ポ  サ  研

─ Post-Truth Sound Lab, Vaporwave, Désir Duplication Répétition ─

INTERFACE マスターストライカー: アパートメントライフ2052 (2020) - 神秘……。

《INTERFACE マスターストライカー》は、米ボストン在住のヴェイパーウェイヴ・クリエイター。らしいんだけど。
しかし彼のBandcampページに掲示されたそのアバターは、ニッポンの俳優の右甶純一氏だったりする。1989年の《UCC アロマージュ・コーヒー》のテレビCMの映像から()。

Bandcampとかはシャレの世界だから、別にいいような気もするが(!?)。けどさらに、Discogsのアーティストページさえも、そのアバターが押し通されているのはいかがなものか()。
かつ俳優としての右甶純一氏がどうなのかは知らないけど、ゲーノー欄のゴシップ的には近ごろロクな話題が出てなくて、あまりイメージがよくはないっぽいゾ! ……しかし、まあ、そんなことはともかく。

このストライカーつぁんは2019年から活動中、そしてご本人からのメッセージは、その作品らが《シグナルウェイヴ》だということ()。
けれど、いままでオレらが聞いてきたシグナル系ヴェイパーらとは、ちょっと方法が違うようだ。ただ単にテレビCMっぽい音を次々にタレ流すとか、またはそれらを音楽よりに再構成するとか、そういうのとは異なるもよう。

テレビのCMであるようなサウンドたちが、現実めいた空間へと放たれる、そこで生じる響きらをフィールド・レコーディング的に採取していく──、といった方法があるみたいなんだよね。

で、たとえば──。別に成功作だとも思わないんだけど、彼の2019年のEP『内部を見る』は、一種のトータル・アルバム。自作解説などをも参考にすると、こういうものらしい。

ニッポンのOLみたいな女性が仕事からアパートに戻り、とりあえずテレビを点ける。で、そのCM等の音が(カットアップされて)騒々しくその空間にタレ流されつつ、ラーメンとかを調理して彼女は食す。かつその隣室からも、テレビやらゲームやらの音声が流れ込んでくる。

──のような、とりわけ面白くもないストーリーというか一種の情景が、この全3曲・約12分のサウンドコラージュによって描写されているようなのだった。
〈内部を見る〉とはおっしゃいますが、しかしこんなもの見たところでどうもねえ……。また、この作の続編『内部を見る Vol. 2』というものも出ているんだが()。これはその前作と同じようなことを約49分間もヤッているという(!)、実にアレなソレである。

と、ストライカーたんが、そんなことだけをずっとしている人だったら、別にアレだ。だが……。
しかし、その最新アルバム『アパートメントライフ2052』は、かなりトーンの異なった作品になったんだよね。全5曲・約37分を収録。

このアルバムは、従来までの騒々しさが消え失せた、ドローン風味でチルアウト的な、近ごろ流行りの《ドリームパンク》っぽいサウンド。もっとストレートに言うと、あの《2814》っぽさを感じさせる。イメージ的には、たそがれを迎えたディストピアの叙景みたいな作品か、と言えそう。
ただ、いっぽう。アルバム冒頭の曲にはチラッとCMの音が聞こえるので──それがまた口‡ツー・三ューヅック使いの大ネタで──、ストさんのシグナル魂が絶えたわけではなさそう、とも思う。実は他にも、目立たない感じでCMネタをコソコソと入れてるんじゃないかな、などと(邪推)。

そして瞠目すべきなのがアルバムのラスト曲、「かつての美しい空間に」。その終盤の3分間くらいはチャーチ風オルガンの壮麗なサウンドで美しく盛り上がり、まるでピンク・フロイド「神秘」のさいごのパートみたい(!!)。
それでついうっかり感動してしまったが、にしてもわれらのマスターストライカーつぁんは、どこまで《本気=マジ》なのだろうか。

もはや話のまとめようもなくて、彼ことストさんの次回作に、それらの答を待つしかなさそうッ! ああ、神秘っ。

[sum-up in ԑngłiꙅℏ]
INTERFACE マスターストライカ (INTERFACE Master Striker) is a Vaporwave creator in Boston, USA. Active from 2019. His slogan may be, first of all, that his works are Signalwave.
As such, his previous works are spilling over the sounds of old Japanese TV commercials. What is interesting is that the sounds of the commercial are regarded as sounds in a realistic space and approached like field recording manner.

However, I didn't think that the traditional Master Striker work by that method was extremely enjoyable music.

But then, in November 2020, he released 『アパートメントライフ2052』(Apartment Life 2052) from Australia's leading label, Sunset Grid. This album has a drone-flavored, chill-out, Dreampunk-like sound that has lost the noise of the past works. To put it more straightforward, it makes me feel that 2814 feeling. The image drawn by this work is a dystopian landscape in the twilight.
And what surprised me was the last song of the album, 「かつての美しい空間に」 (In the beautiful space of the past). For about 3 minutes at the end, the magnificent sound of the church-style organ was beautifully enlivened, and it sounds like the final part of Pink Floyd's “A Saucerful Of Secrets”.

I was inadvertently impressed so much by that, but how SERIOUS is our Master Striker? Where's Signal spirit of him now? The secrets will be revealed in his next work! Yeah.