ポ  サ  研

─ Post-Truth Sound Lab, Vaporwave / Désir Duplication Répétition ─

Lil 涙: ばりすいナイト2020 (DJ MIX, 2020) - 麻婆豆腐 と グリーンカレー

《奥床式/架空インターネットラジオ「ばり好いと〜よ!」》という長い名の、在福岡のグループが存在しているようです()。

かれこれ一年近く前のことですが、このグループによるヴェイパーウェイヴのオムニバス・アルバム『V A 悪 い 波』(2020)を、このブログでもご紹介いたしました()。かなり好感のもてる作品だと、お伝えした気がいたします。

そしていまご紹介したいのは、この《奥床/ばり好い》グループの一員または関係者であるらしい、DJ《Lil 涙》さんによるMIX動画です。約30分間です。
これはヴェイパーではなくてジャンル的には、ブレイクコア、レイヴっぽいテクノ、ヘヴィメタル、そして世界各地の雑多なポップ曲ら──、ついでにアニメやゲームからの音声──、それらの詰め合わせである、と申せましょう。かつ導入の語りなど、テレビCM等から引用されたサウンドらが《シグナルウェイヴ》風でもあります。

全曲の終盤に現れる中華テイストのエレクトロポップが、実に面白い楽曲です。調べたりしたところ、これはタイのグループ《China Dolls》による1999年発表の、“Tee Mai Gure”という曲であろうと思われました。
そのもと曲の動画を眺めると()、ニッポンで言えばPUFFYかフランク・チキンズのような感じの女性デュオによる唄でした。たとえが古いですが!
ともあれ、タイの方々によるチャイニーズ風ポップというのが実にあれです。……たぶん、トーキョーで供されているタイ料理に近いレベルでチン妙であることでしょう。

そしてその曲と入れ替わりに、おそらく倍速テンポのブレイクコアが、ピタリとリズムをマッチさせながら激烈にフェードインしてきます。このシーンはまさしく白眉です!

そのすばらしいシーンを筆頭に、〈とんでもなく雑多な音楽(または音源)らのアソートでありながら、しかし意外に構成がきわめてちみつである〉ということが、このMIXについては言えそうに思えます。いま現在においては。

ただし。これを初めて聞いたときの印象は、ひとまず〈雑多ッ! 乱雑ッ!!〉であったのです。

そしてその、どうしようもなくゴミっぽい雑念らが、脳裡に渦まいてやまない感じ……。
そこに私は、なぜなのか、きわめて強く共感してしまったのでした。

奥床式: Downer game music sampling compilation [BLUE] (2020) - Bandcamp
奥床式: Downer game music sampling compilation [BLUE] (2020) - Bandcamp
《鬱ゲー/泣きゲー》関連サンプルの
使用曲らのオムニバスだと風聞しました

この感動のベースにある想いを、あえてむりにでも、ことばにいたしますと。

近ごろ私も、目や耳に入ってくるもろもろの情報のあまりの多さ──その整理や理解が、とうてい追いつかない。そのことに、やや疲れているようです。
そしてそういう状況への音楽的処方としては、アンビエントやラウンジで心を休めようとするのもよさそうです。というか、ふだんはそうしています。

けれども。

ご紹介してきたLil 涙さんによるMIXは、そんな雑多で乱雑な雑念らにとらわれた私の状況を、鏡のようにそのまま映し出し、そして《表現》みたいなものにまで、ご昇華をなされているかのようです。
そのアプローチに新鮮さを、私は感じたのかも知れないのでした。

[sum-up in ԑngłiꙅℏ]
A brilliant mix by DJ Lil 涙 (Lil' Tears) with a focus on Breakcore and Gabberhouse. And there are many things to think about, but our minds are captivated by Anime, Eroge (erotic PC games), et al. We are asking for help, and this mix is our innner cry...!