エッコ チェンバー 地下

─ €cco ₵hamber ฿asement, Vaporwave / Đésir đupłication répétition ─

グッド毛ーニング: әΧꚍrԑmԑłу ОrԁїnаrУ (vaporwave edit) (2020) - おはようございます。

おはざ〜っス! 迷惑系ブロガーのモドキちゃんでぇ〜ス!

それはそうと動画は、何かニホン語のロック、おそらくハードコアみたいなもの。それのヴェイパーウェイヴ(系)エディットなんだよね。
約2分間もヤッてんので、やや長いんだが。でも1分ちょっとくらいまで聞いてもらえたら、オレの嬉しみと悦びが大きいんだよね。イェイッ。

……いや、それが。何かの事情でキーワード〈おはようございます〉でネット検索していたら、たぶんそういう名前のバンドが引っかかって。
そしてその彼らの最新ナンバーのビデオってのをフと見たら、オレらのヴェイパーウェイヴに対する挑発を感じちゃったんだよね。くやしい!……でも感じちゃうっ

その挑発は映像面できわめてロコツだし、また歌詞にもズバリ出てキているし()。

ただ少々、ヴェイパーのカンジンなところをご理解でないのかも……? という想いを催したので、Chocoっと添削いたしてみました風な、なんてね!

では、お愉しみいたしましょう。

Hipnotic Earth: Suspended In Silence (2019) - 地には平和を、耳にはやすらぎを

《ヒプノティック・アース》は、カリフォルニア州セバストポールに在住という、アンビエント・ミュージックのプロデューサー()。2015年あたりから活動中のよう。

で、まず、セバストポールという地名を、自分は初めて聞いたんだけど。ちょっと調べたら、カリフォルニアの中央やや北にある小さな町で、その人口はわずか8千人弱。
なお、このエキゾチックな地名は、クリミア半島セバストポリに何か関係あるっぽい。ただしどういう関係なのか、そこには定説がないんだとか。

そしてこの町で、音楽に関係あるトピックといえば──、むかしジェリー・ガルシア(グレイトフル・デッドの人)が当地のハイスクールに通っていた、そしてニッポンのニューエイジ楽家喜多郎氏が現在ここに在住──、ほとんどそのくらいしかないもよう。

いや。だからどうだってことは、別にないんだ。でも今回はあまり書くことがないんで、ついね

さてヒプノティック・アースのサウンドは、ハロルド・バッド風のピアノにドローン的なモヤモヤ音をからめたもの。実に眠たぁ〜い響きが延々と続くばかりで、エクセレント。

そして、現在までに7作くらいのアルバムとEPが出ているけれど、いちばん自分がイイと思った“Suspended In Silence”を、とくに推薦。音楽に眠みを求めるアナタに、ぜひっ……!

ってのもねえ。わたくしごとですが、前の記事でご紹介した、"LIVEWIRE FESTIVAL 2"……()。
これが実は、あまりヴェイパーウェイヴの大会だとも断言しがたいしろものだったんだよね。耳についたところで、トランス、ハードアシッド、グリッチ系、ドラムンベース──、何ンかそういう、自分が近ごろそんなに聞きたくないようなサウンドに、かなりの時間、触れるハメになり。

で、ちょっと鼓膜にアレなものを感じたので、このヒプノティック・アースのサウンドで耳を休ませているんだ。ありがとう、セバストポール!

Vapor Memory & Dream Catalogue presents "LIVEWIRE FESTIVAL 2" - 7月19日22時(+追記)

前からちらほらとご紹介している《Vapor Memory》という人、以下V.M氏。YouTubeというプラットフォームでのヴェイパーウェイヴ普及&振興を、リードしておられる立役者である()。

そのV.M氏とドリームカタログ・レーベルが中心となり、オンラインで開催している〈ライヴワイヤー・フェスティバル〉。2020年5月に行われた第1回に続き、その第2回が、この7月18日から始まっているんだよね。

ところですみません、実はこのフェスの概要が、バカなオレにはよく分からない。うまいことまとめているお知らせのページが見あたらないし、運営側にも広報のまずさが、なくはないと考えられる。それが、わざと、かもだけど。

にしても。まずこれを書いている現在は、7月19日の正午近く。この時点で、このフェスについて分かっていることを、以下に書く。

たぶん二夜構成で、1回あたりのネット中継が8時間続くもよう。
つべ以外のプラットフォーム、Twitch TVとかでも中継される。しかし回線が重いようなので、何か事情がなければ、つべでの視聴をオススメ。
その第1夜《ARCADIA STAGE》の中継は、すでに終わっている。だがいずれその内容は、V.M氏のYouTubeチャンネルにポストされる、と考えられる。何かと分からなければ、まずそこを参照するとよさげ()。
フェスの第2夜《GATECRUSH STAGE》のスタート時間は〈9am EST〉というので、日本時間の7月19日22時だと考えられる。
第2夜の主な出演者は、〈HKE, Shima33, AUT2M, Halo Acid, Virtual Dream Plaza (仮想夢プラザ) and much more〉。第1夜のムードがチルアウト寄りだったのに対し、ちょっとハードな選曲になりそうだとか。
各アーティスト/DJらの持ち時間は、30分間らしい。よって8時間の間には、16組が出演するのではないか。

以上はV.M氏&ドリ・カタ社が発信のツイッターラー、および自分が第1夜をちょっと視聴して知った情報、それらのまとめ。
そして第1夜の感想とかもちょっと書きたくはあるが、まずはイベントの告知まで!

あ、でも、ところで? こんなことに興味ある方が、おられるかどうか分からないが。
ライブ中継の画面の横に出ている、チャットの小窓。その内容が……まあミーハー的に、面白くないとも言えないというか。

まずそこにはV.M氏やHKEをはじめとする《ヴェイパー・セレブ》(笑)らが、駐在しておられ。そして一般ファンとともに、ライブの内容がいいとかイマイチとか、盛り上がっているうちはいいが。しかしまれには、皮肉合戦やフレーム(言い争い)に発展しかけたりとか。
……あ、ただしV.M&HKEの両氏はホスト役なんで、自分が見た限り、ヘンなことは言っていない。そこはちゃんとしている、念のため。

まあそういう、めったに見れない、ヴェイパーウェイヴ界のヘンに人間的な側面が、多少出ちゃったりもしているので。
それらの“すべて”に興味をお持ちなら、リアルタイムでこのフェスを視聴するしかないだろう。これらチャットの内容は、後日の視聴では見れないようなので。んではっ!

【追記 (2020/07/21)】 ……というわけで、あとのまつりなのですが。
まずおわび。上のほうに書かれた観測で、8時間の中継というところが完全に誤りでした、サーセンっス。じっさいは2日とも、10時間以上ヤッていたので。

それはともかく(!)──、もっともかんじんな音楽面の話をすると。第1夜の《CVLTVRE》、第2夜の《仮想夢プラザ》、このふたつのショウがマジでハイパーだった。いずれ各単品の動画がうpられる見通しなので、そのときあらためてご紹介いたそうかと!

XBF3: 死 (2020) - やさしき死よ、あこがれに満ちて望まれている《愛の死》よ?

オペラの巨匠ガエターノ・ドニゼッティゆかりの地、イタリア北部ベルガモ。そこで大量のシグナルウェイヴを作り続けているわれらのヴェイパーウェイヴ職人、《XBF3》)。

さてその彼を、今2020年4月の記事で、チョコっとご紹介したんだが()。けど、そこにも書いたように今年春、ベルガモ市をはじめとする北部イタリア一帯は、きわめて深刻なCOVID-19のパンデミックに襲われて。
それで、どうかXBF3つぁんらが無事でありますようにと、オレはヴェイパーの神に祈っていたんだよね。

そうしたら。ヴェイパーの神っているのかいないのか知らないが、しかしこの7月にも新しいアルバムが出ているので、どうやらXBF3氏は生き残ってくれたらしい。メデテー

ただ……。彼の6月発のアルバムのタイトルが、ちょっとギョッとさせてくれる、「死」
かつその収録トラックらの題名も、0〜18のナンバーがついた「死.」

……であるということは、彼が見てきた(かも知れぬ)コロナ蔓延中のベルガモ市の様相と、何か関係あることなのだろうか。
またそのカバーアートの荒廃したショッピングモールは、資本主義の市場の何かの変動により、《死》にいたったものだとして。そのありさまが、いずれオレらの自画像になってしまう、ってワケなんだろうか。

そして。XBF3氏といえば、断章形式のシグナルウェイヴ()作品“だけ”を作る人だと思っていたけれど、しかしこのアルバム「死」のサウンドは、いつもとスタイルが違う。
その前半はややモールソフト的で、後半はレイトナイト・ローファイのふんいきが濃い、と言えそう。まあ、その間を行ったり来たりしてる感じ。

そして素材の曲らはすべて強めにスローダウンされ弛緩させられており、それに応じて各トラックの尺も長め。全19曲・約70分間のアルバム。
いや、〈デスメタルじゃねェんだから「死」なんてタイトルの音楽はゾッとしねェな〉──、と思いながら聞き始めたんだが。けど別に、内容が禍々しいってことはないと、いちおう思える。

そしてその弛緩しきったユルさが、みょうに気持ちいいのだった。彼のおとくいのシグナル系よりも、自分はこっちを気に入った。

そしてその終盤、17曲めの「死 . 16」は、かのクうつ卜クーワによる放射能(1975)から、“ЯаdiοꙆαnd”を極度に遅くしたバージョン。これはイヤでも印象に残るものとして、その次がまた、何らかのスムースジャズに夢のような甘みをつけたトラック。
そこでふんわりと……夢に溶けていくような感じで終わっていればよさそう、と、オレは思うんだけど。しかしじっさいにはラストのもう1曲があって、それが実はよく分からない。

ワーグナー「トリスタンとイゾルデ」第2幕・第2場 - YouTube

そのラストトラック「死 . 18」のもと曲は、わりとシリアスめのジャズかフュージョンで、ピアノをフィーチャーしたもの。〈音程は変えずにテンポだけ上げる〉という処理がなされているっぽく、するとドラムスのせせこましさが、ちょっとトラップのようにも聞こえている。

これの入っている理由がよく分かんなくて、そもそも遅くした楽曲を18コも連ねたそのあげく、とつぜんラストだけ速くするとか、超イミフだしっ?
その理由はいずれ分かるものなのか、それとも問題の所在そのものが、いずれ忘れられてしまうのか。あるいは、〈夢のような甘さのうちに完〉という終わり方のキレイすぎることを、避けたかったのだろうか……。

やさしき死よ、あこがれに満ちて望まれている 愛の死よ!
お前の腕の中で、お前に浄められ、
原初の神聖さに温められて、
目覚めの苦しみから解放されるのだ!

ワーグナートリスタンとイゾルデ」第2幕・第2場,

……と、そこまでもカッコいいことは別にないんだよね、こちら側には。また、「死」ラストトラックの興ざめな感じが、イゾルデ姫に仕える忠実なメイドさん《ブランゲーネ》の発する警告に相当するもの、という感じも別にしないし。

そんなワケで、あまり割りきれたことは申せない。そもそもワーグナーじゃなくて、ここはドニゼッティからの例を出したかったところだったが。
だがしかし、ともあれXBF3氏の健在が、まずの大きな朗報。ぜひまたこういう、ユルさと甘さを強めた作品をと、ついオレは期待してしまうんだ。

[sum-up in ԑngłiꙅℏ]
XBF3, a vapor wave creator living in Bergamo, is a great expert on Signalwave.
In the spring of 2020, I was concerned about his safety when I heard that his northern part of Italy was hit by a severe COVID-19 pandemic. But with his new album released in July of this month, the XBF3 is probably surviving. I'm happy.
And his June album "死, Death" has a different style than usual. Is it somewhere between Mallsoft and Late Night Lo-Fi? All samples are slowed down, the sweet sound is pleasing to the ear.

Hallmark '87: Landmarks // FORGOTTEN (2017) - ビバ!ラスベガス, 砂漠に屹立する《ファルス》

《Hallmark '87》は、ペンシルバニア在住というヴェイパーウェイヴ・クリエイター()。2017年から活動中のよう。

《DMT Tapes》のような有力レーベル()からのリリースを含め、現在までに5コのアルバムを発表している、このホールマークさん。その作風がある時期から、くっきり変化してるのが興味深い、と思ったんだよね。

まずは初期、2017年リリースのアルバムら3点。これらはおおむね、モールソフトの枠に入るような音楽だと言える()。
その中でも初の作品らしき“Conservation Pieces”には、〈ダン・ベル氏によるYouTube動画、“Dead Mall Series”にインスパイアされた作品〉、との注記つき。その廃墟モール動画シリーズは別の記事でも軽くご紹介したが()、このかいわいでの影響力には大きなものが、けっこうあるっぽい()。

で、それらを追った近作アルバム2コが、ホールマークさんの現在の作風となるんだろうが。これらはほとんど、ダークアンビエントみたいなサウンドだと、自分には思えるんだ。

すなわち2018年の“A T R I U M”から、19年“A C A D E M Y”へと、サウンドのクラさと抽象度が、どんどん増強中。彼の活動初期、力バー・がールズ「シЭう・三ー」(1987)をサンプリングして悦んでいた(?)、あのホールマーク氏はどこへ行ったのだろう。

ただし、デッドテックに囲まれたディストピア的世界を叙景、みたいなホールさんの方向性は何も変わっていない、とも言えるんだよね。
その初期のモール系の時代から、おきらくなムードはそんなに描いていなかった。イージーな素材らを用いても、しかしどこかに不安を漂わせるサウンド、もしくは演出があった。

──それで。

ホールマーク'87さんのまた別の特徴として、自作アルバムらの解説文として、ちょっと散文詩みたいなバックグラウンド・ストーリーを寄せがちだ。読んでみると、まあだいたい7割バラードで3割バロウズ、みたいな断章らである。

……いっつまでたっても準拠の対象は、バラード(J.G.)でありバロウズ(W.S.)であり。ほんっと、オレらもぜんぜっ変わりゃ〜しねェな〜。
とはいえ? 《ニューウェイヴSF》だとか《ポップ文学》だとかいった語らがギャグにもならん死語として死に絶えても、しかしバラード/バロウズらのまとった特異なオーラは、いまだそんなには薄れていない気味。やっぱご本尊らはスゴい、ってことか〜。

ま、それはともかく。
いまの感じでオレがいちばん好きっぽいホールマーク'87作品、“Landmarks // FORGOTTEN”。これがラスベガスをモチーフとしたアルバムであるということは、その自作解説文に目を通すまで、ぜんぜん気がつかなかったことなんだ。
絶え間なくスクラップ&ビルドが繰り返される変化の街、そして《背徳の街》、ベガス。そこを訪れた旅行者が、いまは廃墟と化したランドマーク的建物を発見、思わずVHSビデオカメラで記録──といったストーリーが、今作の背後に設定されているのだった。

だが別にそんなことを知らなくても、じっとり陰気なモールソフト作品として、ふつうに愉しめそうな作品ではある。まず前半は有名ポップソングらの流用が目立ち、そして後半に向かって荒廃のふんいきが濃くなっていく、という構成が巧み。

そしてその陰気さと荒廃の気配が、近作へとかけて、ズズイとエスカレートしつつあるホールマークさんなのだった。
いやもう。デッドテックのディストピアなんて、いまや、本来なら言うのも恥ずかしい紋切り型なんだろうけど。でも目の前にあるんだから、ちょっとは仕方がないっぽい。古いのは確かだが、でもバラード/バロウズらがいまだにスゴい、みたいなもので(!?)。

んで、ホールマーク'87最新作の“A C A D E M Y”のリリースから、すでに1年が経過。そろそろお次が出てきそうな気がしていて、そのさらなる暗さをかってに予想し、すでにジメッとした気分を味わっている──。それが、いまだ明けない2020年の梅雨の中の自分だった。

【補足】 ゲンミツに言うとホールマークさんの既発アルバムは5.5コのようで、《Sunset Inc.》とスプリットの“Restaurant by the Basin”(2018)という作品がある()。
ただしこれ、〈中華風チルアウト〉という共通テーマの企画もので、あまり自分は好きじゃない、と感じたんだよね。スマン。

[sum-up in ԑngłiꙅℏ]
Hallmark '87, Pennsylvania's Vaporwave creator, seems to be active since 2017.
His work in the early days was a Mallsoft with a strong sense of anxiety for some reason. And in recent works, the darkness is rising as if they were dark ambient.
Also interesting is his own commentary that he puts on the albums. They are like prose poems, with a proper mix of J.G.Ballard and W.S.Burroughs.
It's been a year since the release of the latest Hallmark '87 "A C A D E M Y". I anticipate that the new album will be released soon, and how dark the music is, and I'm already enjoying the muddy feeling with the expectation of fun.