ポ  サ  研

─ Post-Truth Sound Lab, Vaporwave / Désir Duplication Répétition ─

Hackosef: ストリート から 平和 (2020) - 回帰せよヴェイパーウェイヴの正道へ

とあるひとりのヴェイパーウェイヴ・クリエイターが、《Hackosef》を名のっている()。彼については、関係しているレーベルからカンタンなバイオが公開されている()。

Hackosefは、2018年からヴェイパーウェイヴアルバムを制作しているマルセイユ出身のフランス人アーティストです。
彼の音楽は、夢のようなグリッチなクラシックスタイルのヴェイパーウェイヴと言えます。彼の最新アルバム「ダンスから平和」がCityman Productionsから入手可能になりました。

なぜかグーグル翻訳がアルバム名を誤訳しているが、でもこのくらいを知れば、彼の“すべて”が分かった、と言えそう。けれども分かっていないことらのひとつは、まず《Hackosef》という彼の名の読み方。
フランス語ならばH(アシュ)を発音しないワケだけど、しかしこのバンド名が仏語そのものであるのか、ナゾ。とりあえず、いまは《アコセフ》さんと呼んでおくね!

さて。そのように、アルバム『ストリート から 平和』がキチッとプロモーションされたせいなのか、その評判が自分の耳にも届いた。そして一聴、すごくいいと思ったんだ。

なんど聞き返しても、思う。このアルバムの冒頭曲「未回答の質問...」の、ユルぅ〜いドリーミィなムード音楽。次の2曲め「輸液」の、憂いあるチルホップ。そして3曲め「動機付ける」は、ノスタルジックな軽ジャズ……。
そこまでの流れがあまりにも完ペキなので、聞くたびにスゴいと感じ、引きこまれる。モールソフトやレイトナイトの系列の()、スゴい新人が出てきたぜェ、とうれしみを覚えてしまう。

ただし、こういう言い方で、カンのいい人は気づいたと思うけど。惜しくも、それから4曲め以降の〈流れ〉が、あまり完ペキではない風。

……この『ストリート から 平和』というアルバムは、全14曲・約55分を収録。その中に、オレの求める水準以下の楽曲は1コもなくて、それぞれにグッド。
しかし《アルバム》として聞くと、その序盤からあとの〈流れ〉がいまひとつ、という感じになっちゃうんだよね。

いや、まあ。いまさらロックの全盛期のコンセプトアルバムじゃないんだから、あまり強く、〈アルバムの流れるような統一感〉なんかを求めてもいないけれど。
だがそれにしても、きらくな姿勢で雑に聞いていて、それでも、いちいちの曲調の変化が凸凹してるな〜という印象を受けてしまう。
あるいは他の人の感じ方はそうじゃなく、〈むしろ起伏があっていい〉という意見もあるかもだけど!

ところでここからお話の、時系列がちょっと戻って……。

この、アコセフさん。彼の初期みたいな時期の作品らは、何と意外にも、ほとんどがフューチャーファンク()。ヴェイパーウェイヴでは、“ない”。すでに50コくらいものアルバムやEPらが出ているんだが、自分のざっと調べた限り。
正しくヴェイパーだと言える彼のアルバムらは、まず2019年10月の“morning broadcast”がお初()、その作風はシグナルウェイヴ()。続いたのが20年1月の今作『ストリート〜』、そして同5月の“rose quartz。以上の3作のみ、と考えられる。

だとすると、さきに引用したバイオの〈彼の音楽は、夢のようなグリッチなクラシックスタイルのヴェイパー〉という一文には、多少の誇大さがっ?
とはいえ『ストリート〜』というアルバム自体はおおむねそうなので、このレーベルがサギをしてるとも言えんのやけどなブヘヘヘヘ

しかも、このアコセフたん。いままで彼が大量に生産してきたフューチャーファンクらは、あまりそっちのファン層にウケてもいなかった感じ。ヴェイパーよりもずっと《売れセン》というか、人気の出そうなジャンルかと思われるのに。
そんな彼が、ヴェイパーの《正道》と呼ばれるストリートへとたち戻って、やや日の目を見た。それが、一定の成功を収めた作品『ストリート〜』なのだ、というストーリーが書けそう。じゃあオレたちも、アコセフつぁんの更生を応援しようぜ!

なお、さっき題名の出たアルバム“rose quartzは、全体の傾向が『ストリート〜』に近く、やはり楽曲らのレベルはかなり高い。しかし同じく、アルバム的な完成度はもうチョイ、と自分は思う。

たとえば。その8曲め“misty”は、実に眠みのつよつよな、約11分間の長いトラック。そこはいいんだけれど、だがその次の曲で、いきなりチンドン屋さんのサックスがクソデケェ音で鳴りくさる、いやいやマジで。
そういう〈流れ〉のブチ切りと凸凹感が、ちょっとオレのフに落ちないんだよね。
かと思えば、そのまた次の10曲め“cinema”は、ややIDMめいたテンポの速い曲。けれどもそっちの紋切り型ではなく、実にふんいきが濃い。この楽曲はいい。

と、このように行ったり来たりの作品だと、それをご紹介している文章も行ったり来たりになって、オレが皆さんに対して申しわけないんだぜっ。
だがともかくも、このアコセフっち、かなり非凡なセンスを持っていることは確か。あともう少し、アルバムの構成とかを練ってくれるよう願いつつ、見守っていきましょう!

[sum-up in ԑngłiꙅℏ]
Hackosef, a Vaporwave creator from Marseille, France. He has been producing a lot of future funk since 2018, but he seems to have been less successful in the field.
And he returned to the street that can be called right path of Vaporwave and released the album “ストリート から 平和 (Peace from the Street)”, in January 2020. The style is Mallsoft and Late Night Lo-fi. This is a remarkable work.
The flow of the first three songs of that album is really wonderful, perfect. I was deeply moved and fascinated.
However, the flow after that is not very good. The standard of all the songs is high, but there are many feelings that the assembly as an album is bumpy. There is a lack of unity in the atmosphere.
Monsieur Hackosef, who seems to have a fairly extraordinary talent. I hope that his future works will be improved the point of assembling as an album.