ポ  サ  研

─ ポスト真実 のサウンド研究, ヴェィパーゥエィヴ と仲間たち, 欲望 複製 反復 ─

南勝久「ザ・ファブル」 - “寓話”、とはタメになるお話のこと

週刊ヤングマガジン掲載のザ・ファブル(2014-19, 第1部・完)──
まるで“寓話(fable)”の領域とまで言われる天才的殺し屋、その休暇生活を描く劇画──

そして“ふつう”に人気のあるタイトルだ──
オレもけっこう面白いと思う──
ウェブで無料閲覧できるパートもかなりあるので、みんな読んでみたらいい──
しかしこの記事で訴えたいのは、スマンけどそういう部分ではない──

てのは、やや大手の匿名掲示板《したらば》の関連スレッドにて先日、次のようなタレコミを見たのだった()。

2020年03月06日 ザ・ファブル 21 690円 (税込759円)
2019年12月06日 ザ・ファブル 20 640円 (税込704円)
2019年09月06日 ザ・ファブル 19 630円 (税込693円)
2018年06月06日 ザ・ファブル 14 590円 (税込649円)

すぐお分かりのことと思うが、単行本の価格の推移だ。短い期間にやたら値上がっている。補足すれば2015年3月刊の第1巻は本体定価が565円なので、5年間で約22%の上昇。
それがこの「ザ・ファブル」だけのことではなく、同じ講談社から出る青年誌系の単行本らの3月新刊は、すべて定価が600円以上になっているもよう。価格の推移は同傾向。

しかし講談社でも、少年誌系の単行本は、そんなふうには価格が変わっていない。また同じ青年誌系でも、対抗する集英社の単行本ら──その価格はヘンに動いてはいない。
なぜ。このように現在のまんが界で、《講談社の青年誌系の単行本》らのみ、かなり大幅な値上げ?

それを説明している感じなのが《hon.jp》掲載の、「講談社がこれから“紙”回復に期待する理由 〜 電子版プロモーションで得た価格施策ノウハウを紙にも」、というタイトルの記事()。
お堅い文章なので何度も読みたくないけれど、ようは利益の確保のため、「取れるところから取る」みたいな方針を始めました、と会社の首脳さんらが言っている感じ。

……すなおな感想、こんなんでは単行本らにうっかり手が出なくなるのでは。だがしかし、そのいっぽうで、ウェブ等で無料閲覧できるまんがの量やタイトルらは、たぶんさいきん増えている感じの感触あり。
話題の作品「ザ・ファブル」にしても、読者のサイドに初動の早さと根気さえあれば、ウェブで全話を無料閲覧できそう──できたような感じ。

赤い薔薇の花ことばは、「美」「情熱」そして「愛」…

すると、たぶんの話。売り上げは大いに欲しいけれど、しかしそのためには、まんがを単に囲い込んでいるだけでもダメ──そういう判断が、これのウラにはありげ。
無料で見ている多数の読者と、単行本の購入にいたる比較的少数の熱心な読者。そして後者の方々の双肩に、この業界の存続がかかる、という構図ができつつあるのか。
そして熱意と忠誠心のある読者さまを増やすには、まずピラミッドの底辺のタダ見読者層から増やしていかなければ、という《中の人》たちの考えなのか。

そしてそういう構図を、どこかで見たなと思ったら、アレだ。──《基本無料》をうたうソシャゲの経済基盤、それは全プレーヤのうちの3%ほどの《廃課金者》によって支えられている、とか何とか。
いや自分はゲームをしないんだけど、そんなような風説を風聞。まんがの世界の構造も、そういう風になっていくのだろうか?

そして、ネット上の知り合いからむかし聞いた話なんだが──。その《廃課金者》になって自分のキャラクターの装備や能力らをマックスまで強化し、そのパワーで無料“乞食”プレーヤらをバシバシッとけちらしていく……そのことによる快感ドーパミンの分泌量がドバドバと、もうスゴぉ〜いんだとか。
いっぽう、こちらのまんが業界は──。優良な有料のユーザさまたちに──、それに匹敵するほどのとくべつ大いなる快感を──、与えていくことができるのだろうか──?