在スペインを主張するヴェイパーウェイヴ・クリエイター、《DJ Apolo Trevent》。2013年くらいから5〜6コの変名を使い分け、いろいろなことをヤッてきたもよう(☆)。
そのアポロさんが現在、メインで用いている偽名が、《アポロ - くん~》。そしてその第1弾、「今ではマイ・コンピュータがかわいい女の子」(2018)、これがいい作品だったんでねェか、というお話は既報(★)。
追ってそれから現在までに、アポロくんとしてのアルバムが新たに4コ発表されている。そのタイトルらがヘンでゆかいなので、列記しておくと。
2018:
Shoujo Doujinshi - 今ではマイ・コンピュータがかわいい女の子である!
2019:
Shoujo Doujinshi - 私の偉そうな元ガールフレンドの幽霊にお化け!
Shoujo Doujinshi - 私はこのゲイの吸血鬼に恋をしています!
2020:
Seinen Doujinshi - 私は孤独な刑務所で目を覚ました。私を助けてください!- Scenario A
Seinen Doujinshi - 私は孤独な刑務所で目を覚ました。私を助けてください!- Scenario B
〈ゲイの吸血鬼〉って、「ポーの一族」か何か? ──ともあれこうして、19年までの「少女同人誌」三部作に続き、今20年からは「青年(成年?)同人誌」シリーズがスタートしているのだった。
「少女」から、「青年(成年)」へ。その間に、制作の方法はあまり変わってないようだけど、しかし素材やふんいきらには少し変化がある気がするんだよね。
まず「少女」シリーズに関しては、ギャルゲーもしくは《美少女ゲーム》のおセンチなBGMらを、ヴェイパー式のモヤモヤした音にナマらせた、そんなようなトラックら、と言えそう。それに比べたら「青年(成年)」シリーズは、多少は甘さが控えめになっているかも。
だがどちらにしろすべて、いい意味でイージーな感じのアンビエント・ヴェイパーで、耳にたいそう快い。曲の長さが平均2分間と、くどくないところもいい。
なお、このシリーズ第1弾の「今ではマイコン」について、〈おぼろげにもストーリー性が感じられる〉みたいなことを、前に書いたけど。しかし続いた作品らについては、そういう感じが強くは伝わってこないかな。まあそれはいか。
それと《アポロ - くん~》名義で、もうひとつ。《WAVDASH》レーベルのオムニバスに、「見つけた」というトラックが提供されている(☆)。
これはちょっと、方法が変わっている。例によって甘ったるいおセンチでイージーな感じのサンプル、そこまではいつも通りだが、それを8小節くらいの単位で延々とループさせ、かつトーンを変化させながら、10分24秒間の長ぁ〜い《スラッシュウェイヴ》を構成。これもいいんだよね。
何せ《薄い本》とかいうだけに、同人誌のシリーズについてはコンパクトさが意識されているのだろうか? まあそんなことまでは分からないが、にしてもアポロくんイイよね……と思ったんだ。