さいしょに言っておきますが、ご紹介する2つの作品ら──、《まんが》としてものすごく面白い、と評価しているのでもありません。
ただ。近ごろ私が、〈ちょっとやせたい、というかお腹を引っ込めたい〉……などと考え始めた折、むかし読んだヤセ関係のまんがを思い出した。ほぼ、それだけなのです。
ではまず、カラテマスク先生による『超時空減量ブタ&ゴリラ』から。
これは2019年、マガジンポケットに掲載されたウェブコミックです。全14話。現在はマガポケで第1話、そしてPixivで全話を、無料閲覧することができます。
このタイトルからしてアクの強さが予想されますが、じっさい内容が強烈なものです。インパクトは十分です。
──17歳のアイドルであるヒロイン《円高ドル美》さんが、負傷による休養の最中にうまいものらを喰いすぎて激太り、ウェイトが50kgから70kgへ! その激変の見苦しさに、事務所の社長から解雇を申し渡されてしまいます。
そこで彼女はひらに哀願し、〈2ヶ月後の公演までに20kg体重を落とす、それに成功すればクビ宣告は撤回〉、という約束をとりつけます。
ところが残念、適切なメソッドを知ってはいない。見当違いの食事療法の、効果がまったく上がりません。
それを悲観し、自殺しようとしたドル美さん。その彼女を救ったのが、ボディビルの元チャンピオンを自称する、《ゴリラ》と名のる男。イケマッチョ!
そしてこのヒーローが、ブタ人間と化しているドル美さんの減量をホットに指導、やさしくお手伝い……というお話になるのです。
いや、どうもこの作品。《まんが》としてのメリハリが、あるのはいいこと、しかし必要以上、という気がしなくありません。ゴリラさんのキャラクターはすごくいいですけどね! すこです。
ともあれ。ストーリーラインを離れてみると、われらがゴリラさんの提唱している超時空的な減量のメソッドは、おおまか次のようです。
- 《筋トレ》。これがもっとも重要だとする。ただし種目は、用具も不要なプッシュアップ/ブリッジ/スクワット、という3種のみで十分である。所要時間は、1日にせいぜい30分間。
- 《有酸素運動》。時速5km弱あたりでの、スロージョギングを勧める。1回の所要時間は25分間くらい、ペースは3日に2回。
- 《食事の改善》。ようすれば、油(脂肪)っぽいものと砂糖を堅くタブー視する。炭水化物を控える必要は、あまりないとする。それと、三度の食事を5回くらいに分けて摂るのがよい。
これを見て、超しろうとながら私が思うことは……。
まず《筋トレ》に関しては、どうもこうも言えません。まずは1ヶ月くらい継続してみないと、それでいいのかどうか判断のしようも。
次に、《有酸素運動》。スロージョギングを勧めるという点は分かるとして、しかし時間の短さに疑問がなくはありません。よゆうがあれば、60分間くらい走ったほうが早くやせていく、ということはないのでしょうか。
さいご、《食事の改善》。砂糖に対する憎しみに、少々過剰なものがありそうです。愚見ですが、カロリー的な帳尻が合ってさえいれば、多少の甘味は生の悦びを感じさせてくれて、いいんじゃないかなと……。
ですがこの食品タブーに関してはゴリラさんも、〈付き合いで 少しとかなら、まあ〉……アリか、とは言ってくれています。やさしいですね!
が、それにしても炭水化物はいいのかな……などと考えていたら、また別の減量まんがを読んでいたことを想い出しました。
それが小林銅蟲先生による、『やせましょう』です。2019年の秋から翌年の春までイブニング誌に掲載、全16話。
この作品はタイトルがややこしくて、掲載時には『めしのあとはやせましょう』でした。それが単行本では改題、『やせましょう 40歳漫画家が半年で15kg本気(マジ)ダイエットした記録』となりました。長いので略しています!
さて、実にユニークなまんが家である銅蟲先生の、ここまでの代表作が、同誌掲載の『めしにしましょう』全8巻(☆)。いわゆるグルメまんがです。
そして、調理して食べては描く──というサイクルの、それの連載を終えたところ銅蟲先生の体重は、約15kgも増えていました。なので続いた『やせましょう』は、そのぜい肉を落とす、という実録まんがとなったのです。
これがゆかいで、人体実験みたいなんですよね! 世に言われている減量メソッドのあれこれを、銅蟲先生が順々にトライしていきます。
何をやったか書いておきますと、《脂肪摂取=糖質カット》、《それ用サプリの服用》、《間欠的ファスティング(断食)》、《GLP-1なる薬品の服用》……そして、ボディメイク用のジムとして有名な《ライザップ》のコースの受講。
そしてけっきょくはジム通いがいちばんの効果を挙げたので、そこを〈あがり〉として、物語は終わったのでした。やはりゴリラさんも熱弁していた通り、〈運動をしなければっ!〉、やせることはできないのでしょうか。
かつ、ライザップから請求を受けた受講料が、確か14万円とか……24万だったかも……。と、おそらく3ヶ月くらいのコースにしては、もうかなりだったことが、またすごく印象的でした! これはイブニングの編集部が出してくれたのでしたか、どうだったか。
そしてこの『やせましょう』の後日譚が、ウェブ媒体に掲載されています。2020年の春にダイエット成功なされた銅蟲先生、その年の初秋においては、いわゆる〈リバウンド〉したりもせず、栄光に輝く《成功者》として、その時期の苦闘を回想しています(☆)。
そこで言われることたちが、また印象的です。成功者による言らの重み……っ!?
〈ダイエットって、〔…〕目標達成したところで、あとはリバウンドさせずに安定させるしかない。そうなると、趣味とか生活習慣にしちゃわないとたぶん続かない。〉
〈〔さまざまな減量メソッドが言われ流通しているが…〕結局、自分のやり方を見つけるしかない。〉
──と、いうわけで。いまだ私が、お腹をへっこめていないので、この話題には結論などがありません。
そして。お高いジムなどにはとても通えませんが、まあ、あれこれを参考として〈自分のやり方を見つけ〉、少しがんばるつもりです!