エッコ チェンバー 地下

─ €cco ₵hamber ฿asement, Vaporwave / Đésir đupłication répétition ─

《行方不明者リスト》/《行為者》 - 新世紀・超ローファイ・ロック SAGA

《行方不明者リスト》──ニッポン人ら三名によるらしい、なぞのインディ・ロックバンド()。

そのファーストアルバム『セカイ系症候群末期患者へ』は、ついさっきとも言いたいような、2026年5月末日・発。追って6月中旬の各種サブスク配信スタートから、バイラル的に、そして急速に、評判を高めつつあります。

そして私もまた、バイラル的に。敬愛するツイッター(現・X)のお知り合いたちが〈これはいい!〉と情報提供くださったので、一聴に及んだわけです。

そして、その印象。

んなッ……!! 何という超ヤベぇ、ローファイみがつよっつよのサウンド!! つか、ヒデぇ音!! これは、《行為者》以来のしろものかも知れないな!!

……と、ここでとうとつに名前が出てきたぜんぜん別のバンド、《行為者》。行為者/行為者/行為者……。
どちらかというと、その行為者が、今記事の主役です。《ゆくリス》ファンの皆さまには、ちょっとすみませんのですが!

【関連リンクのまとめ】──以下に続く拙文は読まなくても読んでもいいので、それぞれのサウンドを楽しみましょう!
  • 行方不明者リスト: セカイ系症候群末期患者へ(2026)-
  • 行為者: 抑圧 (2023) -
  • 行為者: 減退 (2025) -
  • VA: 夏のルール4 (2025)/ラストの三曲「臨海公園」「マジうざい」「終わらない夏」が、行為者による -

さて。英語的には“doer”と称している行為者は、在・北海道の独りバンド。または《にしね》という名でも知られており、それは彼の本名の一部分らしい。

その行為者がYouTubeにポストしたサウンドを、私が初めて聞いたのは、遅くとも2022年5月。やはりツイッターがきっかけでしたが、細かないきさつは思い出せません。
憶えているのは……。一聴すぐにその音を気に入った、それが強く私の心にふれた、ということです。

追って行為者は、2023年にファーストアルバム『抑圧』、25年にセカンド『減退』をリリース。それでまだ大ブレイクとかはしていないようですが、やはりバイラル的に、小さくも熱い支持を集めている気がします。

それでこの行為者のサウンドが、まずはとんでもない超ローファイ!……であるのです。何をどうすればこうなるのかッ!?……と思うほど。
『抑圧』のリリース後、ツイッターに私が投じた紹介文が、以下です。

パンク/グランジ/シューゲイズ的、モチーフは憂うつ孤独自嘲。
似たような印象の130秒ほどの楽曲ら、ことさらにフラットでローファイな響き……それらの中に、密かな抑揚の巧みさを感じます。

波形で探れ! 行為者のヒミツ
波形で探れ! 行為者のヒミツ

と引用すると、行為者のサウンドについて、むかしは〈フラット〉という形容詞をよく使っていたな……ということを、いま思うのですが。
その記述には、ものすごく強い根拠があります。

というのも。行為者によるトラックたちを、Audacity(波形編集ソフト)で開いてみると、基本とんでもなくフラットなんですよね! べったりとまったいらに物理的リミットの線に貼りついた、あのいわゆる〈海苔波形〉ッ!!

……ああ、いや……。この広き世には、プロ&アマの〈音楽レビュワー〉みたいな方々が、すっごいいますけれど……。
がしかし、波形をチェキして何かを論じている人って、他におられるんでしょうか? さすがの変人だなァ私も、とは自覚するところです。

で、それで。その〈海苔〉っぽい音って、基本的には私は好きじゃない。

たとえば《ダリアコア/ハイパーフリップ》あたり、海苔くささの濃いぃジャンルですけれど、しかし私の好きなアーティストたち(leroy, tdstr, takahiro shiranui, etc……)のサウンドは、そんなには海苔じゃないです。いま調べてみたら。
ですが行為者に関しては、完ぺきに海苔であるのに、なぜか耳にさわったことがことなく、〈好ましいフラットさだ!!〉と感じ続けているのです。

──といったような流れから私が、ゆくリスの超ローファイなサウンドについて、〈行為者以来の!?〉などと、ついつい感じてしまったのですが。
しかしよくよく考えてみたら、この両者……。

  • ともあれニポン語のロックであること
  • ネット上のバーチャルくさいバンドであること
  • 楽曲らのかなりなコンパクトさ、その現代21世紀的ポップ性
  • そしてとうぜんキーワードとしての〈ローファイ〉というポイント

……といったところはいちおう共通と、見られますが。

しかし意外に、対照的なところも多いのかも!?……という気がしてきたんですよね!
どういう両者の対照性を感じたかを以下、箇条書きライクに述べますれば──。

📢 📼 🤔

【ローファイ性】
ロックにおける〈ローファイ〉の早い例というと、私はベックさんの超絶大ヒット曲「ルーザー」(1993)が、つい思い浮かぶのです()。それは、こんにち広く知れわたっているローファイ美学の元祖かなあ……との意味で。たんに音質の悪いロックは、もっと原始時代からあります。
それでその「ルーザー」のような、高音域が甘やかにつぶれ気味で、中低音にはヘンな厚みと温かみ……。この音は、カセット等のアナログメディアを通せば、イヤでもそういう傾向になる、いわば“自然”な劣化の結果です。それがいまは、けっこう広く、好まれもしています。

ところがゆくリスのローファイさは、そんな“自然”なもので、まったくなさげ。歪みのヤバさもさることながら、中低域──たぶん200〜600Hzあたり──がきょくたんに削られた、超ヘンちくなサウンドです。しかも、その下である超低域は意外に残っていることが、きわめて“不自然”! 作為的! まあそれが個性だし、それがスゴいのかな、とも思いますけれど。
で、それに比してしまえば行為者のローファイみは、ヒドいんですけど、まだしもよっぽど“自然”なものと感じられてしまいます。とくに、低域をちゃんと残しているのが、私への一大アピールポイント!!

ちなみに行為者のサウンドが堂々たる海苔であることを、さっき摘発し告発しましたが、いっぽうのゆくリスは海苔じゃないです。むしろ波形が頼りない感じで、ワビとサビを想います。

【楽曲構造】
ゆくリスの楽曲の構造はきわめて複雑怪奇、そしてきわめて緩急に富んだもの。アルバムを掲載したBandcampページには、マスロック(Math Rock)というタグがあります。
それ以外に似たようなスタイルの音楽というと、ニッポン特有の、過剰に作りこんだボーカロイド曲とか、そういうトレンドに乗ったようなアニメソングとか……?

なお。とっぴなことを言いだすようですけど、アニメ『らき☆すた』の主題歌「もってけ! セーラーふく」(2007)……()。これも一種のマスロック&ミクスチャーロックみたいなもので、〈歌詞の粗密によって緩急を演出〉という近ごろよく聞かれる構成は誰が始めたことか分かりませんが、それがそれらにある。
もう少しこじつければ、「セーラーふく」ではスラップベースが、ゆくリスではギターが──ひそやかに──ファンク的でけいれん的なリフを鳴らしている。そこらにも共通性を、感じてしまったようです。

……と、そういうゆくリスの21世紀的かつニッポン特有的で破格な構成を見たあとでは、行為者の楽曲たちが、いたって意外にまともなロックンロールの感じなんですよね! 起伏に対する、さきに述べたフラットさがある。
〈つまりこれは、メロコア(メロディック・ハードコア・パンク)に近いものなのか?〉という気もしてきたし。そのいっぽう、アレンジ面などで、意外に〈ネオアコ/英語では、“Jangle Pop”〉由来らしき点も多々ある。
どっちにしても20世紀的、かつきわめて正統的なもの。だがそれらを、彼独自のテイストでまとめた上で、破格のローファイさでやけくそ気味に提示しているところに、新しみ──新しい《意味》があると感じます。

【歌詞・モチーフ】
おなじみわれらが行為者の、「倦怠感/死ねばいいのに/ダメ人間/非常に非情」……といったウツい曲名らを見ただけで、おおむね分かってしまいそうなことですが。
行為者の楽曲らのテーマとかモチーフとかは、雑に要してしまえば、非モテ・ド陰キャ・“底辺ワープア”……めいた青年(ら)の、ボヤキと自嘲・自虐です。こんなにも身にしみて、心の奥底に響き、実によく分かる題材らはなァいっ!!(涙)
ではありつつも、それらを提示する形が、きわめて卓抜だということ。さんざんに述べてきた独自のローファイさと、楽曲ら自体の奇妙な明るみが、ふかしぎにあいまって。重くもあり、軽みもある。でなければ、そんな陰キャの嘆き節なんて、そう何度も聞きはしません。

で、そのいっぽう。ゆくリスのテーマとかモチーフとかは、これまた曲名らオンリー観察にても、超・明らかすぎ!
その曲名ら等に出没している映像作品ら、『新世紀エヴァンゲリオン』/『serial experiments lain』/『リリイ・シュシュのすべて』……。そしてそれらから起ちあがる、《セカイ系》やら《中二病》やらの重要キーワード……。まあそういったような、〈セカイ〉なのでしょう。そもそもアルバムのタイトルが、『“セカイ系”症候群末期患者へ』なのであり。
ちなみに曲名「さよならを教えて」とあるのは、セカイ系的なむかしのアダルトゲームの題名らしく、フランソワーズ・アルディさんや戸川純さんとは関係なさそう。間接的には、何かがありえましょうけれど。

ですがしかし、〈セカイ系患者〉でも中二病者でもなく、いわゆる〈オタク〉でさえもない私には、あまりそれはよく分からないセカイです。そりゃまあ『EVA』とか、むかしは視ましたけれど……。
そういえば、アルバムの第3曲「飛ぶ鳥」の歌詞に、〈さいごに笑うのは、いつだって私!〉とあるのは、「もってけ! セーラーふく」からの引用かもです。というか、よく聞くとこの楽曲全体に、もってけセーラーが意識されているふしがある。『らき☆すた』もまた、一種のセカイ系なのでしょうか。

👧 🤖 😭

……と、いうことで比較・検討は、ほぼ終わり、以下は結語です。
つまり行為者と行方不明者リストの、両バンド。そんなには、似てるところが多くないんですよね!

ただし。〈ともにローファイみが、超・強いけれど?〉…という問題意識から両者を比較・検討した結果、行為者をみょうに私が好きな理由の一端が、分かってきました。かなりきわまったローファイさという鬼面の下に、意外なすなおさや正統性があるからだ、と。攻めている部分と陣地構築との、バランスのよさ。
そういう〈俺得〉な気づきの記録です、この記事は。

そして、そういえば。
行為者ファースト『抑圧』について、2024年4月、こんなことをツイッターで述べていました。

大げさ言うようですが……。
私はこれの中に、ジャックスや裸のラリーズ、またいわゆる“東京ロッカーズ”……そのあたりから続く、J-ロックの地下の暗い流れの〈集-結〉を感じるんですよね。

という見方を、いま撤回するつもりはないです。そういう側面は客観的に、まあ、ぜんぜんなくもなさそう。あるいは私(たち)の中に、そういう暗ァい流れの〈集-結〉への期待が根強くあり、それに行為者が、ちょっとくらいは応じています。

ではあれ、こんど聞きなおしてみたら。
むしろ前述のように英語のロックの、メロコアやネオアコ……。そこらから継承していそうな要素らの多さを、新たに感じたのでした。

また、少し違うことを述べますと。
〈自己チューな男の、自分かってな自己憐憫〉という、ひどく呪われた一種のロック系ジャンルが、私の中にありまして。それを好きなんですが、思いあたる名前を言えば、ルー・リードさんとかトム・ウェイツさんとか、そうそうたるものがあるんですが。いや、もともとのルーツである《ブルース》からしてそんなもの、という視点もあるんですけれど。

そして、われらが行為者もまた、その系列の、みすぼらしい頽落しきった21世紀ニッポン版なのかも知れません。その一大特徴の、ゴミを窓から投げ出すようなボーカル・スタイルからしても。

それと、さいごにもうひとつだけ。

ゆくリスのアルバム『セカイ系患者』のラストは唯一のインスト曲で、「放送終了」という、私ら好みのタイトルです。
その“私ら”とは、《ヴェイパーウェイヴ》と呼ばれるチン妙なサウンドの愛好者どもです。それがまたローファイのヒドさの限界を追求するような側面を有するジャンルなので、まあそういう音楽に、私はもともと耐性があった感。

それで、そのラスト曲「放送終了」──またものすごい音の、たぶんマスロックで、とくにドラムスの音の壊れようがすさまじい──。それがアルバム中、私はもっともいいなァと感じました。
なぜでしょうね? じっさいその楽曲がいいことにプラス、いわゆる〈アニメ声〉の女声ボーカルを、あまり私が好きではないせいかも知れません。しかも、ゆくリスの場合、それをことさら、キンキンした響きにしているわけで。

かと言って、〈ぜひとも今後のゆくリスは、このインスト路線で!〉などというむちゃな要望は、口には出しません。たぶんそれは、あまりウケないでしょうから、いまのマーケットでは……。


[sum-up in ԑngłiꙅɦ]

行方不明者リスト (List of Missing Persons) vs. 行為者 (Doer) - 21th Century Ultra-Lo-Fi J-Rock SAGA

This article introduces two Japanese rock bands that have taken “lo-fi” to the extreme with their incredibly terrible sound. Both are “virtual” bands that operate primarily online.
One is “行為者 (Doer),” which has been active since 2022. The other is “行方不明者リスト (List of Missing Persons),” which emerged this year, 2026, and is rapidly gaining a following.
However, while these two bands are arguably the twin pillars of terrible sound, they also have contrasting aspects.

Even though both are terribly lo-fi, the poor sound quality of Doer is still somewhat “natural”—akin to organic degradation—and retains a certain warmth. On the other hand, the poor sound quality of List of Missing Persons feels unnatural, giving the impression of deliberate electronic manipulation.

Also, the songs themselves are “orthodox” in the style of Doer—roughly speaking, they’re close to melodic hardcore and jangle pop. That’s why I find them approachable.
On the other hand, List of Missing Persons is characterized by complex song structures that blend math rock and mixture rock. Or perhaps they’re closer to Japan’s uniquely over-produced Vocaloid tracks or anime songs influenced by them.

The thematic focus of the lyrics is also different. The songs by Doer, to put it roughly, express the self-mockery and self-deprecation of a “loser” type of young man. This is actually very easy for me to relate to (lol).
On the other hand, the thematic focus of List of Missing Persons songs is “Sekai-kei,” a term that also appears in the title of their debut album “セカイ系症候群末期患者へ / To Patients with End-Stage Sekai-kei Syndrome”. The motifs of the songs themselves are drawn from visual works like Evangelion, serial experiments lain, and so on. In other words, they’re quite otaku-oriented, so there are aspects that I find hard to relate to.

Aside from “lo-fi,” another characteristic that both bands share is the compact nature of their songs. There are almost no tracks longer than three minutes. This is a hallmark of 21st-century pop music.

And. As you can probably tell from all this, I’m a much bigger fan of Doer. However, I do greatly acknowledge a certain freshness in the sound and direction of List of Missing Persons as well!

ロックンロールをぶっ飛ばせ!? 極右ポピュリズムと左派、構図の(一部)逆転

現在、2026年4月下旬。

このいま、高市早苗が首相をつとめるニッポン政府が、米トランプ政権とも連携しながら、どういう極右的で排外的で軍国的な政策らを強権的・専制的に実施し、かつプラニングしているか?

それらは大まかご存じのこととして、それらがお話の前提です。

で、さて。その高市政権を支えているような、いまのニッポンに蔓延している極右的ムードのことなのですが……。

きのうですけれどツイッターで、アルゴリズムによる〈おすすめ〉の項目から、このような趣旨の投稿を拝見しました。

いまニッポンで、40代オーバーのパンクス──パンクロックの支持層──の少なくもない部分が、何を考えたか右翼に転び、自民どころか参政党の支持に回ったりしているのはどういうこと?

とはいえ、しかし。ご投稿者には、その原因や要因らの心あたりがなく……。かつ、〈たとえばあの野郎が〉……といった具体例が提示されているでもない。ちょっと雲をつかむようなお話、ではあるのですけれど。

ですけれど、しかし。〈それも、ないことでは、ないのかも知れないな〉……くらいには、私も感じなくないのです。

まあ、そもそもの話。パンクロックって全般的に、そんなにも左派的なものでしょうか? パンクスって左派ですか?
そうであって欲しいなあ……とは、私も願いはしつつ!

Crass: Best Before 1984 (1986) - Bandcamp
Crass: Best Before 1984 (1986) - Bandcamp
アナーコ・パンク、まずその1っ!

ところでこの記事、その音楽面を担当しているのは、主に《アナーコ・パンク/Anarcho-Punk》です。
そのアナーコ・パンクとは、どういう音楽/現象でしょうか?

ハードコア・パンクの中でもはっきりと左派的な思想に拠る分子らの運動であり、1970年代末に興って現在にいたる。バンドとしてそれを代表するのは、《クラース/Crass》、《コンフリクト/Conflict》、《サブヒューマンズ/Subhumans》あたり。それらいずれもイギリスのバンドなので、たぶんその地が本場でありそう。

……くらいにずっと、認識していましたが……。

しかし念のために英語のウィキペ等で調べなおしたら、思っていた以上に崇高な、かつきわめて大きな拡がりあるムーブメントであると知らされました()。

何しろびっくりしましたのは、あの《ブラック・フラッグ/Black Flag》もまたアナーコ派の一員だった、という見方のあることです。
おそらく皆さまもご存じのアレは、米LAハードコア・パンクの……。何だかバカっぽいバンドですが、しかし私がもうず〜っと大好きで、その少なくもない短所らごと受けとめたい……と思うような存在です。

そういったわけで、アナーコ・パンクにいっそうの親しみを感じてしまいましたので、ぜひよろしくお願いいたします!

──で、さて。こんな駄文の雑文で、実に長くも長きにわたっている左派やら左翼やらの運動の歴史、その細部にまでふれるわけにはまいりませんが。それにしても、続くお話の前提めいた部分を見ておきますと。

──1960年代のヒッピー・ムーブメント勃興と爆発あたりから、コアな左派の運動の周辺に、何かとやみくもな反逆を志向する、カウンター・カルチャーやアンダーグラウンド・カルチャーらが、ちょっと同伴してきたように思われます。
そして、しかし。その両者の関係が、ほぼ部分的な合流でしかなかった……ということがあるのではないでしょうか。

CONFLICT: Increase The Pressure (1984) - Bandcamp
CONFLICT: Increase The Pressure (1984) - Bandcamp
アナーコ・パンク、その2っ!

そのカウンター/アングラの層による反逆とは、いにしえの〈よき保守派〉──いやまあ、とくに“いい”ってことはないですけれど──的な、モラルや文化や教養、その志向する秩序、それらへの反逆という側面が大きくありました。
ゆえにクソやかましいロックンロールなどを鳴らし、“非常識”で奇抜なファッションで身を飾り、性的な行動らと記号らと“逸脱”らを顕示し、ときには悪趣味にも走り、そしてドラッグへの耽溺などを隠さず、と……。

といったカウンター/アングラ層によるふるまいらが、規制秩序への反逆や反抗で、当時はあった。それもそうなのですが、かつ正直な、〈欲望の解放〉でしかない部分も大いにあった……ということは見逃せないでしょう。

──お上品さとエリート教育とおカタい“常識”らで武装し、とりすました〈よき保守派〉。くらいに言えもしたようなやからが、国家/社会の支配層であった。あくまでもその限りにおいて、述べたようなカウンター/アングラ層の態度やふるまいらは、〈反逆〉として成り立っていたのではないでしょうか。

いやはや、こうして回顧してみると、実にノスタルジックな20世紀の物語です。
それが、21世紀の現在はどうでしょうか?

ウラではロクでもないことをしているにしても、とりあえず人前では、良識や知性や品位らを持っていそうにしていた、〈よき保守派〉……。

そんな人物らは、もういません。死に絶えたのでしょう。

ヨーロッパではまだしもか知れませんが、ニッポンにはすでにぜんぜんいないし、アメリカでも、もうごくわずかでしょう。

そして、そうした種類の人々の、滅亡後──。かたちばかりの良識も、知性も、品位も持ちあわせない、下劣きわまる生き物らが、いま米日の両国を支配しているのです。

Subhumans: EPLP (1985) - Bandcamp
Subhumans: EPLP (1985) - Bandcamp
アナーコ・パンク、その3っ!

そして困ったことに、見方を変えてみるならば現在、その種のやからのほうが、よっぽど〈反逆〉しているとも言えるのです。
すなわち反知性主義の反理性主義の反人権であり、また誰がどう見てもアンチ・モラルなのですから。そしていっさいガマンのないヘイトの噴出という、ひとつのあっぱれな〈欲望の解放〉!!

そういう“要素”ら、または形式的な態度のところを、あのやからは、かのヒッピー・ムーブメント等々の周辺から、継承していてくさるのです。そのように見えています。

ですからトランプ/高市あたりとそれに追従するやからを、《ファシスト》呼ばわりするのは、さしつかえはないんですけれど、しかしちょっと違うとも思うんですよね。
というのは……。ファシズムであろうと〈保守〉主義であろうと、イヤにしても一種の《思想》です。しかしあのやからには、邪悪なものであるような思想さえもない。

そうではなくエゴイズムとナルシシズムしかない、そしてその部分によって、頭の悪い層の共感を集めている。ゆえに〈極右ポピュリスト〉と呼ぶのが、まじめに言うなら適切ではないでしょうか。あるいは、さらに適切な言い方があるのでしょうか。

人間らは誰しも、エゴイズムやナルシシズムらを完全に棄てることなどできません。しかし、ときには……ことによっては……ムリをしてでも……《規範》なるものを、それらの上に置く。べきである。
そして、そういう考えのぜんぜんなさが、あの極右ポピュリストらの特徴のひとつなのです。

それで、もはや──。クソうるさいだけのロックンロールをタレ流しているくらいでは、しんけんに怒ってくれる〈大人〉は、もういないのです。場所を選べ、とでも言われるのがせいぜいで。
あの《ディープ・パープル》なんて、暴走族/珍走団のテーマソングみたいなもんだと思っていましたが──そこまでは多少、“いい意味”で──そしていま、そいつら(の一部残党)にクツを舐めさせて悦んでいるのが、ニッポン国の総理大臣です。

そういえば?

チャック・ベリーさんによる最初期ロックンロールの名曲に、「ベートーベンをぶっ飛ばせ/Roll Over Beethoven」(1956)と、ありますが……。
しかし現在にいたるまでに私たちは、あまりにもベトベンさんを、“ぶっ飛ばし”すぎたのではないでしょうか?
すなわち、彼の音楽に込められた、全人類の融和と進歩への確信……といった崇高な理想らまでをも!

そういえば?

つい数日前、何かの参考になるかと思って、1990年代中盤の初期ガバーハウス(ハードコア・テクノ)を約2時間くらい、聞きなおしてみました。
そうすると、やたら多くの曲で、〈ファック! プッシー! マザファカー!!〉といった卑語らが連呼されており。〈ウム、ひとまず愉しそうではあるなァ……〉とも思ったのですけれど。

だがしかし。いまどきそんなふるまいを繰り返したとしても、それがどういう反抗になるのでしょう?
仮そめにもアメリカ大統領ともある人物が、SNSか何かでその〈ファック!〉という卑語を公言しているときに!!

そういえば?

何かのご本でスラヴォイ・ジジェクさんが、述べておられました。またウロ憶えのエピソードになってしまって、実によくないのですが……。

ロシアの大統領プーチンが、彼の荒廃させた、確かチェチェンの情勢について、何やら下劣なジョークを飛ばしたそうです。
それに怒ってジジェクさんいわく、〈仮にも一国の為政者たるもの、最低限の品位ってものをそなえているべきだろう!!〉。

……もはや〈保守派〉でさえもないような極右ポピュリストどもの言行が、いちいち下品で低劣すぎるので、私たち左派が、品位なるものを強く意識しなければならない……!
ここにおいて、カウンター/アングラ系サブカルチャーの、何かと規範を逸脱していくような態度やふるまいという部分が、左派の運動とあやうくも協調していられた時代が、完全に終わったと考えられるのです。

MC5: Kick Out The Jams Motherf*cker! (2026) - Bandcamp
MC5: Kick Out The Jams Motherf*cker! (2026) - Bandcamp
1968〜2003年の諸トラックのコンピレーション

そして、パンクロックにしても同じなんですよね。
〈反逆/反抗のジェスチャー〉というところだけは一貫していそうですが、べつに左派っぽい《思想》がバックグラウンドにあるとは限らない。

それは、ガバーハウスにしてもそう……というか、あれはもともと右翼くさい。ガバーをニッポンで受けとめた人々は、そういう部分を、あまり引きついでいない感じですが。

さてパンクであれば、その源流のひとつである1960年代のバンド《MC5》などは、はっきりと左派的ロックでした。それを追って'70年代に、《ザ・クラッシュ》や、また《クラース》らのアナーコ・パンク派などが続き……。
といったところはあるのですが、しかしどう考えても、それが“すべて”ではない。むしろ'80年代の早い時期にイギリスでは、〈右翼パンク〉なるイヤなものが台頭してしまっています。たぶん現在もあるのでしょう。

であるので。
〈反逆/反抗のジェスチャー〉“しかない”、のだとすれば、冗談にも一時はパンクスを気どっていたようなやからが、あの参政党ごときに誘引されてしまうのも、ぜんぜんない話ではないでしょう。
あのようにヘイトむき出しでレイシズムまる出しのカスだということが、逆に〈良識〉へと反逆しているカッコよさなのではという超カン違いも、《思想》がなければ可能なのでしょう。

言いかえて。〈よき保守派〉のようなジェスチャーを演じていたやからが、〈良識〉をひとつの盾にしていたような時代には、〈露悪〉もまた私たち側の武器として、あるていどは機能しえたのでしょう。
しかしいま現在、〈露悪〉は、エゴイズムとナルシシズムしかない極右ポピュリストらの主武器になり下がっています。
《思想》の裏づけのない〈反逆/反抗のジェスチャー〉は、現在において、むしろあっちのサイドへ寄っていく傾向……! それが大いにあるのです。

〈あえて権力者に媚びへつらうことも、また“ロック”〉

こんな吐き気しかしない妄言は、布袋何とか本人の言ではありませんが、まあ言ったようなことではありまして。しかし、ぜんぜん成りたっていないとも思えません。
すなわち、〈妄言もたいがいにしろ!!〉という〈良識〉ある人々の怒りを呼びおこしたのですから。内容や実質を抜きにした〈反逆/反抗のジェスチャー〉としては、何かしらの部分にて、成りたっているのではないでしょうか? ロックンロールがそんなものでしかないならば、という前提で。

かつまたこの権力にへつらっていくしぐさもまた、あの〈欲望の解放〉の一端である、とも言えるでしょう。いずれ勲章でもせしめて、国家お抱えのミュージシャンにでもなりたいような、〈欲望〉の。この恥知らずにすぎる挙動は、なかなかできないことかも知れません。

……ニッポンの作曲家として、私がもっとも尊敬する中のおひとりである浜口庫之助さん(1917〜90)は、そのご生前、国家からの叙勲の申し出を拒否しぬきました。

私の音楽は、民衆に同伴し、その歓び悲しみをつづるもの。国家にそれをいいとか悪いとか評価される筋合いは、まったくない。あの偉大さをきわめたベートーヴェンだって、勲章なんか受けとってはいない。
浜口庫之助『ハマクラの音楽いろいろ』(1991)より要約

……ですから。先ほどから申しあげて、おりますように。ベトベンさんを私たちは、あまりにも、“ぶっ飛ばし”すぎてしまったようなのです。

さてもうそれこれで、このような情勢下、どうすれば、私たち左派は?

ここまであまり説明もせず《左派》と述べてきましたが、いや私にしても別に、共産主義者/マルキストではありません。
まず当面の課題は、現在の日本国憲法に書かれた、非戦主義および基本的人権の尊重──その精神を実現していくこと。ニッポンをまずよくし、かつ可能な限りニッポンから世界をよくしていく。
そう考えているわけですが、しかしいまはその態度がもはや左派にしてサヨクであるようなので、まあそれでいいです。

もっと研究してから別に書くべきですが、柄谷行人さんによる『ニュー・アソシエーショニスト宣言』(2021)から影響を受けています。たとえば、〈街頭の示威行動は大いにやるべき〉、かつ〈“プロレタリアートに祖国なし”では、もはやない〉……といった部分ら。

お話を戻し、〈ではどうすれば?〉の、前提として。

いままでばくぜんとは左派めいた運動らの同伴者だったようにも見られ、かつあるていどは機能していたサブカルチャーの類が、もはやそうとも限らなさすぎるということを、まず意識せねばならないでしょう。

ロックンロールは反体制なのか? いや別にそうでもないが(!)。
しかし、反体制のロックをやることも不可能ではなかろうとは、考えられる。

🔊 📢 🗣️

つい先日の、2026年4月19日。国会議事堂前の反戦・反改憲のデモに私は、参加しました。そこにつどった3万6千人の同志らの中のひとり、一分子として。
このときに、《路哲》を名のる左派集団──〈プロテストレイヴ〉の前記事にも、団体名が出ていました()──その活動の一部、生バンドの演奏に強い感銘を受けたんですよね。ひらたく言って、超アガりました!!

いやそれが、まあロックでしょうけれど、そもそも唄がないし、また首尾一貫した〈楽曲〉を演っていた感じでもありません。シュプレヒコールや短いスピーチらを盛りあげる伴奏だった、とも言えるのですが。
しかしそれにしても、とくに地鳴りのようなすっごい音を出していたベース! これに大コーフンさせられまして!!

〈何ンでェちくしょう、いまさらロックなんてと前から思ってたけど、まだぜんぜん使いみちがあるじゃねェかよ!!〉
……と、認識を改めさせられるにいたったのです。

かつまた。このブログの前記事であらためて賞揚した、アシッドハウスにしても、もちろんそうであり。

ここで私は、いちばんに自分が推したいブレイクコア/ヴェイパーウェイヴ/ハイパーフリップらの斬新な音楽に、そういう使いみちでの有効性が、ちょっとはあるのだろうかと、思い悩んでいます。

そうして。私たちの奉じている、〈非戦主義〉や〈人権尊重〉らの《思想》にもとづいて、使えそうなところを、うまく使っていく。その工夫と努力が、なされるべきなのではないでしょうか。

……とまあ。そんなにはいい考えが出ませんが、いまはここまでにて。


[sum-up in ԑngłiꙅɦ]

To put it succinctly, the gist of the Japanese text above is this:

Since the rise of the hippie movement in the 1960s, a certain kind of counter culture and underground culture—one that condones blind rebellion and provocative behavior—has run alongside our leftist movements.

The “rudeness” of these subcultures likely held a certain efficacy as long as the ruling class—our enemies—consisted of pretentious individuals who prided themselves on refinement and education. Well, That may have worked then.

But that is a distant story from the 20th century.

Today’s 21st-century ultra-right populist leaders—such as Trump in the U.S., Takaichi in Japan, and so on—possess neither dignity, education, nor ethics. They are mere egoists and narcissists who garner support from like-minded individuals through their very vulgarity.

Now, “vulgarity” and coarseness have been reduced to weapons in their arsenal.

And under these circumstances, it seems using vulgar words like “f**k!”—as was common in 20th-century anti-establishment rock, gabber techno, and so on—has lost almost all meaning.

Especially when a figure who is supposedly the President of the United States is publicly declaring “fuck” on social media or something!

We on the left must consider alternative cultural and artistic means of communication to replace such tactics.

As you can see from the images included here, I believe we should seek to revitalize the fundamental spirit of Anarcho-Punk in a form suited to the present day.

Alternatively, music genres such as Breakcore, Vaporwave, and Dariacore—i.e. the cutting-edge music genres I currently advocate for most—might also serve as a source of resistance power. Perhaps.

プロテストレイヴ/Block Party Against Fascism 260329 - 怒れ踊れ叫べ!!

-DROP BASS NOT BOMBS- Block Party Against Fascism, Racism, Takaichi And Trump - Mar 29, 2026
-DROP BASS NOT BOMBS-
Block Party Against Fascism, Racism, Takaichi And Trump - Mar 29, 2026

なぜに私が、戦争を憎み、そして少しでもより平和な世界の実現を望んでいるのでしょうか?
……と、そんなことは、ご説明の必要がないでしょう。ワリに正気の気味が、おありの方々に対しては。

そしていま、2026年・春。
……現在の世界と日本が、どういう状況であるのかも、また同断のお話とさせていただきます。

そういうことで。かの柄谷行人さんも、〈街頭の示威行動をガンバろう!!〉とおおせでありましたし……!!(
3月の28日(土)と29日(日)、〈反戦平和/反ファシズム〉あたりをうたっている街頭行動に参加しました。超ものぐさの私が。

ちなみに。こういう〈政治的〉めいたことで、自分から脚を動かすのは、このたびが初めてでした。ズブの初心者ですので、やさしい目で見てください。

それで、まずは、3/28の《オタクによる反戦デモ》()。
これはぜひともやるべきだった催しで、とてもよかったと思います。また次回があれば参加します。

……と、何となく控えめな言い方になっているのは、どうにも自分が《オタク》じゃないな……と、感じつづけているからなのです。その部分で。
まあ、それはこっちだけの問題ですが!

✌ 🤓 🕊️

続いては3/29の、《プロテストレイヴ》!! この催しの正式なタイトルは、次のようです()。

-DROP BASS NOT BOMBS-
BLOCK PARTY AGAINST FASCISM, RACISM, TAKAICHI AND TRUMP.

(organized by…)
PROTEST RAVE × クソデカフラッグ部 × 路哲


2026.MAR.29 16:00 at 新宿駅東南口広場

それでこれが、もう! 最高のパーティだったんですよね!!

並みのクラブにもひけをとらない音響/照明/スモーク!!
私たちの意思をきっぱりと表してくれた、超イカすビジュアル!!
そして最高のDJたちと……。

そして、何よりも最高な!! 世界でもっとも尊いパーティ・ピープル!!!

いやぁ〜、もう。設営を拝見している段階から、私のテンションは、上がるいっぽうだったのですが……。

そしていよいよ、とっぱなの一曲めが!!
ミスター・フィンガーズの「キャン・ユー・フィール・イット」!!(
それが鳴りはじめた瞬間に、もう飛びましたねっ!! ウガーッ!!

“こんなところ”まで足を運んだ自分の判断は、大にして超の正解であった、と!!

と、そういう面……。このプロテストレイヴ(260329)の、音楽とか選曲の面については、あまりあちこちで語られていない感じです。
ゆえに、私が少々語ります。何せこのブログは本来が、音楽系みたいのようですし。

壁が落ちるまで踊れ!!
壁が落ちるまで踊れ!!

オープニングの「キャン・ユー…」に続いても鳴らされたのは、それに類するクラシック・アシッド・ミニマル・シカゴ(系)・ジャッキン・ハウス、そういう曲らが中心でした!!
イェイッ!! そういうの大好きな私としては、〈オレのためにやってんの!? ご接待!?〉とでもカン違いしそうなほどの、ジャストフィットで!!

いっやぁ〜、それがですよ。なぜなのか、その場へおもむく前のばくぜんとした予想では、選曲的には〈トランスとかが、かかるのかな?〉……などと思っていて。
いや別に、トランスでもEDMでも、悪くはなかったのですが。

だがしかし、よりによってのピンポイントへ、キラー・パスをいただきましたっ。あとは、半歩進んでゴールへ流しこむのみです!!

Winx: Don't Laugh (1995) - Bandcamp
Winx: Don't Laugh (1995) - Bandcamp
こんな曲も鳴っていました!! ザ・クラシック・NYハードハウス!!
ファシストたちの高笑いを許さない

……お家のスピーカーではそうは鳴らない、クラブ的な場所でしか聞けない、TR-909バスドラの荒々しい響き……。
それが、私たちの鼓動です!! 平和を願う心のうずきです!!

いや実は、このパーティには、ちょっとした〈二面性〉がありまして。
会場の中央の樹木をはさみ、片側はDJブース&メインスピーカー。そしてその反対側では、リーダーさんたちがトラメガ(サッカーのサポーター用語で、トランジスタ・メガホン)を手に、私たちのコールをリードしておられました。

戦! 争! 反! 対!
憲! 法! 守! れ!

そのコールの四拍子が、ハウスのいわゆる〈四つ打ちキック/Four-on-the-floor〉に、ピッタリと合いすぎでっ!! こうして使われるためにハウスは生まれてきたのか、とさえ思いましたね!!

そして。踊りながらの叫びながら、思ったことです。

〈1989年のベルリンの壁の崩壊は、アシッドハウスの狂熱的な大ブームのせい〉……だという、半分は伝説のようなお話があります。
たぶん、それもあったのでしょうけれど……くらいに、私も受けとめていましたが。

しかしこの日のレイヴを体験することで、信憑性が高まりましたね!! やればできそうな気がするぜ、と!!
ただ黙っていて、じっとしていて、よくなることってあるとお考えですか?

怒れ、踊れ、叫べ!!

ですので私も。ここで張りきらなければ生きている意味がないと、老骨にムチ打って、スタートの16時から閉幕の21時半までレイヴしました!! とはいえラストの2時間ほどは、残念ながら息切れで、ちょっと腰かけたりしているときもありましたが!!

ですけれど、パーティの終盤近くです。あの!! 「ストリングス・オブ・ライフ」が鳴りはじめたとき……。
そこで再びキリッと起ちあがって、ウガーッてなりましたよね!!

そして。その鳴っているさいちゅう……。
隣りあわせで踊っていた人が、ほぼこのようなことを叫んだのです。

〈「ストリングス・オブ・ライフ」!!
お前ら、分かるか!? みんな、分かってるか!?
その《命の糸》を、切っちゃァいけねェんだよ!!!〉

まさしくしかり、そのとおりだ!!!

……あらためて調べたところ、このデリック・メイさんによる楽曲に、「ストリングス・オブ・ライフ」のタイトルを与えたのは、かのフランキー・ナックルズさんだそうです()。
ことばの要素はない曲ですが、ナックルズさんはその中に、生命の息づきと生命の連環を、感じとられたのです。

そのかけがえなき《命の糸》を、断ちきろうとするものたちに、私たちは抵抗しつづけなければなりません!!
スラヴォイ・ジジェクさんの用語では《シニカル・リベラル》くらいに呼ばれそうな、ぼんやり人間である私に、ここまで強いことを言わせるなんて……。まったくあのファシストどもは大したものです、どう考えてもすでに度がすぎすぎている!!

であるので、私たちは!!
《オタク》であろうと、クラバーであろうと、もちろん一般の生活者であろうと……。それぞれの場から、それぞれの抵抗の声を、小さくとも、しかしねばり強く、挙げつづけていかなければなりません!!

かけがえのない無数の《命の糸》を、少しでも守ろうとするならば、そうせざるをえないのです!!

🔊 📢 🗣️

いまのこの世で最高のパーティ・クラウド!!
いまのこの世で最高のクラウド!!
ともに踊り叫んだことを誇りに思います

……などと、まあ。
私なんかの、つたない〈アジ演説〉みたいなお話は、ほどほどにすべきでしょう。もう少しお伝えしたいことがあったようにも思いますが……。

では、さいごに。

ここまでの催しを実現したプロテストレイヴと関連のクルーたちに、そして最高のパーティ・クラウドに、感謝・尊敬・連帯の想いを捧げます。

そして主催のグループたちは、それぞれにドネーション/カンパをつのっておられるので、その趣旨にご賛同の皆さまは、ぜひ。
たとえば機材らだけのようすを見ても、完全にプロレベル。かなりのお金が出ていそうなので、お助けすべきでしょう。そしてそのあたりを貧乏たらしく節約していたら、ちょっとアガりません。

……いや、私からも、古いことばで〈貧者の一灯〉的に、いまのクラブの平均的なエントリー・フィーはこんなものかな?……くらいの額を、その場でどうにかしたのですが。
しかし追って考えたら少なすぎたと、大いに後悔しています!! 次回の開催時には、もっとどうにかしたいところです!!

そして、繰り返しになってしまいますが。
戦争の暴虐に、あらゆる手段で、人々それぞれの小さな力を大きく合わせ、抵抗しつづけましょう!!


[sum-up in ԑngłiꙅɦ]
This article documents my participation in an anti-war and anti-fascist rave held in Shinjuku, Tōkyō, on March 29, 2026.
It was an amazing party, with the crowd going wild to classic house music by Mr. Fingers, Derrick May, and others!
And I urge all of you reading this to voice your hopes for peace in your own communities!!

Bandcampの2026年・新ポリシー“AI音楽禁止”は、不適切&不可能かつ有害!

このテクストの結論:
Bandcampの2026年・新ポリシー〈AI生成の音楽を扱わない〉は、そもそも不適切&不可能である。しかもその弊害&実害を、すでにアーティスト&ファンらに与えている。

かつその害は、さらに広範かつ甚大になりうると見込まれる。
よって。どうしても彼らがAI音楽の禁止や抑制という方向を打ち出すとしても、これまでBandcampと関わってきたアーティスト&ファンに害を与える所業は、なされてはならない。

2026年1月23日:才ンガク毛ドキ 記す

⛔ 😢 🚧

Conclusion:
Bandcamp's 2026 New Policy “Banning AI Music” is Inappropriate, Impossible, and Harmful!

Bandcamp's 2026 new policy “not handling AI-generated music” is fundamentally inappropriate and impossible.
Moreover, it is already causing tangible harm to artists and fans, and this harm has the potential to become even more widespread and severe.
Therefore. Even if they insist on pursuing a direction of banning or restricting AI music, actions that harm artists and fans who have engaged with Bandcamp thus far must not be taken.

And the primary reason we came to this conclusion is that we witnessed the suffering of L33K5P1N 84574RD5 label on Bandcamp. And also we too are victims. At the end of this document, included the complaint message we sent to B.C.⤵️
Also, in the comments section of this article, I have posted my reply to B.C.'s blog (done, Jan 24th). If you are interested, please take a look!

January 23, 2026 : Written by 0ngaku Modkәy

……と、以上に正しい結論を述べましたので、これをご覧のほとんどの方々は、〈そうだな!〉とお感じになられたと思います。そうであることを願います。

とはいえ。
なぜこのようなことを緊急に、私が訴える事態になっているのか?
そこにいたる経緯を、以下にお伝えしたいと思います。

まずです。
Bandcamp(以下:B・C)の、〈AI音楽は禁止!〉という新ポリシーが公開されたのが、1月13日( / )。それに私が気づいたのが、1月15日です()。

……けれどもその時点では、わりあい軽く考えていたんですよね!
すなわち。私および私の愛好している類の音楽に対しては、あまり影響がないのではないかと……。

ところが。

ヴェイパーウェイヴというジャンルの中で、B・Cをベースとし、一定の存在感を示してきた、《L33K5P1N 84574RD5》というレーベルがあります()。かれこれ、十年弱くらいの活動歴を誇っています。当ブログにおいても、そのリリースらのいくつかを、ご紹介してきました。

ロフィ騎手 - Archive.org
ロフィ騎手 - Archive.org
アーカイブにあるのでB・Cから消えてもいいだろう…とはなりません!

そのカタログの、全体を見ると、あまり高水準だとは言えない……。しかし、《ロフィ騎手》名義の諸作品は、とくにいい──たとえば私などは、すばらしいとさえ感じている──と、そのくらいに評価されてきたと思われます。

さてこのレーベルを、《リークスピン》と、いまここでは呼ぶことにしまして。

だがしかし、そのリークスピンの全カタログが、ふとB・Cから消えている──というご報告がツイッター(現・X)に上がったのが、1月18日です()。

このことは、それ自体が惨事ですが、しかし──。
──しかし。ことヴェイパーウェイヴ系の音楽作品らに関しては、B・C等の商用プラットフォームから、ふっと消えることが、よくある……と、申さねばなりません。

その消える主な理由は、ふたつ考えられます。

まず第一に、アーティスト/レーベルが、何らかのつごうにより、自主的に消した。
そして第二には、著作権に関連のクレームを受けたので消された。

これらにしても、きわめて残念なことですが。しかし当面は、仕方がないことと、受けとめなければなりません。
とくに、第二の理由について。いっぽうの私たちが〈著作権は、ジョーク!!〉だと確信していても、いわゆる〈法社会〉は国際的に、少し見解が異なるらしいです。
そして、合法の企業であるB・Cは、その〈法〉に、服従しきらないまでも、はっきりと逆らってはならないでしょう。……それは、そう。

つまり。作品らが消えてしまうことは残念だが、前記二項の理由によるのであれば、プラットフォームであるB・Cは責められない。そう考えられます。

ところが。

委細を省いて申しますと、B・Cからのリークスピンの抹消は、かの〈AI禁止令〉の過剰な適用によるものだったのです。
これは少なくとも、リークスピンの当事者と、彼らのフェイスブックのコメント欄で対話し、聴取したことです()。

何の予告もなく、AI音楽であるからと、一方的にすべてを消された。
そこで、AIがからんでいないアルバム──すなわち一般的なヴェイパーウェイヴ──も多くあったではないかと抗議したが、それらはかってに自分でアップロードしなおせばよかろうと言われた。
かつ音楽自体とともに、いままでにデジタル・アルバムを購入してくれた人々についてのデータも消された。復元はできないという。
このせいで、約十年間もかけて積み上げてきたもの、ほとんどがだいなしだ。

(以上は、お話の大意)

……と聞きましてB・Cに、関連の問い合わせと苦情を放ちましたが、そちらは回答待ちです。私が送付したメッセージは、この文末に掲載(⤵️)。

なお、リークスピンとAIとの関係について、外部からの観測を補足します。

およそ二年ばかり前から彼らは、すいきょうな私でも聞きとおすことのできない、魅力に欠けたエレクトロファンクやダブ等のアルバムを、毎週4作ほどもリリースしつづける状態にありました。
〈いいのは、ロフィ騎手だけだな!〉とは、その時期からの定評です。
そして。あまり深くは考えなかったのですが、それらの凡作の多くがAIの生成物だったのだろうかと、いまは思われます。あれらについては正直なところ、近ごろ言われる〈AIスロップ〉ではなかった──とも言いにくい。

そして、いま現在。リークスピンのB・Cページは、ほそぼそと徐々に、復旧の途上にあります。AIがらみのものは再アップ不可能なのでしょうが、それ以外のヴェイパー作品らは、ぜひ戻ってきて欲しいものです。

──さて、ここまでに、お気づきになられたと思いますが──。
購買データが消えたとともに、デジタル・アルバム購入者たちの権利もまた、ひどい侵害をこうむっています。
本来ならば、購入したデジタル・アルバムは随時ストリーム再生でき、かつダウンロード可能である……そういうシステムだからです。

B・Cからリークスピンのデジタル作品らを、私が購入した記録
B・Cからリークスピンのデジタル作品らを、私が購入した記録

私にしても、リークスピンのデジタルを、いくつかは購入した記憶があるのですが──心ばかりの金額しか出していないにしろ──もはや確かめることさえも、できなくなっているのです。

……かと思いましたが。よく調べてみたら、B・Cからのレシート的なEメールが残っていました。
意外とむかしのことでしたけれど、2023年、リークスピンの全ディスコグラフィ(当時は102作)を購入していました。

かつ、臆測を付言すれば。この種の確認メールについては、〈見たからもういいや!〉と消してしまったものも、なかったとは限りません。私はそういうズボラな生き物ですから!

──という私の、購入者としての権利はどうなるのですか? いかに補償されるのですか?
たとえば、大のお気に入り《ロフィ騎手》の購入分だけでも高音質でダウンロードしなおしたいと思ったら、私はどうすればいいのですか?

それとです。
気になって──心あたりがあって──調べてみたところ、《Otorii Station》も消えています。さっぱりとその全体が、B・Cから。

おそらく彼らのバンド名は、かつてセガ社やナムコ社らの拠点の最寄り駅だった〈大鳥居〉に、ちなんでいるのでしょう。〈大鳥居ステーション〉は、ビデオゲーム関連のヴェイパーウェイヴ/フューチャーファンクを、精力的にリリースしていたアーティストです()。
そしてかねてより、〈基本のところをAIに作らせ、人力で仕上げている〉と、みずから説明していました(……やばい!)。楽曲ら自体は、既成のゲーム音楽からのピックアップだったようです。

私としては彼らについて、そんなに好きなサウンドではなかったので、試聴以上のことはしていません。しかし。
ですがしかし、この大鳥居さんの諸作品にしても、デジタルの購入者があるていどの数、おられたと記憶しています。おそらくAI罪で消去されてしまったあと、その購入者たちの権利は、ちゃんと守られているのでしょうか?

──かくのごとく。
アーティスト&レーベルらをひどく苦しめ、かつ私どものような善良にして優良なファンたちにまで大きなめいわくをかけている、この〈AI禁止令〉と、そして関連のしでかしたち……。

どうしてそんなことが許されると、思いこんでしまったのでしょう?
その点を、まじめに問いただしたいです。B・Cのシャチョーとか責任者とかに。

これらの悲惨すぎて非道すぎるもろもろが、B・Cの標榜している、おみごとに高まいさのきわまったスローガン、すなわち〈音楽のフェア・トレード〉──そのあり方であり、そして帰結なのでしょうか?

⚙️ 🤖 🤔

ところで、《AI生成音楽》。

それ自体について私は、よくも悪くもないと考えます。いいと思ったことはほとんどないが、しかし今後の発展の可能性を認めなくもない。
われらの師であるブライアン・イーノさんもまた、わりとさいきんのインタビューで、おおむね同じようなことを述べておられるようです()。

だが、しかし。B・Cという企業が、何らかの独自のフィロソフィ──または何らかの営業面やシステム関係の理由など──により、今後AI音楽を排除していこうとすることについて、〈断じて否!〉と言う権利は、私たちにはないのかも知れません。しかし。

しかしそれにしても、ここまでいっしょにやってきたアーティストらと顧客たちに損害を与えず、苦しめないやり方によって、それを実行すべきです。そうしたやり方を見つけられないなら、そんなことはあきらめなければなりません。

そして。これから先、AI生成音楽を、人力によるそれと区別することは、ますますできなくなっていくでしょう。
そして。それをムリにでも区別し排除に及ぼうとすることは、おそらく《魔女狩り》にしかならないでしょう。ここまでに私たちが見てきたような、きわめて悲惨で不当なそれに。

かつ彼らの声明によるとB・Cは、ユーザーらによるAI音楽の摘発と密告を、これから奨励していくようです。ああ、いや……そんなでは、もはや分かっていて、《魔女狩り》の悦びを扇動しているのでしょうか?

といったことどもが、さいしょに述べた〈結論〉にいたるまでのてんまつなのです。

そして。お願いです。

何かと行きがかりがあって、リークスピンという特定のレーベルを、私が擁護し援護するかたちになっています。まあ、主には《ロフィ騎手》音楽のよさに報いよう……と、しているわけですが。

そこで。

ここまでの文意をくみとってくださった、B・Cのアカウントをお持ちのあなたは、リークスピンのB・Cページを、ぜひ〈フォロー〉してください()。
そのさい、もろもろの通知のメールを不要な場合には〈不要〉とすれば、とくに何も起こらないでしょう。あまり活用されていなそうなB・Cの機能〈フィード〉、そこに出てくるくらいで。

さらにお気が向かれた篤志の方々は、彼らのデジタル・アルバムを購入してください。“Name your price”であり、50円とか100円でもいいと思います。私からのおすすめは、一種のモールソフト作品である『キングダムプール』です。

そのようなお願いをいたすのは。多くはなくともフォロワーがいてサポーターのいることが、今後の彼らの力になるだろう、と信じるからです。

そしてまあ、こんなことらを、長々とつづってきましたのも。
これっぽっちも〈正義の味方〉ではない私ですが、しかし自分の目の前すぎる場所でのあまりな不正義を、見すごすことはできないのです。

だいたい私はこの十年近く、B・Cのユーザー/顧客でありかつ、しかもその無料の宣伝係みたいなことを、ずっとつとめてきました。同じ音楽が鳴るならば、B・Cへのリンクを優先でご紹介、としてきました。
それというのも、その利便性もさることながら、かの高まいな〈音楽のフェア・トレード〉というスローガンに共感してきたから──と、しておきます。

だのにその部分を曲げられては、ひとこと申しあげないわけにはいきません。

このようでは、リークスピンの受難にもやや近いかたちで、私の約十年間が汚泥にまみれようとしているのです。クソ企業の利用をいい気であおってきた大バカタレだとは、自認したくありません。

それでは、文末に──何かの念のため──B・Cに対し、私が送付した問い合わせの文言を、英語の原文と和訳で添付します。

Regarding the matter where all BC pages and releases under the L33K5P1N 84574RD5 label were deleted and remain largely unrecovered to this day.
https://l33k5p1n84574rd5.bandcamp.com/
Upon contacting the label owner, they stated that everything was deleted unilaterally without warning and that recovery is impossible.
I believe the mental and material damage this has caused L33K5P1N is severe.
Furthermore.
According to them, approximately 100 fans purchased L33K5P1N's digital releases. This unilateral deletion also infringes upon the rights of those 100 people.
Is this what you call “fair trade in music”?
Even if what has been done cannot be undone, I demand that deletions without notice, based on trivial reasons like “AI issues,” never happen again.


😡 😠 😡


L33K5P1N 84574RD5レーベルのBCページとリリースが全て削除され、現在もほとんど復旧されていない件について。
https://l33k5p1n84574rd5.bandcamp.com/
レーベルオーナーに連絡したところ、全てが一方的に予告なく削除され、復旧は不可能だと言われました。
この件によってL33K5P1Nに生じた精神的・物質的損害は甚大であると考えます。
さらに。
レーベルオーナーによると、約100人のファンがL33K5P1Nのデジタルリリースを購入していたとのことです。今回の一方的な削除は、その100人の権利をも侵害するものです。
これが、〈音楽におけるフェアトレード〉と言えるのでしょうか?
たとえなされたことは取り返しがつかないとしても、〈AIの問題〉といったささいな理由で予告なしに削除されることは今後、二度とないようにと、強くお願いいたします。

ヴェイパーウェイヴの歴史 2. ターンテーブルFMから、最初期の隆盛へ

はじめにモドキから:
以下のテクストは、ステファン・クンツェさんによる英文記事の要約です。
The following text is a summary of an English article by Stephan Kunze.
“ZS History of Vaporwave (Part 2) - From Turntable.fm livestreams to the first wave of popularization (2011-2012)” - Dec 08, 2025(

まずはシリーズ第1回の、プロト・ヴェイパーウェイヴの時期(2008-2010)をあつかった記事を、ご覧になることをおすすめします()。ではどうぞ!

ヴェイパーウェイヴの歴史 2. ターンテーブルFMから、最初期の隆盛へ(2011-12)

【 も く じ 】
2-1. 序論2(黎明期のヴェイパーウェイヴ・概説)
2-2. Vektroid(ラモーナ・ラングレー)
2-3. Internet Club(ロビン・バーネット)
2-4. Computer Dreams / Midnight Television
2-5. そのほか多くの精鋭たち
2-6. “ヴェイパーウェイヴの死”、その最初の宣告
2-7. クラシック・ヴェイパーの重要な15作品(2011–2012)

2-1. 序論2(黎明期のヴェイパー概説)

ヴェイパーウェイヴの最初期の盛り上がりは、2011年半ばから2012年末までの短い期間に凝縮されている。
ジャンル名もまだ定まらず、アーティストたちは自分たちが何を作っているのか明確には分からないまま、自由に試行錯誤していた。

この記事のパート1で説明された〈痕在論/Hauntology〉的音楽や〈催眠的ポップ〉など、2000年代後半のインターネット由来の実験的ジャンルを背景に、ダニエル・ロパティン(OPN)とジェームズ・フェラーロが、ヴェイパーの重要な源流となった。
ロパティンはポップやスムースジャズをスクリュー&エコージャム化し、フェラーロは企業映像・ストック音楽を自作で模倣する手法を追求した。

この二つの流れを、日本のポップ文化やポスト・マルクス主義に興味を持つネット世代の若者たちが、フォーラムやSNS上で結び合わせたことで、ヴェイパーウェイヴの核が形成される。
かつ、匿名かつ正体不明のハンドルネームのものが多かったため、その場に固有の〈無国籍性〉・〈顔の見えなさ〉も特徴となった。

彼らは音楽業界からは遠い位置にいた10代の若者で、主にクラック版ソフトで制作し、そしてZIPファイルでタンブラー、マイスペース、ブログなどのプラットフォームらに作品らを投稿した。

とくに重要なプラットフォームだったのは、2011年に登場した“Turntable.fm/ターンテーブルFM”だ。短命に終わったが、そこにはヴェクトロイド、ロビン・バーネット、インフィニティ・フリケンシーズ、ラグジャリー・エリートなどが日常的に集まり、未発表曲をライブで聴き合っていた。

ジャンル名《Vaporwave/ヴェイパーウェイヴ》は、2011年秋に半ば冗談として使われ始め、2012年に『ダミー』誌のアダム・ハーパーの記事によって広まった()。この記事は、シーンから〈誇張的だ〉〈誤解を招く〉などと批判されたものの、外部への認知を決定づけた。

モドキから補足:ジャンル名《ヴェイパーウェイヴ》の発案者は、後述されるロビン・バーネットさんです。少なくともご本人が、その説を肯定しています。

2-2. Vektroid(ラモーナ・ラングレー)

主にVektroidの名で知られるラモーナ・ラングレーは、ヴェイパーウェイヴの最初の決定的な実践者であり、2008年からVektordrum名義で活動していた。
自閉症スペクトラムのトランスジェンダー女性である彼女は、シリコンバレーに勤務して家を空けがちだった父のもとで育ち、インターネットに没頭した経験を語っている。

2010年、18歳のラングレーは“Telnet Erotika”を制作。その性格は、前記事で既述()。
続いて2011年3月には、Laserdisc Visions名義で“Virtual Casino”(のちに、“New Dreams Ltd.”として再発)をリリースし、“1980年代末〜90年代初頭の大衆メディアの戯画化” と自ら語るサンプル主体の美学を提示する。

ターンテーブルFMに参加した後の2011年後半、彼女は複数の名義で5作品以上を連続リリース。中でもMacintosh Plus名義の『フローラル・ショップ』は2012年にネットミーム化し、ジャンルの象徴となる。ダイアナ・ロスの曲をスクリューした、〈リサイクル感・薄気味悪さ・ノスタルジア〉が融合した作品で、以後のヴェイパーウェイヴの基準を決定づけた。

2012年にも多数の名義(情報デスクVIRTUALSacred TapestryPrismCorp Virtual Enterprisesなど)で重要作を発表したが、2013年頃にジャンルから離脱。しかし彼女の作品は再編集・再発が続いており、Macintosh Plus名義の新作も制作中とされる。

2-3. Internet Club(ロビン・バーネット)

米ダラス出身のロビン・バーネットは、15歳でDatavis名義のノイズ/ドローン作品を作り始め、その後ユーチューブからのサンプル加工へ移行。2010年には EP “Fading”を発表し、遠方の友人とオンラインで交流しながらDataVision Ltd.デュオを結成、2011年初頭にEP“Vector Tables”を公開した。

その後ターンテーブルFMの中心人物として活動し、Internet Club名義で、2011年6月に“Modern Business Collection”を発表。以降しばらく、月1作以上のペースで作品らをリリース。
彼は日本のCMとアニメ、“平成”期のビジネス映像、香港の映画とヒップホップなど、膨大なソースを取り込みながら、〈マルクス主義的プランダーフォニクス〉と呼べる姿勢で、'80年代的消費美学を反転させた。

2012年には長尺ドローン系のEcco Unlimited名義の制作も開始するが、2013年ごろに彼の〈大不況時代=スランプ〉を迎え、ヴェイパーウェイヴ制作からいちじ離れた。
その後、Wakesleep名義で現代音楽寄りの作品へ移行しつつ、近年はInternet Club名義で限定的に復帰している。

モドキから補足:〈マルクス主義的プランダーフォニクス〉という呼称はご本人によるものですが、しかし、やや軽い受けとめ方が適切かと思います。

2-4. Computer Dreams / Midnight Television

バーネットが強い影響を受けたのが、米ヒューストンの匿名プロデューサーComputer Dreams、またその別名義のMidnight Televisionだった。
2011年5〜6月に発表された、それぞれのセルフタイトル・アルバムは、80年代の深夜テレビBGMのようなループを極端にローファイ化した、先鋭的な内容だった。

彼はヴェイパーウェイヴのジャンル確立以前から、その美学を体現していた。

2-5. そのほかの精鋭たち

続いた初期アーティストらの中で、以下が重要と考えられる。

Diskette RomancesLasership Stereo:2011年秋に登場し、2012年のセルフタイトル作『ディスケット・ロマンス』は影響力大。
Infinity Frequencies:2012年に“Euphoria”を発表し、続いた〈コンピュータ三部作〉で、無音に近い短尺の〈リミナルスペース音楽〉を確立した。別名義のLocal Newsでは、《シグナルウェイヴ》(または、Broken Transmission)を開拓。

また、MediaFired™CoolmemoryzVeracomTransmuteoなど、初期ターンテーブルFMの周辺のアーティストらも活躍した。

そして2012年後半からは新世代が加わり、ジャンルは細分化へと向かう。

Eyeliner:サンプルを多用せずに1980年代風を再構築する、独自の路線(“High Fashion Mood Music”, 2012)。
Blank Banshee:2012年の“Blank Banshee 0”で、《ヴェイパートラップ》を確立。
Hentasi:その後の《モールソフト》の基盤となった名作、“Vacant Places”(2012)。
Luxury Elite:《レイトナイト・ローファイ/Late Night Lofi》の先駆者/唱導者。2012年12月に初アルバム“III”をリリース。
Saint Pepsi:のちの《フューチャーファンク》への道を拓く。

2-6. “ヴェイパーウェイヴの死”、その最初の宣告

2013年1月、ヴェイパー系メディア〈SPF420〉が主催したオンライン・フェスティバルについて、オーガナイザーのチャズ・アレンはそれを、〈ヴェイパーウェイヴの葬儀〉と呼んだ。『フローラル・ショップ』へのレビューや、4chan/タンブラーによる拡散で外部注目が増え、シーン内部では〈取り上げられすぎて死んだ〉と感じられたためである。

当時のヴェイパーウェイヴはメインストリームではまったくなく、一部の雑誌やReddit/4chanで注目されている程度だった。それでも、反資本主義的アートとしての自負や、狭い美学に縛られたくないという制作者心理から、初期制作者の多くはジャンルから離れていった。

しかし実際には、2013年以降に世界へと広がり、新世代が台頭してジャンルはむしろ拡大していく。初期の《死》は、象徴的な区切りに過ぎなかった。

モドキから、補足というより私見:……多少なりとも目新しい事物らに対し、〈あれは、もう“オワコン”!〉と、人に先んじて言ってみれば、たんにそれだけで自分が超ナウい人かのような思い込みも可能なのでしょうか。一種のスピード勝負なのでしょうか。
……たぶんこのシリーズ記事で言及されるでしょうが、追って2015年……。当時ほとんどヴェイパー界の創造的な頂点にいたと言えるHKE(D・ルッソ)さんが、おそらくはわが身を切り刻む思いで、〈ヴェイパーウェイヴは死んだ!〉と宣言なされた──そのこととは、重みが断じて違うでしょう。

2-7. クラシック・ヴェイパーウェイヴの重要な15作品(2011–2012)
  1. Midnight Television – Midnight Television (05/2011)▶️
  2. Computer Dreams – Computer Dreams (06/2011)▶️
  3. Internet Club – Modern Business Collection (06/2011)▶️
  4. Laserdisc Visions – New Dreams Ltd. (07/2011)▶️
  5. 18 Carat Affair – Vintage Romance (07/2011)▶️
  6. MediaFired™ – The Pathway Through Whatever (07/2011)▶️
  7. Internet Club – Beyond The Zone (09/2011)▶️
  8. Macintosh Plus – Floral Shoppe (12/2011)▶️
  9. Diskette Romances – Diskette Romances (06/2012)▶️
  10. Eyeliner – High Fashion Mood Music (07/2012)▶️
  11. Infinity Frequencies – Euphoria (07/2012)▶️
  12. Sacred Tapestry – Shader (08/2012)▶️
  13. Blank Banshee – Blank Banshee 0 (09/2012)▶️
  14. Hantasi – Vacant Places (09/2012)▶️
  15. Luxury Elite – III (12/2012)▶️
  16. 原文にはないが、もうひとつ参考出品:
    Oneohtrix Point Never – Replica (11/2011)▶️

🏢 🗂️ 👨‍💼

おわりにモドキから:
このシリーズ記事の次回に記述されるであろう、2013年。そこからラグジャリー&ペプシさんの快走が始まり、そしてテレパシー能力者/ヌメシュ/リンズヘヴン/クリスttt……等々々の各位が新登場!!
そしてわれらのヴェイパーウェイヴは、そのムーブメントのさいしょのピークを迎えるのです! 待て次回っ。

……それはいいのですが。〈手を抜くために、AIになるべくやらす!〉という怠惰な私のプランが、あまりうまくいっていません。
ChatGPTがよくないのかなと思い、GrokやGeminiに和訳&要約をやらせてみたら、さらにもっと低レベルな出力が……ッ!! けっきょく〈チャッピー〉がいちばんかしこい現状があるようです。
それで仕方なく、私がかなり手を入れています。テクストのトーンやフィールがシリーズ前回とかなり違うとすれば、そのためでしょう。