エッコ チェンバー 地下

─ €cco ₵hamber ฿asement, Vaporwave / Đésir đupłication répétition ─

Unclesand: Club Vaag and FG Xtra … (2020) - 走れ! 地獄の行進曲だッ!?

《Unclesand》──アンクルサンドは、ベルギーの2人組。ハードテクノ系のDJ/プロデューサーです。
メンバーそれぞれの音楽キャリアはすでに20年におよび、〈そしていま最終形態として〉、このデュオで活動しているそうです()。

……で、いや何か、こう。ただのイメージですが。
イケメンおふたりそろっての写真のふんいきが、DAFとかニッツァー・エブとかの《ボディ系》、すなわちEBMみたいで、いいですよね!

それと言うまでもなくベルギーは、1990年代初頭からのハードテクノの本場です。T99、アナステイージア! ジェームズ・ブラウン・イズ・デェーッド!
そしてそれもまた、もともとEBMがベルギーでは盛んだったので、そちらからテクノへと流れた人材が多かった──とも、伝えられています。

ただしそんなことたちは、いまの私には、どうでもよい感じで……(!?)。

前にご紹介したような事情により()、〈何ンかこう、強迫的で脚が止まらないようなハードテクノのMIXが欲しい〉、と思い。そして探し当てた中のひとつが、このアンクルさんたちによるものだったのです。
似たようなものはいっぱいある──とも言えそうですが、拡がり感とゴシック風味を出しているのがいいですね。これは20世紀のハードテクノにはなかった感じで、あるいはトランスの影響などがあるのかも。

ですけれど。もう現在は基準テンポが、だだ下がりの人になっている私が、いまさらハードテクノを聞きたがるなんて……とは、思ったりします。

……以下はしばし、私個人の反省文です。

1994〜2001年のあたり、《テクノ》にハマりきっていた──誇張でもなくひところは、寝てる最中にまでもテクノのことを考えていた──私は、当時の仲間らと、ちょっとそのミニコミみたいなものを発行していたのですが()。
そしてそこで、当時の流行りのハードミニマルを推しすぎていたのでは、と、ずっと後悔しているんですよね!

Le Car: Auto​-​Reverse (2018) - Bandcamp
Le Car: Auto​-​Reverse (2018) - Bandcamp
Late 1990's エレクトロを代表するバンドの
ひとつ、《ル・カー》のベストアルバム

ただし、100%のあやまちだったとも自覚していません。確か1998年くらいまでは、何しろそのハードミニマルと、またその母体だったハードアシッド、それが当時の最良の《テクノ》だったでしょう。
しかし1999年くらいから、二番どころか三〜四番煎じの、うるさくて単調なだけのミニマルらがあふれすぎ、〈もはや、“音楽”って感じがしねェし……いいかげんにしろ……〉くらいに感じていました。

ではありながら、ハードミニマル一色に染まりきったシーンの中で、それを言い出す勇気と空気の読めなさが、不足していたように思います。
その晩期には、少しでも向きを変えようとして、〈マイク・インク等のケルン派の、ハードではない“ソフトミニマル”が、よくない?〉とか、〈むしろエレクトロ・ファンク系、ブレイキンなヤツがクるッ!〉──などと、書いていた気もするのですが。

ちなみに後者は、追って海外のメディアが《エレクトロ・クラッシュ》と名づけたムーブメントです。音楽的にはすぐれたものがその中にあったと、いまも思います。
がしかし、フロア用ツールとしての弱さ──むりにでも身体を動かしてくる強迫性の、相対的な乏しさ──が、けっきょくは払拭できなかったもよう。よって、流れを変えることができませんでした。

そんなテクノ晩期のできごとで印象が強いのは、DJ Rush──DJラッシュというシカゴの人のスピンする現場に出かけ、そして30分もいられずに帰ってしまったことです。
そのヴェニューが青山の《マニアックラブ》だったのは確かで、時はたぶん2000年あたりでした。

このラッシュさん、確かトラックメイキングのほうでは、比較的いいような印象があったんですが……。
しかしその晩のMIXショーは、述べたようなうるっさくて単調なだけのハードミニマルの、超クソっ速いやつを並べたしろもので……。
しかも! ことさらにミキサー卓で音を歪ませ、クソやかましさを増強しているもよう──とまできては、ちょっとがまんのしようがない、と感じたんですよね。

〈まるで、まっしぐら地獄への行進曲じゃねェか! 耐えられんねェ!!〉

──というのが想い出話ですが、しかし私も現在は、なかなか慎重な男です。〈いま聞いたら、実は意外にいいと思うんじゃないかな?〉かとも考え、その事案に近い時期のラッシュさんのMIXを探してみたりしたところ……()。

ダメですね。これは否定しなくてはならない。過去の私の判断は、それ自体は、まったくまちがっていませんでした。
ですけれど、〈こんなクソを拒否しなければ、オレたちは滅ぶ!〉という正論を、人々に伝える勇気がなかった。それが実に悔やまれもしますが、しかしそれを人に告げていたところで、何ひとつ変わりはしなかったでしょう。

──と、そんなことらがあって、私の《テクノ》は死につづけていますが。しかし世の中のテクノ全般は、たぶんそれからも大いなる進歩と発展と前進を、なしつつあるのかも。
そして、ちょうどそうした時代から活動しつづけている、アンクルサンドさん(等々々……)。また当時とは違うハードさを追求している感じなので、私はそれを愉しみます。