その名を「ナイトフォース」と読まれたそうな、在ロンドンのテクノレーベル「Kniteforce」。これは要するに、Early 1990'sの全盛期ブレイクビーツ・テクノの再興を目指しているのではあるまいかと推測される、あっぱれおめでたい連中であるっぽい。
さてその、1990年代初頭あたりからテクノを聞いてたようなお姉さんお兄さんたちは、当時ザ・プロディジーが死に物狂いにカッコよかったのをご記憶のはず。エヴィバデ・インダ・プレイス、レッゴー! レッゴー!! レッゴー!!! ただしアルバムで言ったら1st(“Experience” 1992)に限り、2nd以降もよくはあるけれどヘンに重く、1stのバカ明るさが、もはやない。
そしてKniteforceのサウンドは全般的に、このプロディジーの1stアルバムの白痴的ふんいきとスタイルの再現、といったところを目ざしているように聞こえる。現在の彼らのSoundcloudページのトップにある曲なんて、それらしすぎて涙モノ(☆)、でもあるような。
だがそれにしても遥けき話で、プロディジーが2ndでもうちょっととなったころに、その1st的な音を自分は探し求め、クアドロフォニアは質で及ばない、T99やL.A. Styleあたりは「スゴイ一発屋!」カテゴリに属すのでまた違う、とか何とか研究していた気がする。当時知り合いのDJも、「近ごろはブレイクビーツでイイのがなくて」と、ボヤいていたのを思い出す。
で、その似たようなサウンドの真打ちに出遭い直すまで、まさか20年ほどもかかってしまうとは…。まったく何を今さらとも思うんだが、けどやはりこのサウンドには身がアツくなることがやまない。
◇参考URL◇
Kniteforce Official Podcasts(☆)
Kniteforce on Soundcloud(☆)
Kniteforce on Mixcloud(☆)
と、ここまではあまり調べもしないで書いてきたが(…)、追って調べたらナイトフォース主宰者のDJ Luna-Cはけっこうなベテランプロデューサーであり、キャリアとしてはプロディジーとあまり変わらない、と知った。つまりすばらしきフォロワーであるのかと思っていたが、意外にそういうのではなかったのかも?
英語版ウィキペディアによるとLuna-Cの最初の成功は1992年、「Smart E」なるグループのメンバーとして発表した「Sesame's Treet」、これが英シングルチャート第2位を獲得。タイトルからお察しの通り、セサミストリートのテーマソングのリコンストラクション。いまいち作りがち密でないが、しかしブレイクビーツ・テクノ特有のチャイルディッシュな楽しさは、かなりある。それにしてもこれが全英2位とは、ドサクサっぽいというか、時代の勢いってのは恐ろしい。
で、そのチャイルディッシュでもあるブレイクビーツ路線をLuna-Cはずっと続けてきたらしく、プロディジーのほうがその間に、サウンド的にもポジション的にもどんどん変わっていった、ということなのだろうか。ともあれその場のすべての人がレッツゴーしよう! したい!! すべき!!!…というレイヴ・ユートピアの夢の名残りが、ここいらにもあるようなのだった。