エッコ チェンバー 地下

─ €cco ₵hamber ฿asement, Vaporwave / Đésir đupłication répétition ─

Fading Dreamer: Come Back Soon (2021) - 切りなさい、男性たちは髪を。

《Fading Dreamer》──カバーアートに見えているカタカナ表記では、《フェージングドリーマー》。
それを名のるヴェイパーウェイヴのアーティストは、ニッポンのシブヤ・シティに在住を主張している感じです。私は少し懐疑的ですが、しかしあなたはぜひ信じてあげましょう!

まあ、居住地などはどこでもいいとして。このドリーマーさんは、英ロンドンの《Aloe City Records》から今年初頭、初のアルバムをリリースなされた、有望な新人らしい人()。
その1stアルバム“Come Back Soon”が、現在のヴェイパー界でいきおいのあるサブジャンル《Barber Beats》に属するとあって、かなり好調なスタートを切ったと見ています!

ですがさて、そのバーバー・ビーツ()、または《理髪店ビート》とは?

それについては数日前、ヴェイパー関係用語の記事にその項目を追加したばかりなので、やや客観的な説明は、ぜひそちらをご覧ください()。ここでは少し、別なお話を。

まず、です。このサブジャンルの始祖と見られる、私たちの偉大なアーティスト──《haircuts for men》)。
もともと私はヴェイパーに親しみ始めたころから、とくにヘアカッツさんのサウンドを好んでいました()。ですので、その偉業を追っていこうとする理髪店ビートの興隆をも歓迎しています!

で、それはいいとしても。
……いったい誰がいつから、《バーバー・ビーツ》ということばを使い始めたのでしょう? 昨2020年の秋から、そういうことばがあるようだ、とだけは気づいていたのですが。

調べたところ、いま私が意識している床屋系の有力アーティストらは、そのほとんどが2020年の中盤以降にデビューしています。……目に見える形では。
その中では例外的に、以前ご紹介した《ROMBREAKER》さんの始動が早く()、2017年からです。
ただしロムブレイカーさんの最初期の作品たちは、いま私どもが思うような床屋系ではありません()。どちらかといえば、まあ《レイトナイト・ローファイ》であるかと()。

ROMBREAKER: Sweet Lies, Sour Truths (2021) - Bandcamp
ROMBREAKER: Sweet Lies, Sour Truths (2021) - Bandcamp
ロムさんの最新作、これがまたよい床屋!

しかしそれから、ロムさんの2018年12月・発のアルバム、“Abandoned”)。
ここにずばり《Barber Beats》のタグが打たれており、そして内容も比較的、床屋くさい。

これが、ムーブメントとしての理髪店ビートの始まりなのでしょうか? とりあえずは、そう考えておきましょうか? いずれロムさん本人にたずねてみる機会も、なくはなさそうですが……()。

で、ここですかさず、フェージングドリーマーさんの初アルバムの話に戻りましょう。この作品は、全9曲・約34分を収録。
そして理髪店ビートのあれこれの中でも、とりわけメロウでエモーショナルなサウンドになっている、と思います。あえて言うとおセンチ・ムードみたいなものが感じられ──冒頭の2曲とラスト曲がとくに──、それがまたいい。オススメです!

いや、思えばこの音楽をバーバー・“ビーツ”と名づけてくれたのが実に適切で、ふわっとしたサウンドのようですが意外と、ビートのところに適度のエッジが効いている。それが、とても快い。
全般的にはそうなのですが、けれどドリーマーさんのサウンドは、そのエッジが少し控えめではないでしょうか。ゆえに、あまりファンク的には聞こえない。

しかし、それは短所として指摘しているのではありません。
むしろ。この理髪店ビートの運動もけっこう参加者が増えてきた折から、それぞれが少しずつ違ったことをしたほうがいいのでは、とも考えています!

そのいっぽうで──。床屋系の別のアーティストたちは、もっとこう、ドライだったりウツみが深かったりするような、また傾向の違うサウンドを作っています。それらも大好きなので、ぜひともひき続きご紹介してまいりましょう!

【追記・2021/05/03】:追ってロムブレイカーさん本人に、バーバー・ビーツ命名者のことをたずねる機会をいただきました。結論を言いますと彼ではないということですが、その詳しいところは、別の記事でご覧ください()。

[sum-up in ԑngłiꙅℏ]
Fading Dreamer, in Japanese, フェージングドリーマー. The Vaporwave artist, who has the stage name, seems to insist on living in Shibuya, Japan. But I'm a little skeptical. But you should believe it!
Well, the place of residence can be anywhere. Fading Dreamer is a very promising newcomer who released his first album earlier this year on Aloe City Records in London, UK.
And his debut work “Come Back Soon”, which belongs to the lively sub-genre “Barber Beats” in the Vapor world, seems to have made a pretty good start!

And this first album contains all 9 songs, about 34 minutes. From my point of view, it's the most mellow and emotional sound of all Barber Beats. Suffice it to say, I feel something like a sentimental mood──especially the first two songs and the last song──that's also good. Recommended!