ふと足を踏み入れたディスカウント店のBGM──その嘘ンこボサノヴァ風イージーリスニングが、意外にけっこうなモールソフト(Mallsoft、スーパーのBGM風ヴェイパーウェイヴ)なので、思わず耳を澄ませてしまう……。そんな年の瀬、皆さまにはごきげんうるわしゅう。
でもま、音楽はモール風でも店は寒々しいディスカウントなので、くつろいで聞いていられる空間でもなく。で、目的の品であるメンターム薬用リップ(63円)だけ購入して、さっさと出ちゃったけど。
さて、それはともかく。つい先日、掲載誌「イブニング」での連載がめでたく大団円を迎えたばかり、久保保久によるサタニズム暗黒アンチクライストお下劣ギャグまんが──「よんでますよ、アザゼルさん。」! 掲載期間は2007-19年、単行本はイブニングKCとして第15巻まで既刊。
……2019年ってフライング気味だけど、しかしおくづけ基準でそうなるので、書物や書誌の話題ではそうなんだ、ということで。
いやそのドゥーム系ギャグまんがが、ここずっとPixivコミックにて、わりと気前よく無料公開中。ちゃんと毎週更新して、最新が第24話。強いことオススメなので、レッツ!(☆)
──久保保久「よんでますよ、アザゼルさん。」公式的な作品概要──
芥辺探偵事務所の事務バイトのさくまりん子は所長の芥辺の独断で、悪魔と契約させられる羽目に。
セクハラ、ス●トロ、男尊女卑等々、ゲスい悪魔達と人間が織りなすブラック&プリチーコメディ!
と、言われるところの<セクハラ、ス●トロ、男尊女卑>……という心躍らせる文字列を見て、思ったんだけど。
ここ十数年のギャグまんがのヒーローたちには、「がきデカ」の《こまわりくん》みたいなヤツらがいない、少なくとも少ない。ギャグをぶちかますバカで横暴で非常識で品のない主人公というポジションが、女性というか女の子らの仕事になっている場合が多し。
この4〜5年くらいのギャグまんがでベストと考えられる作品ら──列挙すれば長くなるので代表させて、大川ぶくぶ「ポプテピピック」、あの崇高なるお作でさえ、そういう方向に少々逃げている。《逃げ》ととるのはなぜかというと、いまは男が自由奔放というまんが作品が、ウケにくくなっている……その状況に流されているかと見て。
で、そこらをがんばりぬいた、バカで横暴で非常識で品のない悪魔ヒーロー《アザゼルさん》がカッコいい、自分的には崇拝が止まらない。とはいえ、いまはもう悪魔そのものというくらいのポジションじゃないと、こまわりくんのまねごとはできないのかな……というさびしみも感じつつ。
そしてアザゼルさんと一緒にがんばりぬいた久保先生の次回作も愉しみだけど、いまは快く「アザゼル」を味わい直しながらそれを待つ。