ポ  サ  研

─ Post-Truth Sound Lab, Vaporwave / Désir Duplication Répétition ─

Aäron Lepers/ミスターハンセン病患者: Altamonte Mall (2019) - イカにもタコにもクラゲにも ウニにも

《Aäron Lepers》は、ベルギーの人であるらしいヴェイパーウェイヴ・クリエイター、2016年から活動中のよう()。そしてそれら以外のことは、何ひとつ明らかでない。
つーかまず、ベルギーの人の名前の読み方からして分からないんだよね。いまここでは、仮にアーロン・レペルズと呼んでおくけれど。

そしてそのアーロンさんの、現在までのメインのプロジェクト名が、《ミスターハンセン病患者》。この名義で彼は、5作のアルバムを発表済み。

……ただ? すなおな感じ、その〈ハンセン病患者〉ということばは、ヴェイパーウェイヴなんていう悪ふざけ音楽のたわむれに使っていいものなのか、という疑問はある。
ではあるが、何かオレとかには分からない、とくべつな意味づけがあって、あえてそのことばを用いているのかも知れないし……。よって、いきなりケシカラン、とも言いたくない。

そうして──ちょっと考えてみた、このプロジェクト名の由来について、ひとつの臆説を書いておけば。
アーロンさんの姓である《レペルズ》の響きが、ハンセン病の別称である〈レプラ, Lepra〉に似てる。そこからの語呂あわせと言い換えで、レペルズ氏が《ミスターハンセン病患者》になっているのかも?

と、そんなダジャレだったとすれば、〈やっぱり単なる悪ふざけじゃねーかよえーっ!!〉と、責められる流れになっちゃうのだろうか。
がしかし、語呂あわせであるなら浅い、と断定してしまうのもあわれな臆見なので──、まあ、名前の件はひとまずおいて!

さてです、音楽の話。ミスターハンセンの作風は、自分の聞いた感じ大まかに、チルアウトとモールソフト()の間を行ったり来たり。なお、《ここ》で言われるチルアウトとは、アンビエントと呼べるほどの崇高味に欠ける、ユルくてエレクトロっぽいイージーリスニングのこと。

そして、自分の好きなモールソフトへの傾きがもっとも強い作品として、ハンセンの最新作でもある“Altamonte Mall”、これがイイと思う。ユルいですゥ〜。

けれど? ミスターハンセンの面白い点として、各アルバムに1曲ずつくらい、ヘンな《前衛》っぽいトラックが入ってる。この『アルタモンテ・モール』においてはそれが、全8曲中の最終トラック、“Outro”
その響きがみょうに好きなんだが、しかしハンセンの前衛(?)路線の中では、そんなに凝ったことはしていないほう。
まずは、どうでもいいような《ミューザック》()──とは言ってもけっこうよろしい原曲である風──を素材とし、そのスピードを約25%にまで、ドドンとダウン。あとEQやフェイザーなどを軽く施し、そして始端と終端をフェードイン・アウトへ。

単なる自分の好みでしかないみたいなんだが、こういう平俗さを原点として、そこからヘンな地点にまでおよんでしまう、そんなイキ方に共感しちゃうんだよね。
たとえば。《リラクゼーション・ミュージック》と呼ばれる商品音楽が世にはあるっぽいけど、しかしそのリラックスかげんを、極限にまで過激化してみれば? するとフロイトさんの死の欲動をもアレするような、もはや無生物であることを希求するまでの、ずいぶんとヒドいアレにっ?

いっぽう、そのような高尚な談義(?)とはまた別に、ミスターハンセンの音楽には、すごい実用性もあるんですゥ。

というのは、2017年のアルバム“Lepers”の第6曲、Squid Hotdogs”というトラックで、《タコさんウィンナー》の作り方が、ニホン語でレクチャーされているんだよね。いやいや、マジで。
何かニッポンの子ども向けテレビ番組の音声みたいなんだけど、しかし大して説明するほどの工程がないので、90秒足らずでトラックが終わってしまう。しかも、《音楽》と述べたがよく聞いたら、ごく低い音量のBGMに乗せてオッサンらがしゃべっているだけだ。

そうして、オレらの心に残るのは──。この《楽曲》のタイトル中にスキッド(イカ)とあるが、正しくはオクトパス(タコ)じゃなきゃ〜ダメなんだもんね、という胸の底からのあふれる熱き想い、なのだろうか?

[sum-up in ԑngłiꙅℏ]
Aäron Lepers, a Vaporwave creator who claims to be Belgian. The name of his main project is ミスターハンセン病患者 (Mr. Hansen's disease patient).
To date, he has released five albums by that name. The musical tendency is thought to be back and forth between chillout and Mallsoft.
And I think Hansen's latest work “Altamonte Mall” is good as a work with the strongest inclination to my favorite Mallsoft. Nice-n-loose.

In addition, Mr. Hansen's music also has a really practical side, and on the track called “Squid Hotdogs", the sixth song of the 2017 album “Lepers”, a lecture on how to make “Octopus-shaped sausage” was given in Japanese. There is.
However, what we so much regret is that it is an octopus-shaped sausage, so the title had to be “Octopus Hotdogs”, not squid. It's a shame!