さっそく今夜からご使用いただける、きわめて実用的な音楽アルバムをご紹介いたします。イギリス方面のロバート・ヘイというピアニスト/作曲家によるアンビエント集、“ Creatures of the Deep”(2017, ☆)および“Black Sarabande”(2020)。
これらがまあ、要してしまえばハロルド・バッドのフォロワー作品そのものなのですが、そうとはしても楽曲がイイのでバッチリ使用OKです。なお本家にして大家であるバッドさんも現在はBandcampにおわします《こちら側》の人なので(☆)、その姉妹品としてぜひどうぞご活用ください。以上、お知らせでした。
というところで必要な話はほぼ終わり、なのだがしかし。イケてる新進アーティストなのかと自分が一時考えていたロブ・ヘイさんが、調べたら実はとんだ大ベテランである、ということが分かったのだった。
その活動歴は古くも何と1970年代末に始まり、80年代にはインダスの《ナース・ウィズ・ウンド》あたりとコラボし、90年代にはドラムンベースの《オムニ・トリオ》として多少ブレイクしたとかで、そして現在がこれ。
しかし、だからといってこのアンビ作品シリーズについて、そうしたヘイさんの《歴》がどうという気がしないのだ。ネットのレビューでは「アングラ前衛の活動を経ているだけに凡俗なアンビやネオクラとはコクが違う」、とかいうイカにもな書き込みも見られるが、でも別にそういう感じがしない。
「やっぱりバッドさんあたりをご研究されたのかなあ」、くらいのいたって表面的な受けとめ方しか自分にはできないのだった。
むしろこのアンビ作品らについてヘイさんが、アングラ世界で習得した手くだをコソコソ忍ばせようなどとしていたら、使えもしないヘンな愚作に終わっていたのでは? しかしそんなイヤミなことをしていない、くだらない自己表現には逃げていない、この道の神であるイーノさんが宣言した通りの実用性重視の正しきアンビエント(★)なので、ゆえによいのだった。