まさに、エリート的な……! ヴェイパーウェイヴ草創期からのトップアーティストである、《ラグジャリー・エリート》さん(☆)。
この人については、すでに皆さんもよくご存じだろうとしまして(★)。
そして、ただいまご紹介しますのは、この2022年3月のオンライン・フェスティバル〈Vaporshave〉で公開されたビデオ作品、“GLAMJAMZ 3.0”です。
約30分間。この作品は、ご本人が、“GLAMJAMZ”と名づけているシリーズのアップデート版だそうですが……。
しかし、そんなことは知っても知らなくてもエンジョイできなくては、なりません。ともあれ、その現象的なありさまを、少しご説明。
まず音楽的には、110 BPMくらいの快適&ややアップなテンポで、少しレトロっぽく親しみある感じのファンク・ビートが、延々と続きます。
それらがいちじるしくローファイ化され、かつグリッチ処理されながら──。しかし、近ごろの英語で“Banger!”という声のかかりそうな、ノリの実によさ。
いっぽう映像のほうは、1990年代アメリカのテレビ映像らのカットアップめいたもの。主として宣伝CM、あわせてニュースやTVショッピングなど。
とちゅう、チラリとあの『乜サ彡・ス卜リー卜』みたいな絵が出ますけれど。これにしても、その当時やっていた関連ライブ興行の広告のようです。
そしてそうした映像たちもまた、実にVHS風がきわまったローレゾ、まったくもってローファイな見え方です。
ではありつつも、もとのところで──劣化してしまう前の向こう側に──高級感と美しみが、何かあるんですよね!
あわせてそれらが、《欲望》をあおり立てています。
もっと美しく、もっとヘルシーに。もっと速く早く、きもちよく……。
いまだけのお得な大セール。すぐに愉しみ、お支払いはあとで!
あの人に対して差をつけよう、〈もっと愛されるあなた〉になりましょう!!
いいかげんもう吐き気がするほど、しつように、これらを……。
グラムジャムズ・シリーズの旧版
──次のことは、私たちのフェイヴァリットなスタイル《シグナルウェイヴ》についても、また強く言えるのですが(★)。
もはや売ってもいないような過去の商品らのCMを、わざわざさらし上げる──。という実にことさらな所業が、メディアというメッセージらの根底を、それと私たちの《欲望》とのなれ合いからみ合いを、あらためてくっきりと照らしだします。
から廻りしたところで、《欲望》の姿がそこに浮きあがるのです。
《欲望》とは、必ず《他者の欲望》である──、とはジャック・ラカンさんの理論の正しいテーゼです。欲望してされることによって欲望は《欲望》として成りたち、そして欲望でありつづけます。
《クラス感》──という興味深いことばがありますが、そのクラス感の不足を想うので、私たちはそれを求めつづけます。
そしてその《クラス感》を成りたたしめる、〈クラス間〉のまなざし。それを今ビデオ作品は、うっかり可視化・可聴化してしまっているのでしょうか。
しっとり感あるレイトナイト系MIXです
これらは、ジャストなエンターテインメントです。そしてあなたの背景であり、かつまた環境です。
べつに注視や傾聴などを、求めていない感じなんですよね。すごくサウンドはいいとしても、いっぽうの映像面──。
もし、じっとこの画面を見ていなければならないとしたら、とんだ洗脳ビデオそのものです。魅惑とともに強い危険を感じ、つい目をチラチラそらしそう。
けれども、とぎれることはありません。
これらを背景として、あなたは生き、踊りつづけます。そしていつかそこに、何かスポットライトが当たるかも知れません!
……というか……。〈かもね?〉でも何でもなく《消費の王さま》たちは、いま現代のスターそのものです。
ユーチューバーにしろブロガーにしろ、あれやこれやの〈購入報告〉をなすのが、もっともイージーに人々の耳目を集めうるということ──、ご存じですよね?
[шrαρ-υρ in ԑngłiꙅℏ]
More beautiful, healthier, richer... your satisfaction is here.
Prosperous Consumer Society! It's luxury elite.