エッコ チェンバー 地下

─ €cco ₵hamber ฿asement, Vaporwave / Đésir đupłication répétition ─

Noö ☾ene O'Neal: (apple)π (2019) - 大切なところをカンタンに放り出すのが意外と粋(スイ)

バンド名の読み方は《ノォー・シーン・オニール》なのだろうか、2014年から活動しているらしいので、すでに古株の部類に入りそうなヴェイパーウェイヴ・クリエイター。在インディアナ州を主張。
そこまではいいとして、いまご紹介しようとしているアルバムのタイトルの前半が、読めないどころか表示さえまともにはできない、当家のウブンツのPCでは。これには小生もまいっちんぐ

そこでその問題のバケ文字でGoogle検索してみると、なぜなのかふしぎだが、IT企業のアップルおよびそのシンボルらがHitする。
するとこのバケ文字はアップル社のリンゴのマークなのかと考えられ、であれば今アルバムのタイトルは「アップルパイ」と読ませたいのか、とも推理される。推理・推測・推察にすぎないけれど、とりまそのように解釈。

さて、何ンせ世に出ているものがあまりにも多すぎるヴェイパーの世界で、「これはいい」と思えるモノを発見するにはどうすれば? ひとつの方法として自分は、まず各レーベルのベスト盤らをチェキりたてまつっている。
で、この世界では相当の実績と信頼を誇る《B O G U S // COLLECTIVE》レーベル、そのオムニバス"Best Of 2019"()を聞いたら、全35曲中にインプレッシヴな楽曲が3つくらいあった。その中の1曲が、このオニールさんの“Amenti After All”。それの本来の収録アルバムが、この仮称「アップルパイ」。

このアルバムに限らず、近年のオニールさんによるトラックらは、ワリと全般にアッパーであげみざわ。かつ多くの部分につき、シンセサイザー等でけっこうマトモに“造って”いそうなフシがある。曲の構成にもルーズさがなく、かなりキッチリ。
つまりシンスウェイブ(synthwave)に近い特色があり、そういう部分は自分の好みと少し違う。しかしそのトーンの濁し方に、ヴェイパー的センスのすぐれみが深い。

そして今アルバムのラストを飾っている“Amenti After All”が、何ら根拠のない希望の光の中へ人をすみやかに連れ去っていくような、聞けば聞くほどチャンとしたイイ楽曲。で、逆に何かだまされているみたいな感じ(!?)。あるいはまるごと他者の作品のパクリなのでは……などと、疑ったりもするが。
しかし終盤のピークのところの女声コーラス風シンセ音のガチガチした感じが、他のジャンルではめったに聞けない、まさにその“ヴェイパー的センス”の深み。そこをスムースにしちゃったら、あまり面白くない。かんじんっぽい部位で発露されてしまうヘンな投げやりさが、おけまる水産。とにかくご一聴をオススメ。