エッコ チェンバー 地下

─ €cco ₵hamber ฿asement, Vaporwave / Đésir đupłication répétition ─

FD − 1(2018), 口どけふんわり・やわらかノイズ

「FD」というバンド名はフロッピーディスクのことかと思ったが、本人のBandcampページには「Full Discography」「Factory Default」といった文字列が見えてるので、それら全体をかけているのかも。「& Options」というVaporwaveおよび変態テクノのレーベルがあり、前からちょいと気になっているのだが、そのほぼ最新のリリースがこのFDによるアルバム「1」全20曲・約40分間、だった。

FD - 1(2018)


…で、内容がその、近ごろ世に流行ってるらしい「Harsh Noise」に対抗したものか(?)、ソフトノイズによるドローン系インダストリアル、みたいな印象がまず全体的。どこを聞いてもモヤッとした響きの中に、時おりテクノ・DnB・ラウンジ・サントラ風な要素らが見え隠れ。そして2番めの曲、けいれん的な珍フレーズの異様な反復が意外にもチップチューンめいたサウンドに発展していく荒業にはド肝を抜かれた。

…このFDの過去作(約1〜2年前のもの)も大した数があって、だいたいは聞いてみたが、Vaporwave界の大御所「仮想夢プラザ(by テレパシー能力者)」の一連の作らに似てなくもない、おセンチなフレーズをリバーブでくるめたゴリ押しの反復による長い曲、みたいのが多かったもよう。「1」のラスト前の約8分間の曲「9663」にもそういうとこあるが、しかし構成がスマートなのでゴリ押し感はなかった。
総じて過去作ら全般に対し、この最新作「1」のほうが新鮮味があり、かつ構成がコンパクトなのも自分的に好ましい。ノイズの扱いに軽さやPOP感があるのがよいな、と。