ポ  サ  研

─ Post-Truth Sound Lab, Vaporwave / Désir Duplication Répétition ─

Kanal Vier: Echtzeit (2020) - シグナル系の科学力はァァァ アアア世界一ィィィ イイイ

Kanal Vier》は、ドイツ人であるらしいヴェイパーウェイヴ・クリエイター()。そしてこの名前は、もしドイツ語であればカナル・フィアーと読み、そして〈4チャンネル〉を意味しそう。

4chan──といったらヴェイパーと多少は縁のある英語のBBSだが、それを意識したバンド名なのか。
それとも、カナル4さんの作風がシグナルウェイヴ()なので、何かむかしのテレビの4チャンネルのことなのか。

そしてこのカナルさん、たったいま調べたら、使い分けている芸名が、他に(少なくとも)ふたつ存在するという。
それは、《Sport3000》)、および《VVVX Software》)。合わせて3コの名義にて、2017年から精力的に活動中、というわけなんだ。

と、いま初めて知ったことが多いので、思わずアワを喰いかけたが。しかしだいたいのところ、カナル一族という個人については、次のように言えそうだ。

すべての名義でこの人の楽曲らは、長さが1分弱から3分強くらい。断章っぽさが、そこに目立っている。
その断章性が、もっともきわだっているのは、カナル4の作品ら。たとえばその最新アルバムである“Echtzeit”は、大量39コものトラック入りだが、しかしその演奏時間は、ほんの約33分間。

──という断章っぽさは共通だけど、しかし名義によって、音楽のスタイルらは少々違う。たぶん、意図的に使い分けられていそう。

まず、テレビCMの音声にまみれたオンパレードづくしの大会で、シグナルウェイヴ以外の何でもありえないのが、カナル4。
いっぽう、そこまでのハードコアなシグナルではなく──もう少しソフトな、番組のアナウンスやテーマ曲らのサンプルを使っていそうなのが、スポーツ三千。
そしてVVVXは、シグナル系ではなくて、《レイトナイト・ローファイ》()のように聞こえる。ただし、調べたら実はそのネタたちが、広い意味での《シグナル》だったりするのかも?

このように、どうせヴェイパーだからテキトーかと思いきや、ヤることが意外にシステマチック(?)。これはチュートニック(Teutonic)でゲルマン系のお人、その性向ゆえなのか。

と、そのくらいに状況を見た上で。そしていま、カナル名義の最新アルバム“Echtzeit”(独:リアルタイムの意)を、レビューでもしてみたいような感じだが。

しかし述べたようにこのアルバムの構成が、ミニマムでミニミニな楽曲らの羅列。何か考えようとしてる間に、どんどんと……曲らが次へ、また次へ……と、すぐに移ってしまう。
そんなであるのでトータルの感想は、〈いや〜、まさにしゃべりがドイツ語ですなァ〜、そしてCMですなァ〉──という、実にバカみたいなものに(!)。

けれどもけっして退屈ではなくて、何だかずっと響きが気持ちいい。そして、エキゾチックな興味が満たされるような気もする。
だいたいカナル4のアルバムたちは、“すべて”こんなようなモノなんだけど。けれどこの最新の“Echtzeit”が、もっとも構成にキレがあるっぽく聞こえるんだよね。なぜか。

ゆえにその約33分という演奏時間は、娯しみのうちに、あっという間にすぎてしまう──。そうしてラストのトラックが、“Gute Nacht”(独:オヤスミナサイの意)と題された、放送終了のテーマ曲みたいであることは、シグナル系のアルバム構成の《様式美》みたいなものだといえよう。
では、オヤスミナサイ。