エッコ チェンバー 地下

─ €cco ₵hamber ฿asement, Vaporwave / Đésir đupłication répétition ─

skyline divine: Daytime Television (2019) - 苦悶と陶酔の時代にママさんたちの憩い

《skyline divine》は、カンザスシティ在住を訴えるヴェイパーウェイヴ・クリエイター。2017年から活動中のもよう()。
そしてそのもっかの最新アルバム“Daytime Television”は、一種のシグナルウェイヴ作品。アメリカの奥さまたちが真っ昼間っからダラダラと眺め続けているテレビショーの延々と果てしない持続のふんいきを、音響的に再現しようとしたものと考えられる。

というわけなので、表面的に聞こえる音楽はテレビ的なもの。ライトなフュージョンや安っぽいポップの断片らが全21曲、約33分間。
サウンド的にはそんなに冒険していないほうで、あまり目立った加工がない。ただ全体が、いにしえの14インチのテレビのスピーカーから聞こえるような、レンジの狭いモヘ〜ッとした響き。これが耳に快いし、かつコンセプトに合ってるんだと思う。

ちなみにそのコンセプトは、スカイライン・ディヴァインの2018年作品“Tuesday at Noon”から引き続いているもの。初期のスカ・デヴァには少々方向性の定まらないところがあったが、しかしこの〈白昼の奥さま向けテレビショー〉というコンセプトに行き着いたおかげで、主婦層エトセトラにバカ受け……といったストーリーを描くことが可能っぽい。

等々と、オレなんかがヘボく説明するより、リリース元の《B O G U S // COLLECTIVE》による宣伝文がみょうにサエているので、これを引用して済ませたほうが?

スカイライン神からの新曲! 前回の大ヒット曲「火曜日の正午」をベースにした魅力的な続きであるスカイラインディバインは、1980年代と90年代の平均的な主婦の旋風に包まれたビューにさらにあなたを導きます。ありふれた現実から「デイタイムテレビ」の奥へと逃れよう! 楽しい!

(グーグル翻訳システムの出力)

イェイッ。〈1980年代と90年代の平均的な主婦の旋風〉みたいな世界にユートピアを見出すなんて、そんなおバカなことを、いったいヴェイパーウェイヴ以前の何ものに思いつく機会が存在しえただろうか。すごくない?

──ところでこのアルバム「デイタイムテレビ」のだいたい真ん中の10曲め、“Age of Agony & Ecstasy”、これがちょっと気になるトラック。楽曲っていうか、ほとんどは語りなんだが。
お調子のいいテーマ曲に導かれ、ゲストのコメンテーターらしき人がステージに登場。〈……いかがお考えですか?〉という質問に応え、こんなことを言っている風。

〈ご父母の皆さん、あなた方のお子さんたちは……ヤッピーとネオコンらのムーブメントが……無垢の時代……1970年代、セックス、ドラッグ&ロックンロール……私たちは理解……苦悶と陶酔の時代なのです……(聴衆は拍手喝采)〉

けっこうハッキリした話し方なのに、ろくすっぽ英語が聞き取れない自分にもどかしさを感じる。何かかんじんな話が出てるような気もするのに。

というわけで英語ができないせいで、この記事も尻切れトンボに終わってしまう。そしてわれわれは、永遠の現在を支え続ける白昼のテレビの音響に耳を休ませ続ける。

[sum-up in ԑngłiꙅℏ]
skyline divine, a vaporwave creator in Kansas City. His 2019 work, "Daytime Television" is thought to have been an acoustic attempt to recreate the endless endurance of a television show that American wives have been staring at all day long. Let's keep listening to the sound of daytime TV that continues to support the eternal present.