ポ  サ  研

─ Post-Truth Sound Lab, Vaporwave et compagnie, Désir Duplication Répétition ─

SkyTwoHigh: 歌舞伎町冒険 (2020) - 狂った果実のヴェイパー残酷物語

《SkyTwoHigh》は、ニホンの“Takinoe”出身と称しているヴェイパーウェイヴ・クリエイター。たぶん今2020年にデビューし、すでに4作のアルバムを発表している()。
そしてご紹介する『歌舞伎町冒険』は、彼の2ndアルバムらしいもの。全9曲・約73分を収録。
それがご本人のBandcampページに加え、ちょっと注目されるべきレーベル《Geometric Lullaby》および《night coverage》らでも、あわせて公開されている。とすれば、〈シーンの話題作であろう〉くらいには言える気がするんだよね。

そして。さいしょに言っちゃったほうが親切かもと思うので、いきなり言うんだが。
このスカイ2ハイさんによるトラックらは、〈IDM(風)〜チルアウト〜アンビエントヴェイパー〉という幅の中、そのどこかに入るものたちだと思う。そして自分としては、後者寄りの遅くてフラットなサウンドに、ひかれるものがある。

ところで話がちょっと変わるようだが、ネット時代のいまどき、人々はどんどんせっかちになりつつある(らしい)。だからウェブの記事なんかにしても、いきなりさいしょの3行で、〈面白そう!?〉と思わせなければならない。
自分にしたってそういうことを、ぜんぜん意識していないワケでもない。──ところがご覧のありさまなんだよね!

さて話は戻って、『歌舞伎町冒険』なんだが。アルバムの先頭のトラック「風俗街」、そのスタイルがIDM(風)なんだけど、しかしあまりいい曲だとは思えないんだな。
なんか1990年代のそういう楽曲の、単に音質を悪くしただけ……みたいだし。〈だが、ともかく2曲めまでは聞いてみよう〉という当節まれなる根気のよさがなかったら、自分の中でのスカイ2ハイさんは、そこで終わっていたね!

そして、アルバムの2曲め「新宿ゴールデン街」の印象がよかったので、いまこういう記事になってるんだよね。危ないとこだったんだ。
だから、いますべてのプロデューサー各位に、オレは告げたい。アルバムの構成なんてもんは、必ずイチオシの楽曲をトップに置くべきだ、と。……ってまあ、“ふつう”の意見だけどさ。

で、再び言うけどスカイ2ハイのトラックたちは、響きがフラットでテンポが遅いほど、聞き味がいいと思う。4曲め「賭、女とタバコ」、6曲め「酒類夢」、あたりがとくにいい。今後ぜひ、そういう方向性での制作をキボンヌであ〜る。

さて、ここからはスカイ2ハイさんの作品たち、そのコンセプトみたいな話なんだが。

彼の既発のアルバム4コは、たぶん一種のシリーズ作であるもよう。かなりあやしいニホン語で書かれたBandcampページの自作説明とかを読むと、いちおうつながっていそうな私小説的ストーリーが、あるっぽい。
それが、どういう私小説かというと──。

北海道の滝上(Takinoe)町かと思われる、スキー場しかないようなイナカ町に生まれ育った青年。そのたいくつさに耐えかねて上京し、そして歌舞伎町の夜のみだらな歓楽に、ドォ〜ップリとハマりきってしまう。
かと思えば更生を思いたち、多少マトモそうな仕事についたりもする。けれど悪いスジからカネを借りていたせいで、ヤクザに追われるハメとなり、いまは絶体絶命(!)。
──そしてここまでの4作のアルバムたちは、そういう波乱万丈のイベントら、そのあいまに作られたものなんだとか(!!)。

とは、とんでもねェ……ヴェイパー界の葛西善蔵が、ここに出現しちまった。まあストーリー自体は善蔵風でもなくて、いわゆる太陽族映画》の系列みたいだけど。

けどいっぽうでは、その片手間の制作に、〈YAMAHA DX-7、ROLAND JUNO-60 と JUPITER 8 を使た。〉とか言ってくさるので、意外とヨユーな感じもある()。そんなイカしたヴィンテージシンセの実機らを3台も所有してるってんなら、アンタは持てる側の人間じゃねェかっつーの(オレらの基準では)。

いやまあ、そんなお話たちは、お話として受けとっておくとして──。ともかくもアーティストとして鮮烈な出だしを魅せつけてくれたスカイ2ハイ、その今後の動きに注目、っていう気はするんだよね!

[sum-up in ԑngłiꙅℏ]
SkyTwoHigh is a Vaporwave creator who claims to be from “Takinoe” in Japan. Maybe he made his debut in 2020 and has already released four albums.
And his “歌舞伎町冒険 (Kabukicho Adventure)” is an album with a kind of story. It seems that the story tells that a young man born in a boring country town goes to Tokyo, which he longs for, and indulges in the night pleasures of the infamous Kabukicho.
But that said, when I checked the music side, the tracks by SkyTwoHigh are considered to fall somewhere within the range of “IDM (-oid) - Chillout - Ambient Vapor”.
And as I've heard, his works seem to be better the slower the tempo and the flatter the sound. I hope that his works will be extremely slow and flat in the future.