文春オンラインによる、「<アンケート>あなたが選ぶ『少年マンガ』ベスト1は?」という記事(2020年7月3日付)。〈40代(の読者)を中心に、482人が投票〉、というもの。
その記事を作成したサイドの意図は、いま現在のフレッシュな話題作「鬼滅の刃」が何位に喰いこむか、それを確認したかったもよう。そこは透けて見えている。なぜか文春は、とくに関係ない感じなのに「鬼滅」を推している。
だが、それはそうと集計結果のベスト10を見て、自分の印象に残ったこと。それは、何をいまさら梶原一騎の原作によるタイトルが、2コもランクインしているというチン事だった。
第6位に「あしたのジョー」(名義・高森朝雄、作画・ちばてつや)、第8位に「巨人の星」(作画・川崎のぼる)。ちなみに2作をランクインさせているのは、一騎先生のみ。
チン事と言っては失敬千万だけど、にしてもスゴいと思うんだよね。
このベスト10を概観してみると、まず週刊少年ジャンプの掲載作がその過半数を占め、6タイトル。他にサンデーの「名探偵コナン」が第5位、チャンピオンの「ドカベン」が第9位、そしてマガジンの梶原2作。
ここにはすでに、トキワ荘世代の偉大なまんが家たち、手塚・石ノ森・藤子F&A・赤塚、といった各氏が不在。かつ週ジャンの大ヒット作、「NARUTO」、「BLEACH」、「ジョジョの奇妙な冒険」らでさえランク外。──だってェのに、一騎劇画が2コも!
うちらニッポン人は、そこまでに意外と根強く梶原一騎作品らを愛しちゃっているのだろうか。
そしてその、表面的に指摘されてやまぬド根性や熱血だけでなく、根底に流れる苦いブルース・フィーリングやニヒリズムらを、しかと受けとめた上での評価なのだろうか。
まんがなんてのは《旬》のものであり、時代と世代を超えて読み継がれることは難しい。和式の《まんが》のカタチを創った手塚先生の名作群でさえ、すでにあわやのところ。
という認識の上で、この21世紀が到来しちまったとき、オレは考えたんだよね。……ここからもう、梶原劇画なんてェしろものは、忘却への一途なんだろうな、と。
しかしそれが、意外にそうでもなかったというのか。じゃあ、もうちょっと生きてみようかな──と、一部のオッサンら(?)を元気づける話題なのだった。