エッコ チェンバー 地下

─ €cco ₵hamber ฿asement, Vaporwave / Đésir đupłication répétition ─

V.A.: Kompakt, Pop Ambient 2021 (2020) - 暮れの元気な(?)ごあいさつ

歳月の経過ってヤツが実にお早いもので、ことし2020年もすでにズズイと押しつまり……。

そして歳末恒例の“Pop Ambient”シリーズが、信頼と実績のKompaktレーベルから、ことしもリリースされました! 2001年からずっと出てるので、もう数えて第20弾さ! イェイッ。

ぜひ、よろしくご笑納ください。いや別にオレからの贈り物ではないっスけどね!

で、テクノ部門の“Total”シリーズもそうなんだけど、コンパクト発オムニバスのキュレーター氏は、ほんっとに目が高いというかセンスがいいというか──()。
毎回、必ず感心させられてしまうんだ。各トラックらの品質の高さは折り紙つき!

ただ。〈いつものように高品位、大いに愉しめる、必聴であろう〉、ということを前提としながらも、〈しかし、これが“すべて”なんだろうか?〉という想いのきざすことは、隠しておけない。
ちょっと具体的に言えば、アンビエントとしての“Pop Ambient”シリーズには、あまりにも音楽よりすぎないだろうか、システム志向みたいなところがないすぎでは、ということは毎年思う()。

ただそこいらが、この“Pop Ambient”シリーズの、《ポップ》であるというコンセプトの出ているところなのだろう。タイトル通りのしろものなので、文句の言いようはない。

そしてそのコンセプトが、かれこれ20年間も押し通されていること。
そこに人は、チカラ強さを感じるか、またはマンネリズムを感じてしまうだろうか。

そもそもオレらは、どうしても何か前向きだとか、進歩だの前衛性だのみたいのを、求め志向しなければならないのか。それとも、やさしみでエンターテインされることの悦びをエンジョイし続けているだけでいいのだろうか。

とくにいまは答を出さないけれど、ともあれ“Pop Ambient”シリーズが常に〈使える〉ものであり続けていることに、大きな大きな敬意を自分は表したいんだよね! イェイッ

death's dynamic shroud.wmv: SEAWRLDハートブレーク (2014) - ナオンはイチコロなんじゃよー

フィラデルフィアのヴェイパーウェイヴ・バンドである、《death's dynamic shroud.wmv》)。彼らは何と、3人組の編成だと伝えられている。
ヴェイパーのバンドで2人ならけっこうあるが、しかしトリオとなると、他には知らない。それも臨時のユニットではなく、パーマネントのグループとして()。

と、それを聞いたら? いまここでは《DDSW》と略称するこのバンドは、2014年に集中してモーレツに活動し、その1年間に11作ものアルバムを残したようなんだけど……。
しかもそれらが、すべてフルのアルバムであるばかりか。中でもいちばんの大作『DERELICTタワー』は、全84曲で演奏時間が4時間にもおよぶ(!)──、実にトホーもない、サンブリーチさんの評言によれば、まさに〈ビヒモス〉レベルのモンスターだったんだが……()。

──しかしその激烈なる大量生産も、3人がかりという体制を考えれば、あまりにもムリをきわめた奇跡だとも言いきれない、と考えられるんだろうか?

さらにサンブリさんの話によると、DDSWは、制作にさいしてアナログの処理をけっこう多用してるんだとか。ビニール盤やテープからのサンプリング、アナログ機材らを通しての加工、可能だったらぜひヤリたいことと考えられる。
しかも聞いた感じ、DDSWによるトラックたちは2〜3曲、もしくはもっと多数のソースからのサンプリングを組み合わせたものが多い。かなり手の込んだ構成のものが、目立つ。

──このような手間のかけ方も、3人がかりという体制を考え……(略)。

ところで? いまというときにDDSWの歴史的作品らを取り上げようとしている理由は、ちょくちょくご紹介しているヴェイパーの名門レーベル《B O G U S // COLLECTIVE》、そのシャチョーである《TVVIN_PINEZ_M4LL》氏のツゥーイ卜で、次のような小話を見たからなんだ。

問:ボクのガールフレンドにヴェイパーウェイヴを好きになってもらうには、どうすれば?
答:DDSWの“Butteflies”を、聞かせましょう。コレはゼッタイ効きます!

そんなすばらしい楽曲があるのか、〈ナオンはイチコロじゃよー〉ってか〜、と思ってそれを探してみた。しかしコレが、そうストレートには見つからない。
なぜってBandcampページに書かれた正規のタイトルが、「♧♣︎*~*฿⋃⨢⨣⋵Ȑ⨏ḶȈ⋵§*~*♣︎♧」、というとんでもねェ表記になってるからだッッ!!

が、分かってみれば何でもない(と言えなくもない)、DDSW作品ではもっとも高く評価されてそうなアルバム『SEAWRLDハートブレーク』──マリンレジャー系テーマパークみたいなふんいきをたたえた名作──、その第2曲なのだった。

だがその「バタフライズ」をいま、あらためてじっくり聞き直してみても、とくに女性に対してどうこうって感じはないが……? 曲そのものはいいけど。
オトコふぜいには分からない《何か》がそこに、あるのだろうか。もし、ご自分のガールフレンドをヴェイパー馴致なさろうとしているアナタがいらしたら、ぜひ実験の結果をご報告いただきたいっ。

それはそうと。そんな『神聖モテモテ王国』の《ファーザー》方式の、トンチンカンな《ナオン》攻略研究(?)のついでに、新しく気づいたことがあるんだ。

ってのは。DDSWの楽曲らの多くには、ビデオゲームファイナルファンタジーシリーズで聞いたようなサウンドやメロディの断片らが、けっこう含まれてそう、ということ。

それがまた、はっきり堂々とタレ流しているものは少なくて。前述したDDSW独特の音作りの複雑さ、その中に点在しやがっているのがニクい。
かつ、『FF』なのか何なのかは分からないが、しかしゲーム機から出てる音楽のサンプリングみたいのも頻出するし。

たとえばアルバム『ティーンファンタジーMYSTIC QUEST』第8曲の、「♍︎INT PRO♍︎ DR€SS ✔︎」()。これなんかいちばん堂々と流してるんだけど、それらしくない?
あといま気づいたが、『SEAWRLDハートブレーク』の第8曲「❤︎✯₷⋃☨☨ȈŊǤ ☯Ɲ ℳȀƘȄ-ȔƤ 4Ü✯❤︎」、そして第13曲「♡♡♡再発見する♡♡♡」。
このへんはSNES時代のやつだったっけ? それにしても、タイトルらの表記が目に刺激的〜!

……まあこのグループは、既発アルバムのタイトルらにも、その〈MYSTIC QUEST〉だとか〈シェンムー〉だとか、1990年代ゲームからのワードらをあれこれ出しているし。詳しい人が聞いたら、さらに多くのゲーム系サウンドらが見つかるのかも。
またこうなると、アルバム『失われた時REGRET』のカバーアートの女性が、『FF-VII』のヒロインのエアリスちゃんのようにも見えてくる。ただし印象はちょっと近いが、見比べてみたら細部はけっこう違った(!)。

かつこうなると、かの超大作アルバム『DERELICTタワー』に対する比喩表現も、ビヒモスというよりベヒーモスと、FF風に表記しておくべきか。
とすれば『SEAWRLDハートブレーク』は、海のものなのでリバイアサンか。あ、いや、そこまで言うまでのバケモノ性はないか。

で、しかも? そうやって随所に『FF』っぽさを匂わせているとしても、かと言って、どういうところへ帰結するでもない。
言い直してDDSWのサウンドらは、もとの『FF』シリーズのBGMらがはっきり表現しようとしているような、壮大さだとか叙情性だとか、そういうところへくっきり帰結することはない。それはもう、キッチュであることが明示されているせいもあり。

そうしてただ、DDSWによる音楽は、薄ぼけて色あせながら断片化されたノスタルジーたちと、それらの集積から立ちのぼる欲望の残り香、そんなようなものらの在ることを、うっすら暗示しているだけなのだろうか。……例によって、ね!!

[sum-up in ԑngłiꙅℏ]
Death's dynamic shroud.wmv is a three-member Vaporwave band from Philadelphia, USA. They concentrated and worked hard on 2014 and seemed to have left 11 full-length albums.
And 『SEAWRLDハートブレーク』 is a masterpiece with an atmosphere like a marine leisure theme park, which is considered to be the best fruit of the year of rich harvest.

When I listened to it (and them) again, I noticed that their works contain many elements of game music, including the famous “Final Fantasy” series.
However, those elements have lost their original meaning in the songs with the unique complexity of DDSW. Do the tracks only slightly imply that there are faint, faded and fragmented nostalgia, and the remnants of desire that rise from their accumulation? …… As usual!!

女孩 girly 时代: yurUfuwA (日本语 Ver.) (2020) - 麻薬かもしれない……ウソ!

可能是毒品,撒谎!

It may be a drug, lie! A vaporesque sound from a song like K-Pop.

何らかの、K-Pop的なグループの唄から、何かヴェイパーウェイヴ的なサウンドをっ!

ところでSoundCloudに何かをアップロードして、直後に〈コピうイ┣が……〉うんぬんとかで、圧倒的にウムを言わさず消されちゃうことあるんスよね!
まさか《中の人》がいちーち聞いてるワケもなく、たぶんAIで判定してんだと思うので、スゲェ!

もちろんコレなんか大丈夫っスけど、でもあまり変えてないので少し心配したりしましたが、もちろん大丈夫です!!

My Sister's Fugazi Shirt: God's In His Heaven... (2020) - この次もサービス、サービスぅぅぅ〜❤

いまはもう遠い20世紀のテレビアニメ、『新世紀エヴァンゲリオン』(1995)。これについては、とりわけ説明の必要もないものとして。
そして、《My Sister's Fugazi Shirt》という人は米フィラデルフィアのヴェイパーウェイヴ系ミュージシャン()。
そして彼の“God's In His Heaven, All's Right With The World”は、その『エヴァン』25周年をセレブレートするアルバム。今2020年11月リリース。

そしてこのアルバムが、こんな世界の水準では、かなりなヒット作になっているみたい。来年2月にプレスされるそのビニール盤の限定100枚が、早くも予約で完売とか何とか。スゲェし。

かつ、実を言うとこれは、自分が尊敬するヴェイパーの愛好家COBOLERさんが、ツーィ夕ーでご紹介されていた作品()。それで聞いてみて、〈なるほど、いい!〉と思ったので、ここにおいてもご紹介という運びさ。

ところで自分は、エヴァン』という略記で書かせていただくけど──。たんに『エヴァ』でもよさそうだが、けどコレは、とんでもないむかしのことのリベンジなんだ。
てのは、1995年のことだったはず……。テクノ関係の商業誌めいた媒体に『エヴァン』紹介の記事を書いたら、読者であったおたくっぽい人から、その時代のパソコン通信で、〈エヴァンって何なん? “エヴァ”でしょうが、ウプププぅ〜!〉みたいなメールが届いたことを、いまだ根に持ってるんだよね!

とね、25年ごしのうらみごとを言ってみるとか!!

いや、当時は一般メディアにコレ関係の話がぜんぜん出てなくて、オレは劇中でミサトねーさんが明らかに〈エヴァン〉と発音してるのを聞き、それをそのまま書いただけだったが。
かつまた。〈いま〉であったら、誰がどこで何を言っても《クソリプ》ってものが飛んできやがることがありうる──、ということを知ってるけれど、しかし当時は自分もけっこうナイーブだった。

……あ、いや? そんな自分個人のむかし話なんかしょうがないんだけど。
しかしマイフガ氏による“God's In His Heaven...”は、そういう語りを誘発してくるような作品でもある。そのことはコボさんが、今作のBandcampユーザレビューに書いておられる通り。

このアルバムは、エヴァそのものというよりは、エヴァに夢中になった頃のノスタルジーを感じさせる。

と、いうことで委細はアレだが、音楽自体のお話へ。このアルバムは、全13曲・約39分を収録。

まずは自分のヘンな予断の臆見を言ってみると、〈何をいまさらエヴァン・インスパイアの、ああいった風な、クラくて重ぉ〜い音楽だったらヤだな……〉。
けれど、聞いてみたらそういったものではない、意外にさっぱりしたチルホップ風のサウンド。ノスタルジックで、ソフトで叙情的。

そして、さいしょから出てきて全体に頻出するブライアン・イーノ的なピアノの音──その遠くからの響き──が、すごくいい。
ていうか、冒頭のトラックに関してはイーノさま〈的〉ではなくて、そのものかも知れない()。まあそういうところは、あまり深く追究しないけど!

そして。このアルバムは〈いかにも〉っていうヴェイパーウェイヴの作りではないが、しかしその全体に刻み込まれた深い喪失感、やりきれなさ。
それがもう、一般向けのチルアウト音楽なんかではありえず、〈やっぱりオメェさんも“こっち側”か……〉という共感を、ため息とともにわき起こさせるのだった。

[sum-up in ԑngłiꙅℏ]
“God's In His Heaven, All's Right With The World” by Philadelphia's Vaporwave musician My Sister's Fugazi Shirt is an album that celebrates the 25th anniversary of the anime “Neon Genesis Evangelion”. Released in November 2020.

First of all, to say my prejudice, “I would not be pleased if I listen to the heavy and dark music of Eva-Inspire like those, after all this time ...”.
However, when I listened to it, not like those of, it's a surprisingly refreshing chill-hop sound. Nostalgic, soft and lyrical.
And the sound of Brian Eno-like piano that comes out from the beginning and appears frequently throughout, and the sound from a distance, is very good!

And while this album doesn't sound like Vaporwave just itself, but it's all about deep senses of loss and unbearable regrets. Therefore, it can no longer be chill-out music for the general public, and it evokes the sympathy that “you are also on this side ...” with a sigh.

《LATE NIGHT LIGHTS》オンライン・フェスティバル - 究極の深夜のローファイ体験

《LATE NIGHT LIGHTS》は、ヴェイパーウェイヴのオンライン・フェスティバルです。
それは2夜にわたり、あなたに究極の深夜のローファイ体験をもたらすでしょう。

【追記】 初日のショウがほんとうににすばらしかったので、この記事をageときます!
このあとの第2夜、ぜひ皆さまもご視聴しましょう! 激オススメ〜!!

日本時間では、2020年12月の6日&7日、各・午前1時からオンエアされます。

特設サイト 〜
Twitchチャンネル 〜
予告ムービー (YouTube) 〜

ヴェイパーウェイヴの中でも《レイトナイト・ローファイ》と呼ばれる、深夜のアダルティな歓楽と倦怠をウィットとともに表現するサブジャンル()、それにフォーカスが当てられた大会になることでしょう。

《LATE NIGHT LIGHTS》の主催者は、信頼と実績のレーベルであるゴージャス・ライツ)、そして新興で期待のヴェイパー関係ポータルサイトである、ゆ〜とぴあ・ディストリクト)です。

出演する44組の音楽家たち:
Ancient Fan Death Studios, Astro TV System, 天気予報 (Asu Tenki), b o d y l i n e, BABEFAKE, 猫 シ Corp., 夢のチャンネル (Channel of Dreams), channel select, Cologne Terminal, Cosmic Cycler, Diskette Park, Epson, E U P H O R I A 永遠の, Forgotten Choir, Hallmark’87, Hantasi, IInothingII, Invisible Lover, J_ade_, Lindsheaven Virtual Plaza, Lovers Entwined, Lucid Beach’85, Luxury Elite, Mindspring Memories, Paradise of Yesterday, P A T H S パス, Replica Federation, S.a.x., Sev, secretflowers, SkyTwoHigh, Sport3000, thor cb, t i m e シェア 94’, ™CENTURY, Toad Computers, Trademarks & Copyrights, Turntboi95, Videofashion, 死夢VANITY, VVVX Software, w u s o 命, Zhurnal Mod, 회사AUTO

《LATE NIGHT LIGHTS》──それはあなたの究極の深夜のローファイ体験になることでしょう。

日本時間では、2020年12月の6日&7日、各・午前1時からオンエアされます!

赤い薔薇の花ことばは、「美」「情熱」そして「愛」…

【補足】 いや、自分がこう見てて、〈ヴェイパーウェイヴ関連の人々って、告知とか宣伝とかがヘタクソなんじゃまいか〉……スマンけどそう感じることが多いんだよね。まあそういう、彼らというかオレらの、商売っけの薄いところが好きでやまないんだけど。

そんな感じなんで。このイベント《LATE NIGHT LIGHTS》について、別に頼まれてないけどヘルプ的おせっかいとして、ちょっと分かりやすい感じにCMのお手伝いを。

そしてご覧のごとく、出演者リストに、当家にてご紹介している顔ぶれも少なくないので、かなりいい大会になるのでは──、と期待。ぜひ、皆さまもご視聴ください!