いまはもう遠い20世紀のテレビアニメ、『新世紀エヴァンゲリオン』(1995)。これについては、とりわけ説明の必要もないものとして。
そして、《My Sister's Fugazi Shirt》という人は米フィラデルフィアのヴェイパーウェイヴ系ミュージシャン(☆)。
そして彼の“God's In His Heaven, All's Right With The World”は、その『エヴァン』25周年をセレブレートするアルバム。今2020年11月リリース。
そしてこのアルバムが、こんな世界の水準では、かなりなヒット作になっているみたい。来年2月にプレスされるそのビニール盤の限定100枚が、早くも予約で完売とか何とか。スゲェし。
かつ、実を言うとこれは、自分が尊敬するヴェイパーの愛好家COBOLERさんが、ツーィ夕ーでご紹介されていた作品(☆)。それで聞いてみて、〈なるほど、いい!〉と思ったので、ここにおいてもご紹介という運びさ。
ところで自分は、『エヴァン』という略記で書かせていただくけど──。たんに『エヴァ』でもよさそうだが、けどコレは、とんでもないむかしのことのリベンジなんだ。
てのは、1995年のことだったはず……。テクノ関係の商業誌めいた媒体に『エヴァン』紹介の記事を書いたら、読者であったおたくっぽい人から、その時代の《パソコン通信》で、〈エヴァンって何なん? “エヴァ”でしょうが、ウプププぅ〜!〉みたいなメールが届いたことを、いまだ根に持ってるんだよね!
とね、25年ごしのうらみごとを言ってみるとか!!
いや、当時は一般メディアにコレ関係の話がぜんぜん出てなくて、オレは劇中でミサトねーさんが明らかに〈エヴァン〉と発音してるのを聞き、それをそのまま書いただけだったが。
かつまた。〈いま〉であったら、誰がどこで何を言っても《クソリプ》ってものが飛んできやがることがありうる──、ということを知ってるけれど、しかし当時は自分もけっこうナイーブだった。
……あ、いや? そんな自分個人のむかし話なんかしょうがないんだけど。
しかしマイフガ氏による“God's In His Heaven...”は、そういう語りを誘発してくるような作品でもある。そのことはコボさんが、今作のBandcampユーザレビューに書いておられる通り。
このアルバムは、エヴァそのものというよりは、エヴァに夢中になった頃のノスタルジーを感じさせる。
と、いうことで委細はアレだが、音楽自体のお話へ。このアルバムは、全13曲・約39分を収録。
まずは自分のヘンな予断の臆見を言ってみると、〈何をいまさらエヴァン・インスパイアの、ああいった風な、クラくて重ぉ〜い音楽だったらヤだな……〉。
けれど、聞いてみたらそういったものではない、意外にさっぱりしたチルホップ風のサウンド。ノスタルジックで、ソフトで叙情的。
そして、さいしょから出てきて全体に頻出するブライアン・イーノ的なピアノの音──その遠くからの響き──が、すごくいい。
ていうか、冒頭のトラックに関してはイーノさま〈的〉ではなくて、そのものかも知れない(☆)。まあそういうところは、あまり深く追究しないけど!
そして。このアルバムは〈いかにも〉っていうヴェイパーウェイヴの作りではないが、しかしその全体に刻み込まれた深い喪失感、やりきれなさ。
それがもう、一般向けのチルアウト音楽なんかではありえず、〈やっぱりオメェさんも“こっち側”か……〉という共感を、ため息とともにわき起こさせるのだった。
[sum-up in ԑngłiꙅℏ]
“God's In His Heaven, All's Right With The World” by Philadelphia's Vaporwave musician My Sister's Fugazi Shirt is an album that celebrates the 25th anniversary of the anime “Neon Genesis Evangelion”. Released in November 2020.
First of all, to say my prejudice, “I would not be pleased if I listen to the heavy and dark music of Eva-Inspire like those, after all this time ...”.
However, when I listened to it, not like those of, it's a surprisingly refreshing chill-hop sound. Nostalgic, soft and lyrical.
And the sound of Brian Eno-like piano that comes out from the beginning and appears frequently throughout, and the sound from a distance, is very good!
And while this album doesn't sound like Vaporwave just itself, but it's all about deep senses of loss and unbearable regrets. Therefore, it can no longer be chill-out music for the general public, and it evokes the sympathy that “you are also on this side ...” with a sigh.