エッコ チェンバー 地下

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V.A.: Jazz on Film... The New Wave (2017) - 調べてみよう! ダーク(/ノワール/ドゥーム)ジャズのルーツ

V.A.: JAZZ ON FILM... THE NEW WAVE (2017) - Bandcamp
V.A.: JAZZ ON FILM... THE NEW WAVE (2017) - Bandcamp
香気高きフランス美人女優ジャンヌ・モロー
それにセクハラ攻撃をかますマイルスさん!

なぜかココんちの記事らの中で、ちょっと相対的にアクセス数が多いっぽいのが《ダークジャズ》の記事()。いまついさっき、そのことを知った。
で、〈きさまら!見ているなッ!〉と気づいたら、やっぱ気になっちゃうので、「ヘンなことを書いてなかっただろうか?」と思い、記事を読み直してみたんだ。

そうしたら、カイてることのヘンさはいつも通りだったけど──。がしかし、マイルス・デイビス死刑台のエレベーターYouTube動画へのリンクが現在は切れてやがる、それがシャクにさわった。
だからつべってヤなんだよな、消すから! やっぱオレらの頼りはBandcampしかねェぜ、というワケで代替のブツをご紹介いたします。

“V.A.: Jazz on Film... The New Wave、これがまったくありえない空前の超サービス企画アルバムなんだ。

1960年の前後に《シネ・ジャズ》というムーブメントがあって、当時サイコーにクールだったおフランス映画、ヌーヴェルヴァーグNew Wave)っぽい連中が、サントラにおジャズを用いたのが大評判。その映画たちのノワールなふんいきを、ノワールなおジャズがいっそう盛り上げたワケ。
このムーブメントを代表し続けている大傑作が、もはや言うまでもない、マイルス・デイビス死刑台のエレベーター(1961)。

で、ご紹介するアルバムはその「死刑台」をコアとする、《シネ・ジャズ》の傑作選。何ンと118曲ものトラックらを収録した超メガ盛り、全5時間オーバーの満漢全席〜っ!!

その中身たちを、ざざっとご紹介すると。ポール・ミスラキ「素直な悪女」(1956)、「いとこ同志」(1959)。ジョルジュ・ドルリューピアニストを撃て」(1960)。アート・ブレイキー危険な関係」(1959)。モダン・ジャズ・カルテット「大運河」(1959)。A.C.ジョビン&L.ボンファ等「黒いオルフェ」(1959)。クリシュトフ・コメダ「水の中のナイフ」(1962)。……等々々々。

いくら何でも、これには抗しがたいよね。
いや実は、ノワール的ムードじゃない、またはジャズっぽさがやや薄い、そんな楽曲らも少々は含まれているが。けど、何て神々しいんだ、ひざまづくしかないっ。

しかも、ですよ? 同じレーベルから、シリーズのパート2()および実質パート3()までも出ていて、それらもまた超爆盛りとくる(ッ!!)。
……どうしろというのか? ひざまづくだけでは済まないから、エクストリーム土下座で地面にへいつくばってみたらいいのか?

──そして、なのです。オレの解釈によると、現在(ごく一部で)親しまれているダーク/ノワール/ドゥーム系ジャズみたいなもの、それはこの《シネ・ジャズ》をルーツとする。
ノワールなムードを演出する〉という目的のために、ジャズのイディオムやボキャブラリーたちが、“利用”されるのだ。あくまでもポイントは、《効果》を得ること。だからそれは、本来のおジャズのすなおな探求とは、何かちょっと(大きく)違ってくる。

だから。マイルスのディスコグラフィの大部分を聞いたようなお人ならば、その中で「死刑台」は少々浮いてないだろうか、音楽的に──と、感じるやも知れぬ、いや、オレがまずそう想うんだけど。
それもそのはずで、映画のふんいきを増強するための音楽だから、マイルスの個性の表現では“ない”のだ。さすがにマイルスは分かっている、そして完ぺきなプレイをした。

それと、付言。以前の記事を書いたころには、まだ気づいていなかったことがあるんだ。

ここでまた映画が関係してくるんだが、ダーク/ノワール/ドゥーム系ジャズみたいなムーブメントは、あのデヴィッド・リンチの映像&サウンドと、圧倒的に強固な共犯関係にある。まあ少なくとも、ダークの側がそれを強く意識していそう。

ノワールなムードを演出する〉目的でこいつらは、おジャズ(等)の語法らを、へいきで流用しくさるのだ。

リンチ映画でいうと、ロスト・ハイウェイ(1997)がズバリ、ジャズのサックス吹きのお話だけど。だがそれに限らずリンチさんが、《効果》のためにはジャズっぽさをも匂わせてくる、その例は皆さまもよくご存知のはず。

そして、ご紹介する“Polish Night Music。これはミュージシャンでもあるリンチさんと、ポーランドのピアニストであるゼブロフスキさん、ご両人の合作アルバム。
その属するジャンルを言うならば、たぶんネオクラ要素を含むダークアンビエント。……だがしかし、われわれが愛好しているダークジャズ、それらの中に混ぜ込んで、まったく違和感がないサウンドでもある。
いずれも主眼は〈ノワールなムードを演出する〉こと、そこで一致するからだ。そのための手段はジャズ風でもアンビエント風でも、何であれ、おけまる水産なのだ。

などと、わかりみの深さが少しニオってきたところで。では近くまた、ダーク/ノワール/ドゥーム系ジャズの、テンサゲなお話でご一緒したい、と存じますんだよね!