エッコ チェンバー 地下

─ €cco ₵hamber ฿asement, Vaporwave / Đésir đupłication répétition ─

死夢VANITY: lovely reveries (2018) - ゴージャスな白昼夢、すてきな空想に溺れ死ぬ

《死夢VANITY》は、米ヴァージニアの人と伝えられているヴェイパーウェイヴ・クリエイター()。その活動は2015年あたりにもっとも活発で、しかし2018年のアルバム“lovely reveries”以降、音さたがないっぽい。

いや。直前の記事で《VANITAS命死》をご紹介したワケだが()、〈確か似たような名前の人がいたな〜〉という気がして、ついさっき思い出したんだよね。だが作風みたいなところは、とくに似てないんだけどね。

話を戻すと、死夢VANITYによるアルバムは、2014年に2コ、15年に4コ、16年に2コ、17年と18年に1コずつ、と出ている。
前にカイル・ジョイナー氏の《BALENTS》の記事で、〈第2次ヴェイパー・ブームのころ(2016年ふきん)には多少注目されたが、しかし2018年あたりから休眠中、というクリエイターたちが、けっこういるっぽい〉──なんてことを自分は書いた()。事情は各それぞれなんだろうけど、まあカタチとして、死夢さんもその一員ということになりそう。

さて死夢VANITYの作風や方向性はかなり一貫していて、ようは〈ゴージャスなムード〉、ラグジャリーの感覚、夜の歓楽のふんいき、それらを音楽で描くことに専念している、と考えられる。
そういう志向のヴェイパーウェイヴは、《レイトナイト・ローファイ》と呼ばれることが多いワケだが()。しかし死夢ッチの場合、別にローファイにはしていないのが特徴。そして素材のほとんどはスムースジャズであるようで、R&Bとかの唄ものはめったに使わない、ということも特徴。

そんな方向性で、ここまでのキャリアを押し通してきたようだが。でもふしぎなのは、近作に向かうに従って、よりよいように聞こえることなんだ。──オレの耳には、ね。

方法的にはずっと、ほとんど変わらなくて、スムースジャズと思われる素材曲らのさわりを1分から3分間くらいに切り出し、再提示しているだけ。ことさらな加工や編集の痕跡は、ほとんど感じられない。
ただ、2016年の“summer getaway”あたりから、リバーブやEQらのちょい足し、ほんのわずかのスローダウン、それらの操作が、実にスマートで効果的になっている。旧作らと大して変わらないとも言えるんだが、しかし響きのやさしみ&快さが、確実に増している──と、オレには感じられる。

で、そういう細かいところの向上がピークにまで達したのが、2018年のアルバム“lovely reveries”。それをラストに、死夢たんの活動が現在までとだえているんだ。

そのスタイルが完成されたところでフと止めてしまう、ってな態度もヴェイパー者らしいっちゃらしいんだが、でもやっぱり惜しい気が……。いずれぜひ、復活して欲しいんだよね!

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死夢VANITY, the creator of vaporwave, who is said to be from Virginia, USA. His works seem to be thorough in reproducing the gorgeous mood, the feeling of luxury, the joy of night pleasure, and so on.
For that purpose, he cuts out a part of material thought to be smooth jazz and re-presents it. The method is consistent, but in newer albums, the detailed sound manipulation is more sophisticated.
However, the work of 死夢VANITY is the latest “lovely reveries” in 2018, and it seems that his activity is stopped. We think this is a pity.