ポ  サ  研

─ ポスト真実 のサウンド研究, ヴェィパーゥエィヴ と仲間たち, 欲望 複製 反復 ─

ASTRO TV SYSTEM・空気系・No Dialect: SIGNALWAVE IS DEAD (2020) - シグナル系は荼毘に付したよ

〈シグナルウェイヴは荼毘に付したよ… 骨はBandcampに埋めてある〉。ついつい使いたくなる《タフ語録》でいうと、そういうこと?
まあタフ関係のことは、あとで軽〜くご説明いたすとして。この記事の主題みたいなアルバム、“SIGNALWAVE IS DEAD”は、こういうものであるもよう。

まず、2020年4月の記事でご紹介したように、シグナル系ではちょっと名前の売れたクリエイターの《天気予報》、その人がヴェイパーウェイヴ界からの引退を表明()。
で、ハッキリ言うけど、〈どうせすぐ、名前を変えるなどして戻ってくるんだろうな……〉くらいに予想していたのはオレだったんだよね。それも別にいいんだけど。

で、その展開が意外と早かったんだろうか。かつ、ヘンに隠し立てもせぬいさぎよさで(?)、お天気さんはこの5月、《No Dialect》という名でカムバック。

そしてシグナル系の同志であったクリエイター2組とともに、挑発的にも(?)「シグナルウェイヴは死んだ」という、論争誘発的なアルバムを発表。
そしてシグナルが死んだらどうする、どうなるかというと、CMパンクという後継のジャンルを立ち上げるべき、のようなご主張みたい。

そして《パンク》と言われたら、少しくらいはスカッとするようなキレのあるサウンドを期待してしまうけれど──。しかし今アルバムを聞いての印象は、〈どっちかつうと、インダスでノイズですよね?〉。

……古い話だが、ロバート・フリップジョン・ライドンが〈ロックンロールは死んだ〉と言い、わりとさいきんHKEは、〈ヴェイパーウェイヴは死んだ〉と言った。
それらの間に〈アシッドハウスは死んだ〉とかいうことを、誰かが言っていそう。けれどその発言者が無名すぎて、記憶にも記録にも残っていないのだろうか。

そうして現在、シグナルが死んじまったそうだけど。しかしココにまでいたる過程が、実にみすぼらしい縮小再生産かのように、ハタからは見えていそうな気が。

また、これにならって〈スラッシュウェイヴも死んだ〉、〈レイトナイト系も死んだ〉、そんなことらを言うだけなら実にカンタンだし。かつ、何となく少しはカッコいいような錯覚をも娯しめそう。
ただし、このヴェイパーウェイヴとかいう腐臭にまみれたアンデッド系ポップを真に死なせきるには、もっともぉ〜っと斬れ味のいい武器らを用意する必要があるんだよね。そのことが、誰にもできていない。

で、ちょっとタフ語録の話。猿渡哲也先生の名作劇画「TOUGH―タフ―」の第22巻、主人公の伯父であり大悪党を気どるトリックスター《鬼龍》、この人が死んだと伝えられる。鬼龍の父であるジィちゃんが、その遺体を〈もう荼毘に付したよ〉、と述べる。

だがしかし。ゴキブゥリ並みの生命力と最強の悪運を誇る鬼龍ちゃまが、そこでほんとうに没してしまったのかというと?

もっとヒドい例だと、かの魁!!男塾のメンバーたち多数が、やたらいろいろな局面で、〈死んだあッ!〉と記述される。そうしてわれらがシグナル系やらあれこれの生死もまた、そのレベル? まんがくらいの軽さをもって、死んだり生きたりすることも、そのゆかいなシャレ活動の一環なのだろうか。