ポ  サ  研

─ Post-Truth Sound Lab, Vaporwave / Désir Duplication Répétition ─

「サンセット Network❾❶」: always on my mind 夏の夜 (2016) - 歓楽と倦怠のサマーイヴニング

素性のまったく分からないヴェイパーウェイヴ・クリエイター、《「サンセット Network❾❶」》)。なぜかさいきんイイなと思ったんで、ご紹介しようとしたら実にナゾが深く、〈まいっちんぐぅ〜〉と思っている現在なんだ。

そもそも別の名義がいっぱいあって、判明している限り、《「newtype」》()、《Western Digital》()、《Memoirs》()、等々々。
これら全体をひっくるめ、分かっているのは、次のようなこと。2015年にデビュー、それから翌年あたりまで異様なほどの生産力を示したが、しかし17年からフェードアウトの態勢に入り、そして18年をさいごに音さたがない。

いやっ。こんなことさっきまで気づかなかったんだが、にしても2015年のサンセットさんの生産性は、異常だったようにしか。
何せこの年に彼から出たアルバムの数は、サンセットで6コ、ニュータイプで11コ、ウェスタンデジタルで1コ、メモワールで2コ、ほどになるっぽいのだった。“アルバム”とは言え5曲入り12分間みたいな小物もあるが、それにしたって!

しかもそのイキオイが、やがてピタリと止んでいる。実はこういうヴェイパー者、少なくはない、と考えている。

すなわち、2014〜15年という第2次ブームの起こりにザッブーンとヴェイパーの波に乗り、そして16〜17年あたりに活動のピークを示し、しかし18年くらいからフェードアウト中。そういうバンドが……。
……いま意外にパッと出てこないが、たとえば《VHSテープリワインダー》()、《MOD-COMM 81》()、そのあたりがそんな感じか。それとその第2次ブームの立役者である《HKE》にしろ、事実上そんなようなものなのでは?

だが別にフッと活動が止むことを責めてはおらず、いつか戻れるなら戻ればいいし。また、ピタリと止めてしまうのも、《ヴェイパーウェイヴ》らしさがあってよい。
まさか生活のためにヤッてるヤツはいないはずなんで、ムリには続ける必要もなさげ。だいたいヴェイパーの制作なんて、2〜3年もヤッたらネタが尽きる、もしくは飽きるものなのかも知れないし(!)。

「サンセット Network❾❶」: sunset 夕日 (2016) - Bandcamp
「サンセット Network❾❶」: sunset 夕日 (2016) - Bandcamp
「夏の夜」の次にはコレがいいと思うんだ

それはそうと、サンセットさんの話に戻って。その使用名義によって、多少は作品の方向性が違っぽい。

まずサンセットとニュータイプはワリに近く、あまり品のない《レイトナイト・ローファイ》系。楽曲の長さが平均2分くらいと、ライトウェイトな構成が特徴。なぜか自分には、サンセットのほうに質の高さがあると聞こえる。
次にウェスタンデジタルは、それにもう少し高尚味を加えたようなサウンド、なのかな〜と。サウンドのモヤモヤ感が濃く、サンプルのスローダウンが激しい。

さいごメモワールはぜんぜん違い、ダークアンビエントの世界で異色の存在として知られる《ザ・ケアテイカー》()、そのスタイルを模造したもの。ヴェイパーじゃない。
ただしお手本のケアテイカーことレイランド・カービーさんは、こっち側の陰湿邪道な音楽シーン全体のリスペクトを集める偉人ではある()。が、それはまあ別の話。

そしてっ。この駄文にてご推センしようとしているのが、サンセット名義の代表作とオレが考える“always on my mind 夏の夜”(2016)なんだが──。
サイドワークのいろいろとおかしいモノらに触れたあとで今作を聞き直すと、やっとマトモな世界に戻ってきた、そんな気がしてしまうのだった。いやそんなにはマトモじゃないけれど、しかし質の差はあるように思えるんだ。

申し上げたように、そのスタイルはレイトナイト・ローファイ。つまりむかしのポップやR&B、または軽いフュージョンなどを眠たい音質に加工して、真夜中の歓楽と倦怠のムードをかもし出す。そして、アルバム序盤あたりの1曲で、口ーりソグ・又卜ーンズみたいなサンプルが聞こえるのはごあいきょう、もしくは気のせいに違いない。
実はこのレイトナイト系、キライじゃないけど、イイと思うのは少ないんだよね。その中で今アルバムはスッと自分の胸の中に入ってきたんで、〈ボーノ!〉って感じたんだが……。

……にしてもまとまらないお話になってしまい、皆さまにはサーセンしたっ。けどまぁワシだけの責任だとも思わんのやけどな、ブヘヘヘヘ。

赤い薔薇の花ことばは、「美」「情熱」そして「愛」…

【追記】ご紹介した“always on my mind 夏の夜”について、われらが《Sunbleach》による紹介記事がここに()。
ただし手短で手がたい紹介文でしかなく──いやそのサンブリーチの手がたさが、ほんとうに貴重だったんだけど!──かつ文中の、〈これがサンセットのラスト作か?〉という推測はシュートミスに終わっている。

サンセットさんに対するサンブリさん、ちょうど活動時期が重なっているので、作品の紹介記事はけっこう載っている。しかしそれらをどう見ても、サンセットの素性はまったく出ていない。そんなじゃあ、オレなんかにそれが分かるワケも、ねえ?