とオレは申しておりますが、しかし《方法》の面について見れば、2019年までの旧作たちと、そんなに大きくは違っていないかも。
変わったと言えるポイントは、サウンド造りのやや細かいところ。オドカシくさい威圧的な響きがほとんどなくなって、全体がずっとフラット&スムースになった。それがよい、と申し上げているんだ。

また、そうかと言って、初期のディスケット作らのファン各位にしてみれば、逆にフラットになりすぎてつまらん、といった反応もありえそう。だがしかし、オレがイイと思っているんだから、それでいいんだよね。イェイッ

[sum-up in ԑngłiꙅℏ]
《Diskette Park》, Swamp-Vaporwave-Creater from New Orleans.
His 2 works released in 2020 I would like to admire, "Curve Sequences" and "Hypomnesia". Each album has its own unique concept.

First of all, the theme of the "curve" is, in a nutshell, such as the cataloging of girls. So, each of the eight songs is given a female name, such as Lisa, Kim and Michelle, as titles.
However, there is no such straightforward eroticism, or rather, the eerieness of a large collection of beautiful mannequins or zombies is flirting. The music style seems to be more like Mallsoft.

On the other hand, it seems that "Hypomnesia" (meaning memory loss) maybe, when you get old, it doesn't seem to be a refreshing idea, and only the 1980's-like sound just keeps coming to your mind.
It's easy to feel the comfort of oblivion. The music style seems to be Late Night Lo-fi.

And, I say that these 2 works are "much better", but in terms of "method", it may not be so different from his previous works up to 2019.
The point that can be said to have changed is the slightly detailed part of sound making. There was almost no deadly intimidating sound, and the whole became flat and smooth. It is good.